447 :フォレストン:2013/09/01(日) 23:26:16
アイリッシュ・ウィスキーをご存知だろうか?
同じくウィスキーの名を冠する、スコッチ・ウィスキーとはまた違う、まろやかな味わいが特徴のアイルランドの特産品である。
一時期世界のウィスキー市場の6割を占めていたと言われる、このウィスキーであるが、有力な市場であった
アメリカで禁酒法が
実施されたため、生産規模が縮小。古典的な製法に拘る故に、小規模な蒸留所が大半を占めていたため、数多くの蒸留所が閉鎖された。
追い討ちをかけるように、アイルランド内戦による国内の混乱でさらに蒸留所が閉鎖、アイルランド独立時には、英連邦の市場から締め出され、とどめに巨大津波による甚大な被害からの復興のために、食糧増産が優先されてしまい、ウィスキー作りどころでは無くなってしまう。
この時点でアイルランド政府が介入し、アイリッシュ・ディスティラーズ・カンパニーを設立。
合併という形を取ってはいるものの、事実上の国有化であった。その後、津波被害からどうにか立ち直り、生産を開始したものの、しばらくは国内向けの生産が優先されたため、海外における知名度は全く無しに等しかった。
戦後数年が経ち、史実以上に経済に余裕の無い、アイルランドはアイリッシュ・ウィスキーを輸出しようと目論んだが、英連邦の市場からは締め出されており、枢軸側への輸出はビールとワインに押されて伸び悩んでしまう。
日本に売り込むことも考えられたのだが、日本のウィスキー市場は、既にスコッチ・ウィスキーの独占状態となっていた。
八方塞の状況に頭を抱えたアイルランド当局者であったが、以外なところから救いの手が差し伸べられるのである。
448 :フォレストン:2013/09/01(日) 23:27:46
カリフォルニア共和国。
かつて存在した、アメリカの残滓とも言える旧北米大陸の西海岸に存在する国家である。
元々アメリカには、経済で困窮していたアイルランド系の移民が数多く存在していた。
カリフォルニア共和国にも、相当数のアイルランド系移民がおり、彼らがアイリッシュ・ウィスキーを欲したのである。
日本ではアイリッシュ・ウィスキーよりもアイリッシュ・コーヒーのほうがよく知られている。
カリフォルニア共和国に存在するブエナビスタ・カフェ(The Buena Vista Cafe)で出されたアイリッシュ・コーヒーを痛く気に入った日本人記者が、店主に頼み込んでレシピをもらい、日本へ持ち帰ったことで、日本国内へ広まったからと言われている。
ただし、日本では、材料にスコッチ・ウィスキーを使用することが多いため、厳密にはゲーリック・コーヒーであるのだが。
なお、余談であるが、アイリッシュ・ウィスキーはカリフォルニア共和国経由で日本へ輸入されているため、カリフォルニア・ウィスキーという呼び名のほうが有名である。
日本の大手新聞社がアイリッシュ・コーヒーを紹介する際に、材料にカリフォルニア・ウィスキーと記載したため、アイルランド当局者を激怒させたという逸話がある。在アイルランド大使館経由で持ち込まれた苦情に、
夢幻会関係者は苦笑したという。
449 :フォレストン:2013/09/01(日) 23:30:05
あとがき
アイリッシュ・ウィスキーはどうなってんだ?とのご意見があったので、書いてみました。
おいらの拙い文筆ではこれが限界でした(汗
いや、どうみても状況的に詰んでいるんですよ、アイリッシュ・ウィスキー。
史実同様に、禁酒法による生産縮小やアイルランド内乱による経済的混乱、アイルランド独立時に英連邦の市場から締め出されて、とどめに巨大津波です。
アイリッシュ・ウィスキーは製法に拘る故に小規模なメーカーが乱立したとのことなので、これだけの被害を受けたら、蒸留所が全滅しかねません。
なので、国営化するという荒業で乗り切ることにしました。これでどうにか存続は可能になりましたが、このままだとアイルランドの地酒で終わってしまうので、どうにか海外展開させたいのですが、憂鬱世界だと市場が無いんです。史実以上にブロック経済化されている状況で、英連邦から締め出されているので、枢軸側へ売り込むしか無いのですが、戦後復興も途上で国民の購買力には期待出来ません。
なによりもドイツとフランスなので、ビールとワイン以外には見向きもしませんでしょうし(笑
そんなわけで、新たな市場を用意しなければならないのですが、英連邦及びその植民地は当然ボツ。北欧は市場規模が小さいうえに、ビールとウォッカが強いので、これまた無理。
消去法でカリフォルニア共和国となりました。アメリカにはアイルランド系移民が多いとのことなので、当然カリフォルニアにも相当数いると思います。
そこになんとか需要を見出せれば…!
最終更新:2013年10月28日 12:59