443 :フォレストン:2013/08/31(土) 11:08:12
英国面に骨の髄まで浸かっていますが、英国文化には敬意を払っているフォレストンです。
提督たちの憂鬱 支援SS 憂鬱英国ウィスキー事情

スコッチ・ウイスキーは英国の代名詞の一つといっても過言ではない。
史実では世界中に輸出され、英国の5大輸出品目の一つにまでなっている。
しかし、この世界ではアメリカの禁酒法により大きな被害を被り、さらに第2次大戦が早期に終結したうえに、アメリカそのものが消滅してしまったため、有力な市場を失ってしまった。
ただでさえ、零細な醸造所が多い英国の酒造メーカーは軒並み経営危機に陥ってしまったのである。
しかし、ここで以外なところから救いの手が差し伸べられる。
白州次郎。英国を愛し、スコッチを愛し、ゴルフを愛した、英国人以上に英国人とまで言われた男である。
白州は夢幻会派では無かったが、元々、英国との関係修復には賛同していた。しかし、現状の国民感情を考慮すると困難であることもまた理解していた。まずは英国をより良く知ってもらうことから始めるべきであると、英国の政府高官にスコッチ・ウィスキーの輸出を提案したのである。

444 :フォレストン:2013/08/31(土) 11:09:35
憂鬱日本でのウィスキーの知名度は低く、玄人向けの飲み物というのが、現状であった。
とにかく周知させなければ始まらない。ここで白州は大胆な手を打った。
既に開始されていたテレビ放送のCMに、自ら出演してスコッチ・ウィスキーを大々的に宣伝したのである。
サヴィル・ロー仕立ての、スリーピースのスーツに身を包んだ、白州が見せる圧倒的なダンディズムは、
当時の日本男児の琴線に触れ、ウィスキーを嗜む大人が急増することになる。
英国からのウィスキー輸出量は急増し、醸造所は俄かに活気付き、需要が供給に追いつかなくなるほどであったが、そこは誇り高いジョンブルである。品質を下げてまで大量生産などは絶対にしなかった。
日本側の資本(経団連所属の商社)で大量生産するという話が幾度も上がったが、品質を下げるのは論外と、全て拒否している。
結果として、英国産ウィスキーに法外なプレミア価格がつくことになる。

445 :フォレストン:2013/08/31(土) 11:11:30
これを黙って見ていなかったのが、国内の酒造メーカーである。
壽屋(現サントリー)や大日本果汁(現ニッカ)も、ブームに乗ってスコッチ・ウィスキーの生産を始めることになる。
始めは試行錯誤の繰り返しで、品質的にも対抗出来なかったが、水と材料を吟味し、英国へ技術者を直接派遣するなどの努力の甲斐もあって、英国に引けをとらない高品質なウィスキーを生産することが可能になっていった。
また、年を追うごとに日英間の技術交流も活発になっていき、英国人と最初に仲直りしたのは酒造メーカーの人間だとまで言われることになる。
現在では、世界で最も権威のある賞であると言われる、英国際ウィスキー賞に国内メーカーのウィスキーが入賞するまでになっている。
日英のウィスキー職人の切磋琢磨は、これからも続いていくことだろう。

446 :フォレストン:2013/08/31(土) 11:25:43
あとがき

英国と言えば、スコッチウィスキー。これは外せません。
実はウィスキーも浮き沈みが激しい歴史を持っていまして、20世紀だと、アメリカの禁酒法で痛い目を見ています。ただ、第2次大戦中にアメリカに輸出して、アメリカ人がウィスキーを飲むようになったおかげで、一息つけたわけです。が、憂鬱世界では、第2次世界大戦は早期に終結してしまったうえに、アメリカが無くなったこの世界では、冗談抜きに消滅の危機なので、日本を市場にして、生き残りを図るというのが、今回のSSの主旨なわけです。
日本は戦争で荒廃していないので、国民の購買力は高いので、多少高くても売れるでしょうし、文化交流で対英国感情を好転させる効果も期待出来るので、一石二鳥ですねw

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最終更新:2013年10月28日 12:56