782 :憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 EU編―Ⅱ 変更版:2013/05/30(木) 22:09:42
憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 EU編―Ⅱ 変更版
設定:休日世界
EUの情勢は不安定だ。
既に末期と言ってもいい・・・
だが、それでも諦めきれないのが人間であり。欲深い人間である。
EUに所属する国の大統領が資料で見るKMFの性能に唸った。
(ふむ・・・この資料が本当だとすると、今の【パンツァー・フンメル】では太刀打ちできないな。よくていいカモだ)
大統領が見ているのは諜報員が送ってきた日本とブリタニアのKMF分析だった。
その性能は主力としているKMFモドキ【パンツァー・フンメル】の上をゆく性能であり、うらやむことだった。
「まったく・・・極東のサルと思っていた日本が、ここまで技術力を底上げするなど誰も考えていなかったからな・・・」
シゲタロウ・シマダの手腕が良かったのだろうか?そう思っていたが、そんなことを理由にはしたくない。
資料を置き、眉間をほぐす。
「さて・・・どうする?」
【パンツァー・フンメル】の砲力を上げた改造機の案はあるが、そもそもKMFは接近戦が強みであり。接近戦のできない自分達の機体ではお話にならない。
まさに八方塞だ。
しかも忌々しいことに、シーランド王国にちょっかいを掛ける国まである。
今ブリタニア本国にいる、ヨーロッパから追い出した時代遅れの貴族達とって、格好の材料になるのわからないのだろうか?
最近では水中用KMFまで出てきている始末・・・
一応KMF【グラスゴー】のコピー機の生産は、細々とではあるが始まっている。
諜報員をブリタニアに送り、長年にわたって行われた成果と言っても良かった。
溜息をついた大統領は、気の休まらない日々を憂鬱に思った。
が、その憂鬱はある日少しだけ和らいだ。報告があったのだ。
「なに?日本人技術者が亡命貴族共に売り込みに行っただと?」
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『ある日本人技術者が、ユーロブリタニア貴族にKMF売りつけに行った』
この情報はすぐさま本国に送られて、きわめて細かに調べられた。
そして判明したのは・・・
倉敷重工所属の技術者である。
日本製KMFは【ダガー】で統一生産している為、自分がデザインしたKMFが作れなかった。
思い切って倉敷重工をやめてブリタニアに渡ってくる。
ユーロブリタニア貴族にKMFを売りに来た。
であった。
これにより諜報員は、単身渡ってくるこの人物に着目し、追跡した。
彼は必死に貴族にあたりを付けたが、どの貴族も受け取らなかった。
彼はユーロブリタニア貴族がいるというのは知っていても、彼等が『質実剛健』であることは想定外だった。
そのため、彼のKMFは受け入れがたかったのだ。
失意に打ちひがれた彼はそのままやけ酒を飲んでいた。
そこに女性が寄ってきて、ベロンベロンに酔っぱらっていた彼は、女性に言われるままホイホイついて行ってしまった。
女性と一晩の甘い夢を見た後、寝込んでしまった彼がもう一度目を開けた時、一人ポツンといる高級ホテルの一室だけだった。
甘いひと時を見せてくれた女性はおらず、さみしく日本に帰った。
783 :憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 EU編―Ⅱ 変更版:2013/05/30(木) 22:10:14
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「そうか、確保できたか」
喜ばしい報告に大統領はホクホク顔だ。
久々の良い報告に、書類を処理するスピードも上がりそうだ。
『資料はすでに研究所の方に最優先で送りました』
「ふむ・・・それで、もう一つの方はどうだ?」
『はい。そちらも何とかなりそうです。ある貴族がKMFを横流ししているようなので、便乗して動力機関に関するモノを確保致します』
「わかった。よろしく頼む」
『了解です』
「ご苦労だった」
そう言って受話器を置き、椅子に深々と座る
日本人技術者が持っていたカバンにはKMFの設計図があった。
嬉しいことに【サザーランド】クラスの実力はある機体であり、より生存性と抗耐性を考慮した代物だ。
大統領が欲していたKMFそのものだ。
設計図には発動機に関する部分など、重要な部分が無い為にこの通りにはならないだろう。
しかし生存性と抗耐性があれば、兵士の命がだいぶ助かる。
大統領は知らなかったが、彼を簡単にハニートラップできたのは理由があった。
- 単身で渡ってきた事。
- 日本では夢幻会の入れ替え人事があって、対処が一時的に疎かになっていた事。
- それほど有名ではなかった事。
- ACチームに所属していたが、モブ1的な扱いだった事。
- ほとんど内緒で来ていた事。
等々・・・理由はあるが、まさに天の助けだった。
EUに持たされた設計図は、さっそく研究に使われることが決定した。
ハニートラップにかかってしまった日本人に同情はするが、為政者として清濁併せ持たなければならいない立場として断固とした態度をとる。
そしてしばらくした後にEU製KMF【オルレアン】は作られることになる。
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『EU製が純正KMFを制作中』
その情報が伝わった日本では、ひと騒動があった。
無論、例の単身渡った技術者が問い詰められた。
彼は国家に重大な損失を与えたという事で、刑に服する事が決定した。
幸いなのは【オルレアン】は【グラスゴー】に、ACみたいな装備をさせて外観をいじったような簡単な代物であり。
特に重要となる部分の流出が全くなかったのが慰めだった。
最終更新:2013年09月08日 13:47