7 :taka:2013/07/10(水) 09:00:46


ベルリンの総統官邸。
豪奢な長い机の上座で、一人の少女が頭を抱えていた。
親衛隊の如く装飾過多な黒い制服と、絶対領域に近いんじゃないかと思えるミニスカート。

「一体これはなんだ、どういう事なんだ博士!?」
「私に聞かれましても。このような事態はもはや常識の範囲に収まらないかと」

ヤヤヒステリックな高い声を、側に控える黒い制服に身を包んだ巨乳の黒髪の美女は微笑みで跳ね返した。
この会議室に集った者達にとっての異常事態をどこか楽しんでいる様に見えた。

「総統閣下も宣伝相も同じでしたか。私も驚きました。一番驚いたのはレーダー提督が私を見ても以前の私としてしか見てないことですが……」

どこか控えめな雰囲気を持つ少女は、困惑した面持ちで目にかけていたメガネをクイッと押し上げる。
そんな彼女たちをどうしたものかと見ているのは国防軍軍服に身を包んだ巨漢だった。

「……悪魔の悪戯かはたまた日本の仕業か。君はどう思うかねロンメル君」
「どう思うかと聞かれましても。家族は若返ったと喜んでいましたが」

カーキー色の南方仕様の軍服を来たくせ毛のワイルドな雰囲気の青年はやれやれと肩をすくめる。
二人も前述の三人同様全く同じ時期に外観が変化してしまった口であるが、性別まで変わらなかったせいか幾分落ち着いている。

「はっ、そうか。マンシュタイン元帥の言うことが正しいのかもしれん!
 この巫山戯た現象はおそらく日本人たちの仕業だ!! 彼らの好む書物に我々と似通った人物が多数見受けられた。
 なぜこうなったかの手段はわからんが、おそらく日本人が何らかの形で絡んでいるのは間違いあるまい!!」

そんな無茶なと怒る金髪美少女な独裁者以外のメンバーは思った。(彼女の側で(*´Д`)ハァハァしてる宣伝相除く
帝国の主要な政治家や軍人を本人すら知らぬまま性別や外観を反転させるなんてどんな手段かと。
しかも極々一部の人間を除けば、彼らの容姿は何故か以前のままに見えるらしい。
しかし、こうも彼は思った。奴らなら、奴らなら不可思議な手段を要していてもおかしくはないと。

「こうなれば手段を問わず解決策を探さねばならん。こんな格好なぞしていられるか!!」
「(´゚д゚`)エー」
「(´゚д゚`)エーじゃない博士! ヒムラー、ヒムラー長官はおらんか!!」

解決策を探させる為総統が叫ぶと、会議室のドアが優雅に開いた。

「総統閣下が及びと有らばこのハインリヒ・ヒムラー。何時でもどこでも参上致します」

長身黒髪の超イケメンがキラーンと白い歯を輝かす。

「お前誰だっ……ってギャー!!」
「ああ、総統閣下が転倒した!」
「(*´Д`)ハァハァ」

その後、嶋田たちが何故か彼女たちの姿を認識でき、その大多数が卒倒したのは言うまでもない。
尚、富永が独断で欧州に旅立ち嶋田をして「なんてこった、トミーがドイツに飛んだぞ」「このひとでなし!」と言わせしめたという…。

103 :taka:2013/07/13(土) 11:09:51



今日も、嶋田繁太郎は頭を抱えて現実と戦わざるを得なかった。

「……で、この事実を知る者達は極々少数なんだな?」
「当然だ。でなければ今頃大騒動になっている」

総理大臣の執務室。何時もどおりの嶋田、そう女体化したりショタ化してない何時ものオヤジ姿。
しかし、彼の前にいる盟友たる山本五十六は異なった。

厳つい白髪顎髭、如何にも歴戦の勇姿と言わんばかりな傷だらけのムキムキボディ。
上半身裸の上に、海軍将帥の上着を豪快に羽織っている美丈夫の老人だった。

「俺の他にも海軍将帥の姿が変わってしまった。中には夢幻会のメンバーすら含まれている……」
「はい、海保の南雲さんとGF長官の小沢さんが自分の姿を見て失神し、入院してしまったそうです。困ったものですな」
「「あんたは自分の姿に驚愕せんのかヲイっ!?」」
「いやー、これもなかなか悪くないと思いまして。うふ(はぁと」

悩ましいボディラインをくねらせシナを作る美女看護婦に、あんぐりと口を開ける二人であった。


しかし、彼らはまだ気づいていなかった。
夢幻会を震撼させる恐るべき変化に。


都内某所の庭園を散策している人物がいた。
つややかな黒髪と愛らしいながらも強い理性と意思を秘めたツブラな瞳。
儀礼的とも言える華やかな衣装に身を包みながらも、身に秘めた気品からか一切の虚飾は感じられない。

興味深げに庭園の木々を観察している彼女に、侍従が執務の時間が迫っていると声をかける。

「あ、そう」

少女は頷くと、何事も起きてないようなマイペース振りで仕事場へと戻っていった。





同時刻 イタリアのローマ

「なんだか俺の体が女体になっておまけに周りが以前と変わらないまま接して来てるだけど!
 まぁそれはともかくとして俺の時代到来って事でいいのかな☆ミ」

カヲスは世界に広まりつつあった……。

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最終更新:2013年09月02日 00:15