516 :Monolith兵:2013/07/28(日) 23:28:12
※この作品にはTS表現があります。ご注意ください。
※この作品は妹系ラブコメディです。
※その16とその17との間での没ネタです。

ネタSS[俺の妹が○○○なわけがない!] 没ネタ4

「俺の家族が・・・」


 カルフォルニアから帰ってきてから何日かしたある日曜日の朝、京介は何ともいい匂いに鼻を擽られて目を覚ました。いや、匂いだけではなく何ともやわらかい感触を彼の左半身にかんじていた。寝ぼけ眼で頭を横に向けると、そこには桐乃の寝顔が会った。

「ちょ、なななな!」

 余りの出来事に寝起きだった京介の頭は一瞬にしてクリアになった。

「眠っていると昔と・・・・。じゃない!辻さん!何で私のベッドで寝てるんですか!起きてくださいよ!!」

 昔の、辻政信に汚されていない時代の可愛い妹の事を一瞬思い出したが、何故自分のベッドにいるのか問いただそうと中身爺の妹を起こし始めた。暫くゆすっていると桐乃は目を指ですりながら起きた。

「辻さん、何で私のベッドで寝ている・・って!何ですかその格好は!!」

 起き上がった桐乃を見た京介は叫び声と共に目をそらした。何と!桐乃はYシャツ1枚だけだったのだ!とはいえ下着(下だけ)はつけているようだったが。

「お気に召しませんでしたか?」

「そういう問題じゃないですよ!何処に高校生の兄のベッドにシャツ1枚でもぐりこむ中学生の妹がいるのですか!常識をわきまえてください!常識を!」

「ここにいますが?というか、私が憑依する前も何度かそういうことはあったと記憶していますが?」

 ニヤニヤと京介を見る桐乃に京介は食って掛かったが、桐乃に軽くいなされた。確かに、中学に上がった桐乃とベッドで横になったことはあるが、それは雑談などをする時だけだった。決して一緒に寝たことはない。

「そういう問題じゃ!そもそも、中身が爺の貴方が・・・。」

「京介!朝っぱらから何大声で・・・。」

 京介が桐乃に反論している途中で、突然部屋の扉が開かれ、母佳乃が入ってきた。しかし、入ってきて目に入った光景を見て絶句してしまう。
 それはそうだろう。Yシャツ1枚の娘がベッドの上で息子と仲良くいるのだ。佳乃の脳裏に最悪の予想がよぎった。

「あ、あんた達何してるの!京介、やっぱり桐乃に手を出していたのね!」

「何でそうなるんだよ!おい、桐乃。お前からも誤解だって言ってくれよ。」

「・・・ごめん、お母さん。私達愛し合ってるの!!」

 母親の糾弾に京介は身の潔白を主張したが、桐乃は場を悪化させる言葉を放った。余りのことに京介は絶句し、佳乃は腰が抜けてしまい床にへたり込んでしまった。

517 :Monolith兵:2013/07/28(日) 23:29:04
 それから1時間後、リビングに家族4人が揃っていた。珍しく日曜が非番だった父大介と佳乃がテーブルに並んで座り、京介と桐乃が対面に並んで座っていた。いつもの食事時の席順だった。

「・・・それでお前達は自分達が何を言っているのか理解しているのか?」

 いつも以上に険しい顔で、しかも米神がひくついている大介は子供二人に問いかけた。桐乃はそれに肯定したが、京介は反論しようとして桐乃に足を勢いよく踏まれ口を封じられてしまった。京介の様子に気がつかなかったのか、大介は目を瞑り一言「そうか。」とだけ呟いた。
 それきりリビングに静寂が流れた。

(なにをするんですか!それにありもしない、おぞましい事を平然と言ってくれますよね!)

(これは必要なことなのです。・・・私の中に残っている記憶ですと、桐乃ちゃんは貴方のことが大好きなのですよ。気をつけていなければ、つい貴方に甘えようとしてしまうほどに。ああ、兄妹として好きではなく、男女の仲としての好きですからね。それほど妹に思われるなんて罪作りな人ですね。)

(う・・・。じゃなくて!だからって貴方が・・・。)

「何をこそこそと話している。」

「い、いや。なぁ。」

「う、うん。」

 どすの利いた声で大介は2人の子供に問いかけた。京介と桐乃は思わずどもってしまった。いかに人生経験が豊富で、一国の頂点にいたとしても、目の前の年若い父親は余りにも恐ろしかったのだ。

「・・・こうなってしまっては仕方がない。あのことを話そう。」

「あなた・・・。」

「でなければ、俺が潰れそうだ。この2人のことだ。無理焼き引き裂いても、俺達の目の届かぬところで付き合うだろう。いや、家出などされたら・・・。」

 大介の言葉に京介と桐乃は互いに目を合わせた。一体、このような事態になって話すこととは何なのか見当がつかなかったのだ。
 いや、京介に少し心当たりが合った。自分の小さな頃の写真がアルバムが無かったり、両親の桐乃への偏愛などから何度か考えたことがある事だ。そのたびに、たとえそうだとしても2人が自分の両親で、桐乃は妹だと自分に言い聞かせてきたのだ。

「京介、俺は・・・。俺はお前の・・・。」

 京介は知らず知らずの内に唾を飲み込んでいた。いくら3度目の人生だといえ、いくら中身が爺だといっても、自分の父親からそういった事実を突きつけられると思うと緊張するなという方が無理な話だった。

「俺は、そう・・・」

 だが、大介は踏ん切りがつかないのか何度も同じ事を呟いている。京介はそんな父親を不憫に思い、「親父、言ってくれ。もう覚悟はできている。」と背中を押した。大介はそれに驚いた顔をしたがすぐに真顔に戻り、再び口を開いた。

「京介、俺はな。いや、俺達はな、・・・。」

 そして数秒の時間が流れた。

「「「辻政信だったんですよ、嶋田さぁん。」」」

 京介は、「え?」と間抜けな声を出すことしか出来なかった。目の前にいる父親の顔は先程までの真顔ではなく、前世で何度も見た、見慣れたくなかった顔つきになっていた。その隣を見ると、母親も同じ目つきと顔つきに。左側を見ると、やはり妹も見慣れたくないあの顔をしていた。
 京介は何があったのか理解したくなかった。しかし、彼の聡明な頭脳は何が起こったのかを理解してしまっていた。そう、自分以外の家族全員が辻政信だったということを。

「qあwせdrftgyふじこlp!」

 その夜、京介は3回目の人生始まって以来の大絶叫を上げた。それはこれから始まる胃痛の日々の幕開けでも合った。


桐乃√BADEND

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最終更新:2013年09月04日 20:11