663 :taka:2013/09/05(木) 14:35:02
ローカルゲームネタ でも面白いっすよ?
ネタバレが一部あるのでメトロ2033ってロシア産のゲームを知らない人は注意
664 :taka:2013/09/05(木) 14:36:43
1945年 モスクワ
終戦から二年近くが経過した。
しかし、町は相変わらず荒んだ雰囲気で満たされている。
政治家も軍人も市民も何かを堪えるような、そんな顔で街を往来している。
そんな顔でも、諦観と絶望に満たされ、強制労働収容所へと送られる奴隷たちよりはマシだろう。
今年も冬が厳しくなりそうだ、大人たちはそう囁き合いため息を深々と漏らしていた。
そんな寒い時代でも、子供たちは冒険心を失わなかった。
今、駅の駅員通路からこっそりと路線に入り込んでいる三人の少年たちもそうだった。
彼らは今、モスクワの地下鉄を騒がせている謎の怪物の正体を確かめる為にやってきたのだ。
あの大津波と異常気象のあった次の年、モスクワの地下鉄で奇妙な噂が流れた。
最終電車などの深夜便に乗っていると、窓の外に真っ黒な人影が見える事があるという。
また、路線をメンテナンスしている工員たちが現場で気絶した状態で倒れている事件が相次いだ。
軍も動員した調査が行われたがとんと原因がつかめず、昏倒する人間だけが増えていく。
そんなミステリアスな存在の正体を突き止めたい。そんな好奇心を彼らは抑える事ができなかった。
そして、そんな少年たちを襲ったのは、現実のバケモノというべきおぞましい存在だった。
逃げ去っていく2つの足音を聞きながら、男は大きく舌打ちをした。
くそ、折角柔らかい肉が幾つか手に入るとおもったのにな、と。
最後の少年…アルチョムと呼ばれる子供を抑えこむ男は浮浪者のごとき様相だった。恐らく、食い物にも困り下水へと逃げ込んだのだろう。
この時期、浮浪者などは不正規労働者として懲罰の対象となり、奴隷として工場に送られる事が多かった。
男もその内の一人だったのだろう……かつては哀れな時代の被害者は、既に恐ろしい加害者へと変貌していた。
「逃げこんでくる奴らぁ、痩せっぽっちで肉が硬くてよぉ。へへ、柔らかいなぁ、餓鬼、イイトコのぼっちゃんなんだろう?
俺ぁな、あのくせぇ肉の缶詰の正体を知ってるんだ。知った上で美味いって感じるんだからもうどうしようもねぇよなぁ」
非常灯に、ぬるりと光る刃が煌めく。ヒゲに覆われた男の目と口元が愉悦に歪んだ。
殺される、そして、バラバラにされてこいつのお腹に―。
「ぎゃっ!?」
次の瞬間、壁に叩きつけられた男の絶叫が通路に響いた。
打ちどころが悪かったのか、何度も血の混じったあぶくを吹いた後で男は動かなくなった。
「誰……?」
それは、暗闇の塊だった。ひょろ長い手足と、つるりとした東部。
奇怪な口に、黒真珠のように真っ黒で大きな眼窩。
しかし、アルチョムはおそれを感じなかった。形は異形であったが、先ほどの男よりはよっぽどまともに思えたのだ。
探るような何かが自分に入ってくるような感じがしたが、くすぐったいような気持ちになっただけだった。
「助けて、くれたの?」
少年はソレを見上げ、つぶやいた。
少年は、頭に直接彼の意思を感じた。それは『肯定』だった。
これが世界を震撼させる事になる『もう一つの人類』との初の接触だとは、この時のアルチョムが気づく由もなかった。
そして何故か彼らの存在を知った
夢幻会の重鎮は彼らとの接触を非常に恐れたという。
嶋田内閣総理大臣に至っては「俺はモスクビン書記長みたいにはならないぞ!!」と意味不明な言葉を叫んだとか……。
665 :taka:2013/09/05(木) 14:41:32
彼らが核戦争の前に地下最深部から目覚めたのは衝号作戦が地球に与えた影響と異常気象の為です
最終更新:2013年09月06日 18:42