431 :フォレストン:2013/08/25(日) 06:44:38
憂鬱英国に救いの手を。



提督たちの憂鬱 支援SS 貧者の核-ヘルインフェルノ ( Hell Inferno )


戦後英国の最大の問題は、ドーバー海峡の防衛であった。
米国は既に無く、日本との関係修復は早期には不可能、であるならば、
独力でこれをなんとかしなければならないのだが、バトル・オブ・ブリテンと
巨大津波の痛手から立ち直れていない英国の戦力では不可能に近かった。

枢軸側の上陸作戦を防ぐために、水際防御作戦は有効であるが、
上陸前に艦砲射撃やヤーボによって無力化される可能性が高かった。
さらに、上陸予想地点が複数存在していたため、全てに対処するには
リソースが不足しているのが英国の現状なのである。
真っ当な手段で対抗不可能なのであれば、発想を転換する必要があった。

432 :フォレストン:2013/08/25(日) 06:46:04

上陸作戦における最優先目標は、言うまでもなく兵士を満載した上陸用舟艇である。
兵士が上陸し、橋頭堡を築きあげ、戦車その他の兵器を揚陸されてしまうと
排除が極めて困難になる。
広範囲に兵士を無力化出来る兵器を、それも即応性の高い兵器が必要だった。
現状でそれが可能なのは、日本が持つ核を除けば、化学兵器の類であるが、
風向き不安定な海岸で使用するのは不可能だった。もはや手詰まりだったが、
追い詰められたときにこそ英国面は光り輝くのである。

433 :フォレストン:2013/08/25(日) 06:47:51

Fuel-Air Explosive Bomb(燃料気化爆弾)
揮発性及び引火性の高い液体(酸化エチレン・酸化プロピレン・ジメチルヒドラジンなど)
を、爆薬によって瞬間的に加圧・沸騰させて空気中に散布し、適度な濃度で着火して
爆風と衝撃波を発生させる爆弾である。

史実ではトールボーイやグランドスラムの開発で知られた、バーンズ・ウォリス卿が
開発した、この新型爆弾は上記の難題を全てクリアしていた。

危害範囲は100mを越える広範囲に渡り、かつ比較的長く爆風が残留し、
人間や非装甲目標に多大な被害を与えることが可能であり、高熱と爆風・衝撃波
による爆散・炭化を免れても高温高圧のガスが周囲に浸透し、内臓や精密機械を
焼灼・圧壊させる効果が期待出来た。
装甲目標に対しても、気密扉などで防護されていれば生存の可能性は高いが、
直接の被害を免れても大気中の酸素濃度が急激に低下すると共に一酸化炭素が充満し、
生存者は窒息死させることもあったと言われる。

434 :フォレストン:2013/08/25(日) 06:49:33

新型爆弾はヘルインフェルノ ( Hell Inferno )と名付けられ、それなりの数が生産された。

英国はヘルインフェルノを秘匿したが、存在そのものを隠したわけでなく、むしろ積極的に活用した。
植民地内乱の鎮圧に使用して、その映像を世界に公開したのである。
規模こそ核に劣るものの、効果はそれに匹敵した新型爆弾は枢軸側を恐怖のどん底に叩き込むことになる。

夢幻会は即座に、新型爆弾が燃料気化爆弾であることを見抜いたが、一般国民は英国が核開発に成功したと勘違いして、
パニックになりかけた。政府の必死の火消しによって、落ち着いたが、この過程で政府高官が幾人か過労で倒れたという。

435 :フォレストン:2013/08/25(日) 06:51:20

ヘルインフェルノが、世界に与えた影響は極めて大きかった。
枢軸側を強力に牽制し、日本では英国侮りがたしの風潮を生み、
英国との協調を是とする動きが軍民問わずに芽生えてくることになった。





名無し改めましてフォレストンです。
駄文を見ていただいて感謝です。
憂鬱英国にあまりにも不遇なので、つい書いてしまいましたw
気化爆弾は人間や、ソフトスキンに広範囲に効果があるので、水際阻止作戦では
極めて効果があると思います。
映像を公開したのは、もちろん抑止力としてです。外交強者な英国なら有効なカード
として使えるでしょう。日本との関係修復が出来るかどうかは、個人的には
軍民の世代交代が来るまでは無理だと思っています。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年09月01日 23:10