613 :Monolith兵:2013/05/29(水) 05:35:35
突然であるが、高坂京介は途方にくれていた。その原因は前日に妹のオタ友達で自身の後輩である黒猫こと五更瑠璃に告白された為であった。
前世で夫婦生活を営み多くの子供孫に囲まれた彼であったが、前々世も含めて告白されるなどといったことはこれまでに無く、どうすればいいのか途方にくれていたのだった。そして、混乱してあまり回らない頭で他人に相談すると言うことを考え付いた。だが、現在の状況は全てそれが原因であったのだ。
「それで、私たちに相談したいと言うことですか。」
京介が頼ったのは、前世で辻正信であった妹の桐乃と、前世の妻で現世の五更瑠璃の妹の日向、そして京介の前世である嶋田繁太郎の玄孫である新垣あやせであった。
「何故日向とあやせがいるのですか?私は貴方に相談したはずですが。」
「水臭いことをいわないでくださいお、兄さん。貴方の問題は私の問題なんですよ?』
「繁太郎さんの問題は妻である私の問題なんですよ?昔からそうだったでしょう?」
京介の部屋で集まったあやせと日向がそれぞれ答えながら火花を散らしていた。それを横目に桐乃は笑みを浮かべながら京介に答えた。
「こんな楽し・・・、いえ重大な問題を私だけでは対処できないと思ったので。」
「本音が駄々漏れですよ・・・。」
京介は桐乃の言葉にため息を漏らしながら答えた。しかし、よく考えれば日向が来てくれたのは頼もしいと感じた。
「それで、ト・・・、いや日向ちゃん。黒猫の様子はどうなんだ?」
「かなり落ち込んでますね。勇気を出して告白したのに保留されたら不安になるのは当たり前です。」
「そうですね。『考えさせてくれ。』なんて、断ること前提の言葉ですし。」
少女二人の言葉に京介は打ちのめされた。確かに考えてみれば自分の行動は不誠実であったかもしれない。だが、
「私の心にはトヨが日向がいる。お前に相談せずに答えを出すなどできない。」
きっぱりと言う京介に日向は笑顔で返した。それを見ながらあやせは口を尖らせた。なんて強大なライバルなのだと思ったが、考えてみれば日向はまだ小学生で、自分は中学生である。付き合うとすれば自分のほうが世間体はいい。そう自分に言い訳をしつつ、あやせは日向に尋ねた。
「それで日向ちゃん、お兄さんにどうしてほしいの?」
あやせは日向のことを日向ちゃんと呼んでいた。さすがに小学生を高祖母と呼ぶことは憚れたので、日向の同意を得てこう呼ぶことにしたのだ。最大のライバルにお姉さんぶることができると言うことは、あやせにとって快感であった。
「私は別にかまいません。前世でも付き合いで若い娘と会うことは度々ありましたし。それを考えたら、超奥手の瑠璃お姉さんが積極的になるとは考えられませんから。まあ、瑠璃お姉さんにはいい経験になると思いますよ。」
本妻の貫禄ここに、と言うほどの答えであった。その答えにあやせは衝撃を受けた。交際に一番反対するであろう日向が賛成に回ったのだ。それに、若い娘と云々というのも彼女にとっては刺激が強かった。
614 :Monolith兵:2013/05/29(水) 05:37:52
「おい、日向ちゃん。」
「繁太郎さんにも色々と付き合いがあるでしょうから、私は気にしてませんよ?清濁飲み合わせてこそ真の政治家ですからね。」
口を尖らせた様子は全く言っている事と違っていた。それを見て京介は小さな声でゴニョゴニョ言っていた。言い訳を言っているようだったが、誰も聞き取ることはできなかった。
「つまり、黒猫と京介、嶋田さんが付き合うことに皆異論が無いというわけですね?」
それまで黙っていた桐乃が全員に確認した。日向は頷いたがあやせは頷けなかった。大好きな京介が見ず知らずの人と付き合うというのに、賛成できるわけが無い。それを見て桐乃は一つ頷いてから話し始めた。
「日向さんは賛成、あやせは反対と。そして、私も消極的反対です。」
桐乃の言葉に皆が目を丸くした。一番反対しそうに無い桐乃が反対したのだ。驚かないわけが無い。
「私が反対するのは、問題というか疑念があるからです。実は、転生者の約六割は前世の血縁者、つまり子孫として生まれているのです。」
それは突然突きつけられた真実であった。あまりな話に皆が開いた口を閉じることができなくなっていた。
「高坂家も遡れば嶋田さんの大叔母の子孫なのですよ。つまり、私たちとあやせとは非常に遠いですが縁戚ということですね。日向さんも、五更家と筑紫家とは縁戚関係にあります。私はまぁ、イレギュラーですね。」
あまりにも出来すぎた話であったが、桐乃の顔は酷く真面目であった。付き合いの長い京介は桐乃が嘘を言っている様子は無いと理解し、先を促した。
「それでですね、五更家は富永さんの家系なわけですが、実は富永さんの転生や憑依が確認されていないのですよ。もちろん、まだ発見されていないということもありえますが、まだ生まれ変わっていないともいえます。」
「それは・・・何が言いたいんだ?」
震える声で京介が桐乃に問い質した。
「ええ、私が言いたいのは出すね、嶋田さん、京介と黒猫もしくは日向さんが結婚して子供を設けた場合、富永さんの生まれ変わりが生まれるかもしれないのですよ。」
それはあまりにも恐ろしい話であった。京介は顔を引きつらせながら胃の辺りを手で押さえ、日向は口を押さえながら顔を青くしていた。あやせは意味がわかっていないのかきょとんとしていた。
「つまり、お兄さんと黒猫さん、そして日向ちゃんが結婚するのは危険ということですか?」
「ええ。付き合うだけならいいですが、普通ならそれ以上に行きたいと思うのが人間です。ですから、消極的にですが反対します。」
桐乃の言葉にあやせは微笑んで京介に近づいた。
「ねえお兄さん。私と付き合いませんか?黒猫さんにはこれを断る理由に出来ますよ?」
あやせは京介に提案したが、彼は青い顔をしながら顔を横に振った。
「そんなことは出来ない。確かに、子供が富永大将であるかも知れない。だが、それを理由に断るのは私が嫌だ。」
「・・・ええ。そういう事さえしなければいいのよね。私と結婚しても、避妊さえすれば・・・。」
京介の言葉に日向が同意する。あやせの奮闘むなしく、今日この日京介と黒猫が付き合うことが決定したのであった。
(ああ、これで黒猫VSあやせが見られる!なんて楽しいのでしょうか!!)
そんな3人を尻目に桐乃だけは欲望に忠実であった。
おわり
最終更新:2022年03月30日 19:00