129 :Monolith兵:2013/06/24(月) 00:00:26
※このSSにはTS表現があります。ご注意ください。
※このSSにはGL(爺ラブ)の表現があります。
※超展開注意。
※日向√の続きです。

ネタSS「俺の妹が○○○なわけがない!」 閑話4


「「しくしくしく。」」

 東京にあるとある雑居ビルの一室にて2人の少女が涙を流していた。この部屋はいわずと知れたMMJ俺妹部会の会議室である。そこで泣いているのは高坂桐乃と五更瑠璃の2人であった。
 京介が黒猫を追ってカルフォルニアに行ってから半月、黒猫は母親や姉妹とともに日本へと帰ってきていた。もともと家族の中でも日本を離れることに抵抗があったが、経済的な問題でカルフォルニアへ家族全員で行っていたのだ。それが解決されるのならば日本に戻るのはなんら問題はなかった。黒猫の父も久方ぶりの一人暮らしとあってうきうきしている様子だったので、家族全員にとっていい話だったのだろう。それに、黒猫の父は邪気眼だし浮気できる性格でもない。それも母親が娘たちとともに日本に戻ってきた理由のひとつだった。

 さて、桐乃と黒猫の2人が泣いている理由であるが簡単なことであった。互いの中身が爺であったことが解った為だ。
 京介が黒猫に別れを継げた後、桐乃は静かに泣く黒猫を宥めていた。例え恋人として別れたとしても自分たちの縁はこんなことで切れるわけがないし私がついている、と桐乃は宥めていた。無論下心があってのことだ。桐乃はあやせ派ではあるが同時に黒猫派であり、黒猫ともっと深い仲になろうと画策したのだ。
 そして、それは成功したかに見えた。

(ぐふふ。これで黒にゃんとあんなことやこんなことを!)

 だが、桐乃に誤算があったとしたら、泣き疲れて寝入った黒猫が再び目を覚ました時には中身が変わっていたと言うことだった。いつの間にか某陸軍大将になっていたのだ。
 桐乃は黒猫と深い仲になる前にその事実に気付いた。そして黒猫も同時に気付いてしまった。

「ぎゃあああ!黒にゃんの中身が爺だった!」

「ぎゃあああ!キリリンの中身が爺だった!」

 二人は互いの正体を知り絶望し、冒頭へと戻る。
 そんな2人を尻目にMMJのメンバーは会議を進めていた。

「さて、高坂桐乃に続いて五更瑠璃までもが中身が爺になってしまったわけだが・・・。」

 かつて黒猫派だった男はやつれた顔で未だに受け入れがたい事実を口にした。

「ああ神よ!私たちが何をしたというのですか!!」

「もはや俺妹は終わってしまったな。」

 皆が皆悲観的な言葉ばかりを口にする中、議長である新垣議員は腕を組んだまま黙っていた。

「もはや、我々の存在意義はない・・・。」

「原作にはない日向エンドとか・・・。誰得なんだよ。」

 この時になって彼らは日向の中身が島田トヨであることを掴んでいた。これは桐乃が意図的に報告しなかったことだ。彼女はあやせ派で黒猫派ではあったが、それ以上に前世がアレだった京介の幸せを願っていた。だから日向の事とを報告せずにいたのだ。もし報告していたらどうなっていたのか、想像はいくらでも出来た。

130 :Monolith兵:2013/06/24(月) 00:02:11
「もう解散しよう。」

 そんな声が出てくるのも仕方がなかった。桐乃派に続いてメインヒロインの片割れである黒猫までもが中身爺になってしまったのだ。そして、黒猫派は桐乃派と同じく消滅してしまったのだ。

「麻奈実は京介の教育の結果娘ポジション、沙織は原作同様空気。そして加奈子は何故か台湾にいる。もはや俺妹の世界は崩壊してしまった・・・。」

「まだだ!」

 とあるメンバーの言った気弱な言葉に新垣議員は反論した。

「まだ我々にはあやせがいる!スイートラブリーエンジェルならば、まだ希望はある!」

 その声に勇気付けられたのか、何人かのメンバーが頷いた。

「しかし、あやせが活躍するのは京介が一人暮らしをしてからです。現状ではそうなる可能性は・・・。」

「私に秘策がある。」

 そう言って新垣議員は不敵な笑みを浮かべた。

「原作で京介が一人暮らしをするアパートを私は押さえた。これは以前にも言ったが、これに加えあやせをそのアパートに送り込む。」

 あまりな話にメンバーは理解するのが遅れた。どうすればそんなことが出来るのか理解が出来ないのだ。

「私の家だが、来月から改装工事をすることになっている。無論この時期を選んだわけだが、その為に仮の住居が必要となる。そこで、妻とあやせにはそのアパートに住んでもらおうと思う。私は東京の官舎で引き続き住む事になるので、妻とあやせのみが住む事になるな。知ってのとおり、あやせは京介君に恋心を持っているし、妻もそれを応援している。後は京介君をあのアパートに入れることができればあやせルートへの道が開かれる!」

「おお!すばらしい!」

「そうだ!我々にはまだあやせたんがいるではないか!

 あやせ派筆頭の男の言葉に、メンバーは口々に賞賛の言葉を送る。だが、同時に疑問を憶えるものもいた。

「どうやって京介を一人暮らしをさせるのだ?言っては何だが、原作よりも現実の京介の方が勉強できるから、一人暮らしさせる理由がないぞ。」

 それこそがあやせルートへと持っていく上で最大の問題だった。しかし、新垣議員にはそれを解決する策があった。

「桐乃君と瑠璃君には京介君に目一杯絡んでほしい。そして、京介君の勉強を妨害するのだ!そうすれば、大介のことだ。どうにかしようと考えるだろう。そこに、アパートの話をする。静かに勉強が出来る環境があると言えばあの親ばかは飛びつくだろう。」

 忘れがちかもしれないが、新垣議員だけではなく高坂大介も量産型辻政信なのだ。当然面識はあるし、現在も交流はある。その伝を使い京介を一人暮らしへと追い込もうというのだ。

「可能性は決して高いとはいえないが、希望はある。」

 その言葉にメンバー全員の瞳が輝きだした。これまで泣きはらしていた桐乃と黒猫も泣き止んで頷く。

「桐乃君には家での勉強の妨害、瑠璃君には未練たらたらな様子をとってもらい京介君の貴を引いてもらいたい。そして、京介君が一人暮らしをはじめた暁には、足しげく通ってもらいあやせを挑発してもらいたい。また、日向君の足止めもお願いしたい。」

「それくらいなら造作ない。我に任せよ。」

「日向さんには前世で色々とお世話になりましたからね。ここで恩返しの為に色々と連れ回すのもいいでしょう。」

 桐乃が恩返しなどといったが、やることは結果的に恩を仇で返す行為である。だが、誰もそれに突っ込みを入れない。もはや俺妹部会のメンバーにとりあやせは最後の希望だったのだ。

「それでは、諸君らの健闘を祈る!」

「「「全てはMMJのために!!」」」

 そうして、あやせルートへの道は開かれた。


おわり

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最終更新:2013年09月04日 19:20