456 :フォレストン:2013/09/05(木) 21:28:45
祝!憂鬱英国パンジャンドラム制式化!!
英国の海水浴場は実に風光明媚である。
よく管理が行き届いており、ゴミ一つ落ちていない、これが有名な観光名所であるならば、
それも分かる話なのだが、英国のどんな僻地の、どんなに小さい海水浴場にも、
小さいながらもシャワー施設や、ビーチハット(いわゆる物置。パラソルやらいろいろ収納)
もあり泳ぐだけでなく、釣りやダイビングも満喫出来るであろう。
…当時の英国の海水浴を紹介した、日本のとある雑誌の記事である。
これだけを見ると、英国人は海水浴好きなのだなぁと思ってしまうのだが、真実はそうではない。
ここまで充実した海水浴場を、国土内津々浦々まで整備したのは、英国の国土防衛戦略に
則ったものだったのである。
457 :フォレストン:2013/09/05(木) 21:29:18
英国の防衛戦略は当然ながらドーバー海峡の防衛に主眼を置かれていた。
兵士を満載した枢軸軍の上陸舟艇を、水際防御作戦で阻止することが求められていたのである。
海水浴場の整備はこの一環なのである。海水浴場を整備し、管理人を常駐させることにより、
いち早く敵襲を察知することが可能となった。管理人は退役軍人又は予備役であり、職員は
ホームガードであり戦闘訓練も受けている。
整備されたシャワー施設や、ビーチハットも、分厚いべトンで作られており、上陸時には
トーチカ代わりに使用することとなっていた。
もちろんこれだけでは、枢軸軍を撃退することは不可能だろう。
しかし、英軍には切り札があったのである。
458 :フォレストン:2013/09/05(木) 21:30:30
パンジャンドラム(Panjandrum)
史実では失敗作だの、英国面の発露だの、散々言われた、要するに欠陥兵器である。
約1.8トンの炸薬を詰めた本体を直径3mの車輪で挿んだボビン状の構造になっており、
車輪のリムに装着された多数の固形燃料ロケットモーターを一斉に噴射させることによって
車輪を回転させて走行する。つまりロケットによって直接推進力を発生させるのではなく、
あくまでも車輪と地面との摩擦抵抗によって前進するのである。これは海岸の砂地のような
場所では、車輪がただ空回りする事になるのは自明の構造であり、根本的な欠陥であった。
簡易化のため方向を安定させるジャイロスコープなどは一切装備されておらず、これも
後に致命的な問題となった。
上記の理由により、史実パンジャンドラムは失敗となったのだが、憂鬱世界のパンジャンドラム
も基本的にこれに準じた構造となっている。ロケットモーターを対地攻撃ロケットから流用
したり、一部を木製化してコストダウンを図り、設計をより量産に適するように改めている。
実際に製作して実験したものの、結果は散々であった。
構造上の問題であるため、これ以上の改良は難しく、かといってジャイロスコープ等の安定化装置
はコストダウンと量産の妨げになりかねない。
万策尽きたかと思いきや、ここからが英国面の真骨頂なのである。
窮鼠猫をかむ。追い詰められたジョンブルは英国面を発露する。
戦後事実を知った人間は、普通ここまでやるかと(特に
夢幻会の人間は)絶句したという。
459 :フォレストン:2013/09/05(木) 21:32:23
ハードがダメならソフトでなんとかする。
なんのことはない、当たり前のことであるが、ジョンブルのやることは一味も二味も違うのである。
パンジャンドラムが失敗した原因は、砂浜のデコボコで車輪が空転、バランスを崩すことである。
であるならば、砂浜をパンジャンドラムが転がりやすい地形にしてしまえば良いのである。
英国中から地質学者とゴルフ場の職員がかき集められ、各々の砂浜の地形ごとに最適な形状が求められた。
史実のように上陸作戦時に用いるのでは無く、水際阻止作戦で待ち伏せして使用するために、基本的に
海岸へ向けて下っていく形となり、逆走やバランスを崩すことが少なくなった。また、地形が最適化され、
砂浜に余計な突起物(石やその他漂流物)も無いので、目標に向けて進みやすくなり、実験では
全パンジャンドラムの実に80%が海岸へ到達したという。
時速100km/h以上で突進してくる2トン近い炸薬を内臓した物体は、ターゲットを木っ端微塵に粉砕した。
欠陥機構を運用で補ったことにより、パンジャンドラムは兵器として実用の域に達したといえるのである。
上陸予想地点である砂浜(海水浴場)は、ゴルフ場の職員(バンカー担当)により常にきれいに保たれ、
空き缶流木その他漂流物は、現地住民の協力により除去された。
戦後から現在に至るまで、英国の海水浴場がその風光明媚さで絶賛される理由は意外なところに存在したのである。
460 :フォレストン:2013/09/05(木) 21:34:22
あとがき
祝!パンジャンドラム制式化!
素晴らしい!これぞ英国面が形となtt(以下略
おいらの迸る英国面によって、あっさりとSSが出来てしまいましたよ!
個人的には、パンジャンドラムはアイデアはぶっ飛んでいましたが、状況を限定すれば使えるのでは無いか?
というのが今回の肝です。
上陸作戦時に舟艇から、発進させていたらボコボコに撃ち込まれるでしょうし、初速がついてない状況で
海岸に向けて上陸させたら、直進安定性も期待出来ません。
逆に海岸に向けて下らせて、ある程度以上の初速をつければ、あとは自重がジャイロ代わりとなるでしょう。
海岸を整地して余計なデコボコを無くせばさらに良し!
上陸する枢軸軍から見たら、まさに悪夢でしょう。爆薬を満載した数トンの鋼鉄のボビンが
100キロオーバーですっ飛んでくるのですからw
英軍の基本防衛戦術として、このパンジャンドラムを組み込むならば
1.パイクリート製『氷山障壁』で遅滞戦術。(パンジャンドラム展開の時間を稼ぐ)
2.上陸寸前の舟艇に向けて、パンジャンドラムを突撃させる。
3.対地ロケット砲(事前照準済)を大量投射して殲滅。
…といったところでしょうか。状況に応じて気化爆弾と重突撃戦車がもれなくついてきます(邪笑
対地ロケット弾については、史実のRP-3を大型化するか、本編でソ連との取引があるので、
カチューシャを英軍用に焼きなおしたモデルを大量生産すれば良いかと。
史実のLanding Craft Tank (Rocket)から流用するのもありですね。
最終更新:2013年09月06日 18:44