102 :二二三:2013/05/21(火) 16:08:03
とりあえずネタ投下

ネタSS
嶋田さんとモニカさんにこんな息子がいたらを想像してみました
この息子も3姉弟なのも完全に当方の捏造でございます
そして短く中身なしです



嶋田家の普通な長男


嶋田邸の広々としたリビングに中学生くらいの黒い短髪と碧い瞳の少年が顔を覗かせた
彼はそっと部屋を覗いて中の様子を窺う。すると部屋には壮年の男が1人テレビのニュース番組を見ていた
男は少年の父親だ。とてもそうは見えないが、もう80になる老人で名は嶋田繁太郎。少年は父の姿を確認すると部屋に入らず小声で呼び掛けた

゛父さん゛

「ん?なんだ帰ってたのか」

゛うん、さっきね……母さんは?゛

「母さんならサクラの修練を見に行ったよ」

゛姉さんの修練に?゛

「ああ、多分夜遅くまで帰らないだろうな」

「ハア~、焦って損したよ~」

母がいないのを確認した少年は大きなため息をひとつ付いて部屋に入ると、父と向かい合って座った

「なにを焦ってたんだ?またテストの点が悪かったのか?」

「平均をちょっと下回っただけだよ。でもこんな点数母さんに見せたらまた説教されるからね……」

「まったくしょうがない奴だなあ、俺なら見せても大丈夫だと思ったのか?」

「だってさ、父さんは母さんみたいにくどくど言わないじゃないか。それにあんな頭に角生やしたみたいな感じで怒ったりしないし」

「やれやれ、母さんはお前のためを思えばこそ言ってくれるんだぞ」

「それはわかってるけど、僕は嶋田の後継ぎでもクルシェフスキーの後継ぎでもないんだから姉さん達と同じ調子でやられたらたまらないよ。僕の目標は父さんと同じ平穏で静かな生き方なんだからね」

「まったく……ホントにお前は誰に似たんだか」

「胸を張って言うけど僕は父さんに似てると思ってる。運動神経普通、勉強普通、特に信念はない、夢は平社員の安月給でいいから静かに過ごすこと。ほらね」

「なにがほらねだ。お前がそんなだと俺が母さんに怒られるんだよ。そりゃ俺は平穏とは程遠い生き方をしてきたし、サクラたちには嶋田とクルシェフスキーを継いで貰わなければいけないぶん、
せめてお前には静かな生き方をしてほしいとは思うが、少しは嶋田・クルシェフスキーという自覚を持ちなさい」

103 :二二三:2013/05/21(火) 16:09:08
彼の家はちょっとばかり普通とは違う
なにが違うかと言うと、両親がとんでもない人たちなのだ
具体的には父が日本の元総理大臣で母がブリタニアのクルシェフスキー侯爵家当主にしてナイトオブラウンズ

そんな家庭環境であるため、両家の後継者として厳しい英才教育を施される姉たち同様に彼にも厳しい躾が行われていたのである。主に母モニカによって

「それは耳にたこが出来るくらい母さんに聞かされてるからわかってるよ」

「どうだかな……」

「でも母さんって丁寧な言葉遣いしてる割にはネチっこいんだよ……何回も同じ事を言われなくてもさあ」

「まあ、それだけお前のことを愛してる証拠だ」

「でも僕たま~に思うんだ。母さんもそろそろ年だから説教臭い言い回しが増えてるんじゃないかって」

母モニカは40代に乗った今でも昔と変わらない外見をしている。結婚前の写真と比べてまったく変化が見られないのだ
長い金糸の髪の毛は枝毛もなく艶々、肌は瑞々しく張りがあり十代のそれ、顔には皺ひとつなく若い頃に比べて代謝が落ちてる筈なのに無駄な肉もついていない
外見年齢二十歳くらいで中身四十代という人外っ振りを発揮していたのである

しかしいくら見た目二十代でも四十代は四十代。最近しつこくなってるのは年のせいもあるのではないかと考えた訳だ

「中身は年相応のおばさんなんだから絶対に影響あるよ。ほら、年寄りは説教臭いって言うでしょ?」

「それじゃあ俺もか?」

「父さんは例外中の例外、心が若いんだよ」

「はははそれはいいな。心が若いかぁ~それは嬉し――ッッ!!」

そこで父の表情が凍りついた。父は息子の背後に音もなく忍び寄る存在に気がついて、慌てて口を噤んだのであった
息子の背後に立つ存在の後ろでは、その存在と同じくいつの間にか部屋に入ってきた娘たちが抱き合ったまま震えている
しかし、その事に気付かない息子は、ひとりペラペラと余計なことをしゃべり続けていた


「母さんは外見が若いけど心は―」


〔心は……なんですか?〕



地の底から響いてくるような低くて恐ろしい声に彼が振り返った先には…………鬼がいた

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最終更新:2013年09月06日 20:41