853 :taka:2013/08/27(火) 04:13:05
そういえば1942年で戦争が終わったって事はああいう事なんだろうなとおもった小ネタ


目の前の執務室に座った人物との話し合いを終え、執務室を出る。
また一段と目の下の隈が濃くなり、髪が薄くなったようだ。
次は君の番なんだぞとぶつぶつ呟いていたような気がするが気にはしない。
どの道、正規戦力においては日本軍との差はもはや勝負にすらならないのだ。
あり得ない組み合わせであるが、英伊仏全ての海軍戦力を合わせても勝負になるかどうかなのだ。
出来損ないのビスマルクと僅かな巡洋戦艦、打撃を与える戦力の大半がUボートしか無い我が海軍に何が出来るというのか。
予算の大半が空陸の分野に投じられ、富嶽や核兵器、日本が既に開発したという次世代型戦闘機に対抗すべく注力を注いでいる。
元々ヒトラーは海軍に対する理解が乏しく、第二次世界大戦の最中に置いてまともに活躍したのはUボートだった。
同盟相手であるヴィシーやイタリアに機動艦隊の設立を丸投げしたのも冷遇に拍車をかけている。
我らが提督と競うように痩身になっていく軍需・軍事生産大臣によれば、陸海空全てに予算を投じるのは不可能だとの事。
万遍なく投じていけば、ただでさえ開いている日本との技術力が更に開きドイツの技術力は陳腐化してしまう。
断腸の思いで我慢してくれと言った直後に泡をふき、二匹の熊に病院へ運ばれていった彼を誰が責めれようか。

事実、ドイツ海軍の大型艦は技術開発目的での僅かな建造(予定)止まり。
正規空母は伊仏に任せるとして、大西洋航路における日本の対潜作戦用の艦隊を構築する案が高まっている。
すなわち、今後のドイツ海軍は現在の提督がかつて夢見た戦艦と空母による大艦隊ではなく。
中、小型艦、潜水艦を中核とした用途を限定する事で威力を発揮する艦隊へと変じることになる。
かつては潜水艦で英国を苦しめた自分たちが、今度は日本の潜水艦に怯える側へと転じたわけだ。

「零落れたものだ……いや、元々我が海軍はこんなものだったのだろう。
 北米航路にせよ、日本の機動艦隊が本気で遮断にかかれば手も足もでない戦力だ。
 幸いであるのは、今、あの海軍と我が海軍が交戦状態ではない、ただそれだけだな」

ため息を深々と吐いた男は、自分の執務室の机の上にある幾つかのプレゼントの箱を見て目を細めた。
今日は久しぶりに家族が集う日なのである。駆逐艦に乗り込んでいる長男、試験配備された新型Uボートに副長として搭乗している次男も休暇で戻っていた。

「まぁ、あの二人が無事に戦争を乗り越えられた。それは私個人の幸運というべきかな?」

今日ぐらいはレストランで美味しいものを食べ、気を抜いて家族の団欒を楽しんでも罰は当たるまい。
そう考え、彼は全てを心得た副官に事後を任せると迎えに来た車にプレゼントと共に乗り込んでレストランへと向かった…。

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最終更新:2013年09月02日 22:50