722 :Monolith兵:2013/06/02(日) 05:31:04
※この作品にはTS表現があります。ご注意ください。
「俺の後輩がこんなに可愛・・・」
黒猫の告白から暫くの月日が流れ、京介は黒猫と初のデートに挑んでいた。前日に桐乃に服をコーディネートしてもらい、デートコースを必死に考え、日向にアドバイスをもらい挑んだデートであった。待ち合わせ場所であった黒猫が神猫になっていたり、初デートで彼女の家に上がる事になったりとイレギュラーが起こったが、概ね初デートとしては平均点を取れたのではないかと彼は思っていた。そう、彼女の家に上がるまでは。
「じゃ、じゃあ、今はこの家に俺たち二人きりってわけなのか?」
「え、ええ。・・・ちょっと待っててくれる?シャワー浴びてくるわ。」
京介は自分のうかつな発言を呪った。どう考えても誘っているようにしか取れない言葉だった。黒猫はそれを理解したのか、シャワーを浴びると言って部屋を出て行ったのだ。先日の桐乃の衝撃的な発言を思い出しながら、京介は焦っていた。
(何てことだ!初デートでエッチフラグだと!コンドームの準備なんてしてないぞ!)
もし当たってしまったら富永が生まれてくるかもしれないのだ!それを考えると、京介の身体はがくがくと震えてしまっていた。
だが、そうこうしている内に黒猫は風呂から上がり、京介を迎えに来ていた。
「私の部屋に行きましょう。・・・これからw足した地で神聖な儀式を行うのよ。」
覚悟を決めた彼女に京介に抗うすべはなかった。
それから数時間、二人とも初めてを散らした後二人は裸で布団の中で抱き合っていた。
「大丈夫か?」
京介は黒猫を労わり今日何回目かの質問をしたが、答えはこれまでと同じく「大丈夫よ。」だった。彼女は京介の胸に顔を押し付けて何かをこらえている様子だったが、決心がついたのか顔を上げて京介の顔を覗き込んだ。
「私ね、貴方に言わなくちゃいけないことがあるの。」
そう言ってから黒猫が語った内容を京介は無言で聞いていった。
「私の中には二つの私の心があるの。貴方を愛している私と、それを引き止めようとする私。でも、どちらの私も貴方のことが好きなの。だけど、好きになったら危険だ、引き返せってもう一人の私が言うのよ。」
「大丈夫だ。俺はその二人とも愛せるよ。」
京介の言葉を聞いて安心したのか、黒猫は大きなため息を吐いた後、京介の耳元に唇をもって行きささやいた。
「私ね、もう一つ貴方に黙っていた事があるの。ううん、貴方だけじゃなくて誰にもね。それを聞いてほしいのよ。」
京介は頷いて、黒猫に先を促した。彼女は一度瞳を閉じて、暫くして開いた。そして、強い意志をともした顔で京介に最上級の爆弾を言った。
「今世で貴方と一緒になれなくても、来世まで待つって言ったわよね?アレは嘘よ。」
えっ、と京介は半開きの口から言葉を出した。
「私は前世から貴方を見てきたわ。そして、今世で貴方と恋仲になれてうれしい限り。」
京介はそれ以上のことを聞きたくなかった。だが、黒猫はそれに気づかないのか、更に続けた。
「私はあなたの事を見てきた。そう、前世で富永恭次と言われていたその時からね。嶋田元帥、我は貴方のことを愛しているのですよ。」
京介はあまりな事態に呻き声を上げることしか出来なかった。ひゅーひゅーという彼が息をする音だけが部屋に響いていた。
黒猫はようやく京介の様子がおかしいことに気づいた。
「もしかしてショックによる酸欠?待っていて、今人工呼吸してあげるから!」
そういって黒猫は京介に口付けをして息を吹き込んだ。しかし、ショックによる”過呼吸”を起こしていた京介にと手はそれは致命的な応急処置だった。薄れ行く意識の中、日向こと前世の妻トヨと玄孫のあやせ、今世の妹桐乃のことを思い出しながら彼の意識は闇に閉ざされた。
黒猫√BADEND
最終更新:2013年09月01日 23:34