931 :パトラッシュ:2013/07/20(土) 08:23:01

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART13

篠ノ之箒SIDE(3)

 ……な、なぜ私は、ピットの床に倒れているのだ? 確か第二アリーナに乱入してきた灰色のISを、一夏たちが力を合わせて倒した。さすが一夏だと喜びながら、引き揚げて来たピットへ迎えに駆けつけたのだが――そ、そうだ、一夏に無言のまま、いきなり張り倒されたのだ。剣道で強烈な面を受けたような衝撃に、頭がくらくらする。口の中に鉄錆の味が広がり、張られた頬が熱を帯びた。そんな私を鋭い目で見下ろし、一夏は容赦なく私を問い詰めた。

「箒、どうしてあんな真似をした?」
「な、何のことだ……」
「俺たちが戦闘中、横から大声で叫んだのを忘れたか!」
「わ、私は一夏に頑張ってほしいと……私は専用機がないから……」
「そのせいであの正体不明のISは、お前を敵と認識し攻撃をかけようとしていた。あとコンマ数秒遅かったら、奴の砲撃は中継室ごとお前を確実に吹き飛ばしていた。それがわからなかったのか」
 そういえば一夏は、その攻撃を防ごうと敵ISへ瞬時加速で急襲していたが。し、しかし私は……。

「か、考えてもいなかった……一夏が戦うのを見ていて、何もできない自分がもどかしくて、せめて応援したい一心で……」
「応援だと? お前はまだ、スポーツと実戦が同じだと思っていたのか! お前の考えなしの愚かな行動で、自分だけでなく中継室にいた2人も危険にさらしたんだ」
「そ、そんなつもりは……」
「なかったろうな。無知な素人が思いつきで手を出したら、負けるかもしれないという想像力すら持ち合わせていないのだから。そうなれば責任は箒一人が取らねばならなかったろう。自分のせいで他人が死んだり傷ついても、お前は冷然と笑っていられるのか」

 そ、そんなこと、できるわけがない! 心が張り裂けそうなほど後悔し、自分を責め苛むに決まっている。まして一夏が死んだら、私も生きていられないだろう。だからこそ「頑張れ!」と叫んだのだ……専用機がない私は何もできなかったから、自分の感情を持て余してしまって何かせずにはいられず、中継室へ駆け込んだ。しかし、今日のアリーナは訓練や試合ではなく本物の戦場なのを完全に忘れてしまっていた。

「お前は剣道をするためにIS学園に入ってきたのか。そんなつもりなら今すぐ退学しろ!」
言い捨ててピットを出て行く一夏の背中を、ようやく体を起こした私は切れた唇を震わせて見送るしかなかった。自分がどれだけ馬鹿な真似をしたのか、ようやく理解する。一夏は私に愛想を尽かしたのだ……絶望と苦しみで涙がとまらない。山田先生やセシリアたちも、初めて見る一夏の激怒に呆然とするだけだった。

「篠ノ之、痛むか?」
「ち、千冬さん、私は、私は一夏に見捨てられた。どうしようもない愚か者だと……あいつが軍人として本物の戦争を戦ってきたのを忘れて、剣道の試合と同じレベルでしか考えていなかった……」
「なら、今日のその痛みを忘れるな。織斑――いや、一夏は向こうの世界で数え切れない死を体験してきたから、こちらでも自分の大切な人が死ぬのを見たくないんだ。だからこそ、甘っちょろく危険な真似をしたお前が許せなかった」
千冬さんの言葉が心にしみわたっていく。一夏は、私を大切だと思ってくれたからこそ……。
「お前が一夏にとってどうでもいい奴だったら、それこそ生きようが死のうが笑って見ていただろう。しかし、突っ走って馬鹿をやったのは事実だ。明日から三日間の反省室入りと、反省文三十枚の提出を命じる」

 う、学校の読書感想文でも「おもしろかった」か「つまらなかった」のどちらか一行しか書いたことのない私が三十枚だって。これは一夏に殴られたのより辛い罰だぞ……。

※原作を読んだとき、せめて千冬がこうすべきだと思ったので。当然、学年別個人トーナメントでの「付き合ってもらう」エピソードはありません。ところで最近、「一夏は『防衛軍』世界で女を知っている」設定にしようかと考えています。さすがに22歳の軍人がチェリーボーイとは不自然なので、初体験を(18禁で)書ければと。当然、相手は少年を優しくリードしてくれるお姉さま(壇蜜風の熟女?)で……。次回、ラウラ登場です。

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最終更新:2013年09月07日 22:23