905 :パトラッシュ:2013/07/13(土) 08:30:48
篠ノ之束SIDE
やーやーやー諸君、天才束さんだよ。何? 字が違うだって? ほほう、そんなことをほざく命知らず君は誰かな? 束さんが人体実験してあげるから感謝したまえよ。そうだなー、全身百か所くらいに自爆装置をつけてあげようか。自爆装置こそ科学者の永遠の夢とロマンだからねー。もっとも以前、ちーちゃんに同じことを言ったら殴られたけど。
「よく全世界指名手配中の身でありながら、白昼堂々IS学園に姿を現せたな。あのふざけたISを送り込んで注意をそらし、同時に警備システムを麻痺させたわけか?」
「大当たりー! すごいでしょー」
「貴様、一夏を新型ISの実験台にしたのか……」
「あーストップストップ。だーいじょーぶ、あれは第一世代機だから、今のいっくんには大した敵じゃないでしょ。だっけど、いっくんは予想以上だなー」いっくんと戦っていたツインテールに加えて金髪と男の娘、それにちーちゃんの後輩のメガネがアリーナでISを展開していた。いっくんが指揮官となってツインテールと金髪が長距離攻撃を加え、男の娘とメガネが中距離から狙撃してエネルギーを削り取っていく。私の粗製ISも懸命に反撃するが、四人が位置を入れ替えながら絶え間なく攻撃するのに対応できない。早くも動きが鈍くなり、遮断シールドにダメージが累積していく。やはり戦闘の専門家は違うね。
「なぜこんな騒ぎを起こす必要があった?」
「そりゃー、いっくんの才能と技術を確かめておく必要があったからね。次元回廊の向こう側の技術って相当なものがありそうだから、無関心ではいられないよ。残念だけどこちらとはコンピューター回線がつながっていないから、ハッキングすることもできないし」
「そんなことのために新しいISコアを作ってパイロットに与えたと? 貴様、人命を何だと思っている!」
「あー心配ご無用! あれはコアと同程度の性能をかろうじて発揮できる、いわばモドキだから。それにパイロットは乗ってない無人機だよ」
「無人機、だと? お前、なぜISが女にしか使えないか不明だと言っていたのは嘘だったのか!」
「逆だよ。本物のISコアは女性にしか使えないし、理由もわかっていない。だけど大幅に能力を落としたモドキなら、何とか第一世代を無人運用できるところまで漕ぎ着けたんだ」
話すうちに遮断シールドが弱まったか、モドキは片膝をついた。いっくんが突撃姿勢に入ろうとした瞬間、アリーナのスピーカーから怒声が響いた。
≪一夏ぁっ!≫
「ん、あの声は箒ちゃん?」
「し、篠ノ之、何をしている……」
≪男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!≫
あー、マズい! 箒ちゃんの絶叫放送に振り返ったモドキは、砲口のついた腕を中継室に向ける。思わず手で顔を覆ったけど、そこへいっくんが白式の瞬時加速を作動させて一気に突っ込むや、【零落白夜】の巨大なエネルギーの刃がモドキの両腕を切断していた。遮断シールドを破壊され攻撃手段を失ったモドキは、ツインテールの衝撃砲と金髪のレーザー狙撃の集中砲火を浴びて地上に落下していった。
「おー嬉しいね。やっぱりいっくんは箒ちゃんのナイトだよ」
「ふん、一夏め。ここまでやってのけるとは、お前の科学も大したことはないな」
ちーちゃんはぶつぶつ言ってるけど、今の【零落白夜】は明らかに異常だった。少なくとも製作時の予想より二倍は運動性能が高い。おかしいぞ。
「あれだけの技術力、かなり脅威だよ。いっくんが私の敵になるか味方になるかだな」
「敵だと? お前は一夏を敵とするつもりなのか!」
「さあ、それはいっくん次第だけど。一度、直接話す必要があるかも。私も向こうの世界に行ってみたくなったよ。あそーだ、ちーちゃんの昔の教え子が観客席にいたよ。銀髪にアイパッチの軍人さんがね」
「何だと……あれは、ラウラ! もう日本へ来ていたのか」
※892さんが書いているように、「さらば宇宙戦艦ヤマト」の真田さんも自爆装置にロマンを感じていたのでしょうか。wiki掲載は自由です。
最終更新:2013年09月07日 20:08