868 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:05:28
設定:休日世界
参考資料:シーランド王国 著者:休日氏
WIKI:シーランド王国 石油プラント
コードギアス兵器
捏造設定あり ガンダムネタあり
869 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:06:02
シーランド王国建国前篇
シーランド王国、その歴史はかなり新しく、波乱に満ちたものであった。
シーランド王国建国者であるE.U.イギリス州軍元少佐ルイ・ヴェーツは、建国前から現政府に対し不満を持ち、尚且つ癖の強い部下を押しつけられているという状況だった。まぁ、当の本人も癖がある軍人だったお蔭で部隊の中は良好で、『EUの愚連隊』と有名だった。
「あ~あ・・・つまらんなぁ」
「隊長そんなに暇なんですか?」
「暇というか不満だな」
「不満て・・・そんなのは前からじゃないですか」
「そうだな・・・あ、そうだ!」
「なんです?また上官の、遺贈のお酒でも盗むんですか?」
「違うよ。国だよ国!!」
「へ?」
「この国に不満があるなら、自分で作ればいいんだよ!!」
「その発想はなかった」
皇歴1979年2月14日・・・彼は部下の前で宣言すると、部下も「面白そうだ」と全員が提案に乗り、嫁も「いいんじゃないかしら」と普通に同意して密かに準備が進められた。
そして同年9月2日、イギリス州南東岸沖合10㎞の北海洋上にある廃棄施設にボート(中古品)を用いて上陸、放送をジャックして突如独立を宣言した。
廃棄施設は元々ブリタニアとユーロ・ブリタニアの侵攻に備える為に考案され、海上基地構想の実験施設として構築されたが維持費用や位置的な問題として廃棄されたものだった。
「廃棄されてずいぶん経つから汚いな・・・」
「まぁいいじゃないですか」
「住むならきれいにしないとね」
「嫁よ、そうだな!まずは掃除してから宣言だ!!」
「「「「「うっす!」」」」」
彼らは嫁主導の元、童心に帰ってこの拠点を整備、増設を行った。
「電力問題なし」
「そりゃ、最新の太陽光発電機持ち込んでいますからね」
「おい、ビニールハウスはどうだ?ある程度は自分で生産できないといけないぞ」
「設営できてますよ。ただ、淡水装置の方は定期的に交換しないと不味いですね・・・」
「そりゃ仕方がない。幸い俺にはおろしてある金がある。少しはもつだろう」
「倹約しないといけないわね」
「そうだな」
前向きな彼らは釣りをしたり、ボートレースをしたり、時折国に戻って足りない食料を買い込んだりしていた。
悠々自適。何をするのも自由、すべては自分の責任である。
建国?からしばらくして・・・事件は起きた。
翌1980年8月にブリタニア皇族を乗せた豪華客船、『エステカリーナ』号が行方不明になったのだ。
逸早く事件を知ったのはたまたま近くにいたヴェーツ等であり、受信が早かったのも彼等だった。
いくら勝手に軍をやめたとはいえ、人道的に無視をするなんて彼にはできなかった。
「おい、野郎ども!いくぞ!!」
「隊長、救急キットをありったけ詰め込みました!」
「流木とゴミで作った筏をけん引する準備が出来ました!」
「俺、泳げないんでここであったかい食事作っています」
「「「いいから来いよ!!」」」
「気をつけてね・・・」
「ああ、わかっているよ」
))
急行したヴェーツが見たのは、機関室から出火して煙を吹き上げる豪華客船だった。
すぐさまそのまま客船に取りついて怪我人を収容しようとするのと、周りに散らばった救命脱出筏に乗った人達を纏めるチームに別れた。
ヴェーツは自ら率先して乗り込み、船内を捜索する。
「隊長急いでください!」
「わぁってる!!」
部下を数人連れて大急ぎで館内を掛けていくと、逃げ遅れた貴族らしき人物とスーツを着た東洋人らしき人物が、奥の方からハンカチのマスクをしてあらわれた。
大急ぎで近づいていくと東洋人はヴェーツに気が付いたのか、ガックリと力が抜けたように前のめりで倒れそうになった。
慌てて支える。
「大丈夫か、しっかりするんだ!」
話しかけると貴族の方が顔を上げた。
「た、助かった。貴公、名は?」
「俺の名前なんかどうでもいい、貴様らの救助の方が先だ!」
「ヴェーツさんこっちも無事です!」
「隊長、振動が短くなってる。そろそろやばいです!!」
「しかし・・・『こちらAチーム。機関室に到着したがもう誰もいない。脱出する!!』お前らずらかるぞ!」
870 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:07:07
最後の避難員を救助した後、急いでもどり。豪華客船を離れて五分後に大爆発を起こして豪華客船『エステカリーナ』号は海中に没した。
救助した客人達を、とりあえず自分達のホームに連れて行き、手当てをすることにした。
幸い救助した貴族専属の医者がおり、彼の尽力で死者はゼロ、行方不明もゼロと言う快挙を成し遂げた。
この時・・・
「辻さん・・・ここって」
「間違いありませんね。シーランド王国ですよ」
「前世界じゃ影も形もなかったのに」
「仕方ありませんよ。津波が怖いでしょうし」
「何か御礼したいですね」
「そうですね・・・近場の事情もありますし。地盤調査だけにしておきましょう」
「EUとはまだ構えたくありませんからね」
と言う会話があった。
御存じ主人公・嶋田繁太郎と大蔵省の魔王・辻正信である。
彼らはとある貴族と知己になるため来ており、今回の事件は本当に慌てた。
そして彼らの行動が、シーランド王国の存在を根底から変えることになる。
ブリタニアで有力な貴族も助けた彼等ヴェーツは、ブリタニア・日本から感謝状と両国からの行為で施設の点検拡張、地盤調査が行われた。
「いやぁ・・・壮観ですね」
「そうか?」
「施設も拡張してもらって、大きくなって住みやすくなったし。万々歳ですね」
「そうだな。金が尽きてきたらブリタニアまで逃げる道も出来たし、良かった、良かった」
「「あっはっはっは!!」」
「ヴェーツさん、大変です!!」
「ん?」
「船が・・・民間人を乗せた船が数隻向かってきます!!」
「・・・はぁ!?」
慌てて向かってくる方向に向かい、双眼鏡でのぞくと確かに船が数隻ほどこちらに向かっていた。
大体が小型船であるが、一隻だけ中型の古い貨物船までいた。
とりあえずこちらから迎えに行き事情を聴くと、どうやら今回の調査をどう勘違いしたのかわからないが、とりあえずわかったのは自分達と同じようにEU政府に不満を持ち、尚且つ今の生活を捨ててやってきた事だった。
これにはヴェーツ夫妻と部下たちも困惑した。
ブリタニアと日本にしてもEUをむやみに刺激するのは良くないとし、感謝状と地震対策の地形調査のみするつもりだったのだ。
そこに亡命難民である。
そんなに広くない場所に、一気に数十人以上がやってきたのだ。養う事なんてできない。
ヴェーツは今の生活をやめ、ブリタニアに亡命する道を選ぶことにした。
が・・・思わぬ介入を呼び込んだ。
ヨーロッパに帰る事を望むユーロ・ブリタニアが支援を開始したのだ。
871 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:07:41
彼らは生涯の目標であるヨーロッパ帰還の足がかかりとしてシーランド王国に目をつけたのだ。
立地上の制約があるが、それでも勝算はあると見ていた。
※EU政府は今現在、末期状態であること。
※軍備がたいした事が無いこと。
※イギリスの財政等が酷く、とてもちょっかいを掛けられないこと。
等があるが、もしここでシーランド王国を仮に認めると、EUがこの国を滅ぼそうとするだろう。
その時は「友邦国家を守る」という建前で進軍できるようになる。
シーランド王国は、EUにとっての破滅に導く起爆信管としての役割を求めたのだ。
だがブリタニア本国としては旨味がない。場所が遠いうえに資源なんてない。周りは敵だらけ・・・どうしろと?
ユーロ・ブリタニアとしは独力でも戦力を調達することはできるが、今は居候の身だ。いくらブリタニア本国の財政と綿密にかかわっているからと言って、勝手には動けない。
渋るシャルル皇帝陛下に、ある提案を挙げた。
「日本と連名でかの国を認め。海洋研究所とすればよいかと思われます」
「海洋研究所ならば、すでにあるが・・・」
「あれは水産と海底資源調査関係のみでございます。かの国に求めるのは、将来における海洋コロニーの実施試験であります」
「ほう」
「さらに・・・」
「なんと、あの国はそれを認めるのか?」
「認めます。ある程度の利益が見込めるならば賛成するでしょう」
「ふむ、よくできておる。・・・しかし、日本が容認するかな?」
「そこは私が責任を持って説得してまいります」
「わかった。そこまで言うならば任せよう」
貴族は深く頭を下げた。
さっそく行動を起こした貴族は、日本に渡り交渉した。
むろん最初は渋ったが、海洋国家である日本は水中用KMFの実戦検証ができるかもしれないという軍部の思惑と、将来の投資を見据えた
夢幻会の後押しを受けて承諾。
数日後には、連名で世界中に衝撃を与えることに成功する。
『我が神聖ブリタニア帝国と大日本帝国は、両国要人の救助というルイ・ヴェーツ1世陛下とシーランド国民の多大なる貢献に対し、シーランド王国を友邦と認め、国家として承認する事をここに宣言致します』
驚いたEUはすぐさま制圧に乗り出したかったが、
『尚、シーランド王国は最恵国待遇として迎えられることになり、最低限の自国防衛体制が整備されるまでは我が国が安全を保証します』
この発言により、ユーロ・ブリタニアの思惑通りEU政府は沈黙をするしかなかった。
この時、本来ならば調査船と言えど臨検調査くらいする筈のイギリス政府は、最初から動かなかった。
と言うのも、実は密約が交わされていてとりあえず監視はするが何もしないという取り決めがあったのだ。
そして今回の発表により第三国経由ではあるが、ある程度の食料が輸入する見込みが立ち。少しはプラスの要素があった。
何もしなければ民意を改善でき、一応EU政府にも監視はしているからと言い訳は立つ。
このようにしてシーランド王国に次々と資材が運ばれていくことになる。
この事態に全くついていけなかったのは、もともと住んでいたヴェーツ夫妻と部下たちであった。
「なにがなにやら・・・」
「いいのかしら?」
「これで隊長も正式に国王様ですか」
「そうだな」
「「「「にあわねぇ~」」」」
「うるせぇ!!」
「でも、これからは大変よ。なんか会社経営みたいになるみたいだし」
「そうだな。この年でまた勉強しなきゃならないのか・・・とほほほ」
まぁ、唯一の慰めとして『最恵国待遇』を与えられた唯一の国であり。ちゃんとした国家が出来るまでは保護してくれるだろう。
シーランド王国の整備はまず埋め立てから開始されるはずだったのだが、難民があれから少し増えたために急遽、住居と発電所を送る事になった。
872 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:09:17
居住区は主に工員たちの住むスペースが割り当てており、それをお世話するのがシーランド王国の人達であった。
発電所は太陽光・風力・潮力で発電稼働するモノである。
これらは後々移動する事が考えられたため、海上に浮かぶタイプである。
最初は海上プラント群で王国を形成させるのを目標とし。
最終計画案は約二十年の歳月を掛けて国土面積0.00055k㎡から約4k㎡の人工島することを目標よしており。
人口も約15,000人にまで対応可能にするもであった。
第一次計画案は、
居住区:住民300人×1島 大(港付)
研究区:×2島 中
農業区:×1島 中
商業区:×1島 小
集積区:×1島 大(港付)
軍事区:×1島 中(港付)
工業区:×1島 大:1(港付)
発電区:×1島(港付)
シーランド王国本島×1島 極小(未整備)
第二次系計画案は、
居住区:住民300人×3島 大(一つに港付き)
研究区:×2島 中
農業区:×2島 中
娯楽区(カジノを含む):×2島 中(一つに港付き)
商業区:×1島 小
集積区:×1島 大(港付)
軍事区:×3島 大:1 中:2(連結して空港兼用)
工業区:×2島 大:1(港付) 中:1
発電区:×2島 中:2
シーランド王国本島×1島 極小(埋め立て開始)
最終計画案は、
居住区:住民400人×3島 大(一つに港付き)
研究区:×3島 中(連結予定)
農業区:×2島 大
娯楽区(カジノを含む):×2島 中(一つに港付き)
商業区:×2島 中(連結予定)
集積区:×2島 大:1(港付) 中:1(港付)
軍事区:×3島 大:1 中:2(連結して空港兼用)
工業区:×2島 大:1(港付) 中:1
発電区:×3島 中:3
シーランド王国本島:住民10000人×1島 極大(埋め立て完了)
である。戦力もかなり潤沢で、
陸上KMFブリタニア:60騎 日本:40騎
水中用KMFブリタニア:60騎 日本:40騎
水中用KGF:20騎
水陸両用戦闘航空艦艇:4機
対潜対空水上艦:24隻
を最終配備する予定である。他にも避難用の水中シェルターが各島にはあり、
873 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:09:49
シーランド王国本島:1(水中用KMF・KGFの緊急発進基地兼用。居住区・軍事区・発電区・集積区に避難可能)
居住区:×3(避難用潜水艦基地兼用、集積区と本島に避難可能)
研究区:×1(農業区に避難可能)
農業区:×2(居住区に避難可能)
娯楽区(カジノを含む):×2(商業区に避難可能)
商業区:×2(娯楽区と集積区に避難可能)
集積区:×2(軍事区・居住区・商業区・発電区・工業区・本島に避難可能)
軍事区:×2(水中用KMF・KGFと潜水艦の緊急発進基地兼用。集積区と本島に避難可能)
工業区:×1(集積区に避難可能)
発電区:×3(避難用潜水艦基地兼用、集積区と本島に避難可能)
となっている。もっとも水中の建設は、最終段階にしか計画に載っていない。
あくまでもこの計画案は順調にいけば・・・となっており、政情によっては途中で取り止めることもあった。
主な目的は海洋研究であったが、娯楽区になるカジノも法律がブリタニア本国よりも緩和されて散財しやすくなっており。
海洋観光も貴重な外貨獲得の必須事項であった。
密約によりイギリスからも収入があるので、ある程度は賄える。
しかし誤算だったのは、意外にも亡命してくる人数が当初考えていたペースよりも早く、想定していたよりも多くの住民が増えたことで居住区の拡張が急がれた。
この事態を見て面白くないと考えるEU所属の国はもちろんあった。
だが、大抵はブリタニアと構えたくないという理由で静観していたのだが・・・いつのころからか抗議をする民間船がやってきて威嚇をし始めた。
ブリタニアから派遣された護衛艦が近づいて警告するのだが、一度は離れても別の方角からやってきて威嚇をすると言うイタチゴッコになっていた。
次第にその数は増えていき、EUを刺激しない為に少数しか派遣されていない護衛艦では対処できなくなっていった。
寄港予定のシーランド王国はまだ整備中であり、そんなに長く駐留できないのも理由の一つだ。
そんななか配備されたのが水中用KMFである。
居住区島に続いて集積区島と共に配置された軍事区島には、EUを刺激しない為に航空戦力は載せていなかったが水中用KMF専用の基地が存在した。
KMF【ポートマン】が配備され、小型の民間船を追い回して追い払う事が期待されて、それに答えた。
元々武装に関して少々頼りない感じはあったが、追い払う分には問題なかった。
だが、武装する民間船が出てきてからは一変する。
簡単な対潜兵器を装備した彼らはテロリストとして対処はできたが、【ポートマン】の搭載している魚雷の航続距離が短すぎたのと、スラッシュハーケンを当てようとして海上に顔を出した瞬間に銃撃されてしまうのとで思ったような戦果が挙げられなかった。
ブリタニアは護衛艦を増やすことで対処しようとしたが、EU政府を刺激するリスクを考えると戸惑われた。
悩むところにやってきたのが日本の水中用KMF【ズゴック】であった。
【ポートマン】とは違い、【ズゴック】は合金製クローを持っているうえに、水中でも撃てるコイルガンを装備していた。
また、より水中に適した機体になっているおかげで【ポートマン】よりもはやく、水圧にも強かった。
この機動を見たブリタニア派遣軍の兵士が、
「もし我々が、ちゃんとした水中用KMFを作るならば、ズゴックよりも強いモノを作らなければならない」
874 :シーランド王国建国前篇:2013/06/22(土) 19:10:21
と言わしめるほどに優秀で、【ポートマン】は警戒機と作業用に割り当てられてしまった。
【ズゴック】はクローで竜骨を叩き切り、魚雷で船底に穴をあけ、コイルガンで反撃するなどの戦果を挙げ。『サハギン』と言うコード名をもらうようになった(ちなみに【ポートマン】は『フロッガー』である)。
まさに技術大国日本の面目躍如であった。
【ズゴック】はまさに恐怖の代名詞と言える機体になった。
しかし人間は対処していくものだ。しばらくすると、【ズゴック】でさえも対処が難しくなった。
高速で移動する魚雷艇の出現だ。
いくら水中の抵抗力を下げていると言っても、海上を突き進む魚雷艇には勝てない。
振り切られて対潜兵器をお見舞いされると、さすがに堪えた。
彼らは民主主義をこそ世界を支える政府と言う心情を持つ狂信的な輩か、海賊だと名乗っていた。
どう見てもEU所属国の嫌がらせであった。
こちらも数を揃えてはいるが、1・2隻でも抜けられると各浮き島に接近されて銃撃されるなどの被害が出た。
むろん抗議するが、EUは知らぬ存ぜぬを押し通した。
彼らの装備は型落ちの武器ばかりで、在庫処分と言っても差し支えないようなものだった。
猛威を振るい始めた彼らに頭を抱えていると、日本のある兵器がシーランド王国に送られる事になった。
◆◆◆
◆◆◆ ◆◆◆
◆◆◆
その日、シーランド王国軍事区〔G-1〕に搬入されたのは、あまりにも大きな荷物だった。
「なんですかこれ?」
運ばれてきた“モノ”を見ていた兵士に一人が、ついてきた日本の技術者に聞いた。
「これですか?これはKGF【ヴァル・ヴァロ】です」
「KGF?」
「『ナイト・ギガ・フォートレス』ですね。中に脱出用KMFを搭載させた大型局地兵器ですよ」
「へぇ。そうなんですか?」
「これ一機で小規模の艦隊くらいなら殲滅できる能力があるります」
「え、艦隊ですか!」
驚きはした兵士ではあるが、さすがにそれは嘘だろうと思い。もう一度巨大な機体を見た後、哨戒任務に戻る。
その時、巨大な機体を見ていたのは兵士だけではなく、国王ルイ・ヴェーツとブリタニアの軍事士官であった。
「こいつがなぁ・・・」
「ええ、日本が作ったKGFだそうです」
「データは見たが、実戦検証はこれからか」
「そうですね・・・しかし、この機体が成果をたたき出せば日本も大量配備するでしょう」
「大量にはいかないんじゃないか?費用は高いみたいだし」
「はは・・・、しかし日本で起動試験を見学させてもらった友人が言うには『化け物だ』だそうです。期待してもいいともおもわれます」
「そうだな、そうしよう」
二人は下層格納庫に搬入されていく機体を見届け、その場から立ち去る。
「それはそうと研究区の建設は進んでいるのかな?」
「基礎部分は完成しているそうです。農業区等の事は門外漢なので分かりかねますが・・・とりあえず軍事区〔G-2α〕〔G-2β〕の建設が急ピッチで進んでいるそうです」
「それが来れば、航空戦力の目途が立つか」
「ええ。ですが、戦力の中心はVTOL機が中心でしょう」
「滑走路が長くできれば問題ないんだけどなぁ」
「通常の戦闘機運用はできません」
二人はそのまま外に出て外周通路を歩く。
途中哨戒している兵士に返礼しつつ、間借りしている改装貨物艦の行政区画に入った。
少し揺れる船内に入ると二人は別れ、ヴェーツは執務室に向かった。
執務室に入ると秘書の代わりをしている妻が、ちょうどお茶を入れていた。
「あら、お帰りなさい」
「ああ、ただいま」
妻が自分の分のお茶を入れてくれるのを見つつ、席に座る。
「それしても・・・」
「ん?」
お茶を入れ終わり対面に座った妻が、視線をちょっと泳がせていた。
「私、本当のお姫様になるなんて信じられなかったわ」
「それは俺もだよ」
「あの時はおんぼろだったのにね」
「そうだなぁ。あの時は乗りと勢いでやっていたからな」
軽く笑いお茶を一口飲み、お菓子をつまむ。
妻もお茶を飲み、ホッと息をついて心配げな顔を向けた。
「それにしても最近は大丈夫かしら?」
「例の連中か?」
妻が心配するのは、ここ最近暴れまわる海賊の事だろうと予想する。
ここまで露骨に嫌がらせをしてくるのははっきり言って予想外であり、ヴェーツにとっても悩みの種だった。
「大丈夫さ。日本から新兵器もきたし、今度は何もさせないよ」
「・・・そうね。わかったわ」
心配そうな妻にヴェーツは笑いかけて安心させようとした。
妻も彼の表情から、自分を心配しているのがわかり微笑んだ。
しかし、ヴェーツ夫妻の懸念は一月後に具現化する事になる。
最終更新:2013年09月08日 17:40