559 :ファイバーとシャンブロの活劇:2013/06/29(土) 16:43:42
ファイバーとシャンブロの活劇



その日、ブリタニアは大いなる戦争に動いた。
午前中にEU所属の国がシーランドに宣戦布告と同時に進行を開始した。
日頃から警戒網をしっかりしいていた王国側はすぐさま対処、KGF【ヴァル・ヴァロ】を中心とした水中戦力を多用して進行豚に打撃を与える。
この時点でブリタニアも、友邦国家であるシーランド王国を守るために艦隊を出し始めた。
しかしその夜、EUの最精鋭である特殊部隊がKGF格納庫に侵入し、破壊工作を仕掛けて撤退した。
小艦隊を相手にできるKGFを漸減させられ、著しく防衛が困難になったシーランド王国に中途半端に再編成された艦体が再度襲撃し、海上施設にダメージが入った。
元々EU各国を刺激しない規模に抑えられていたシーランド王国にとってこれは、深刻な痛打であった。
通信により現状を知ったブリタニアは、この時の為に用意しておいた戦力を投入する事を決意した。
KMF【フライルー】を中核とした追加装備【ファイバー】による弾道弾式長距離強襲である
戦線が開かれて二日目の夜の出来事だ。



シーランド王国から出向中のヴェルナー・ホーストは、夜中の出撃に合わせて寝ていたが少し寝過ごしてしまい、大急ぎで着替えて【フライルー】に乗り込んだ。

「まさか留守中に襲撃されるとは・・・あいつら無事かなぁ」

計器を捜査して問題中確認し、ハンガーに飛行形態で固定されている【フライルー】内部で心配げにシーランド王国がある方向を見る。
その間に、【フライルー】には各武装が取り付けられる。ミサイルにガトリング砲、手持ち武器としてヴァリス等々・・・
すべての武装を取り付けた【フライルー】は半KGFとでもいうべき存在となり、発射台まで牽引されていく。
まだ起上っていない発射台の上に到着してロケットブースター(外見がどう見てもACFAのVOB)装着し、もう一度すべての装備が動くかどうか点検してからようやく発射台が起上る。
同時に打ち上げるのは十機ほど・・・
計器類を念入りに確認し、管制塔に通信をつなげる。

「いよぉし! こちら“ダイバー1”発射OKだ」

ヴェルナーが言うと僚機からも肯定が入った。

『了解。カウント・スタート』

管制塔が答えてロケットを起動させ、振動がコクプットを揺らす。

『五秒前』

かなり無茶をして機体を打ち上げる為、KMFでは珍しくヘルメット装着が義務図けられ、最新の対G装備を着ている。

『4』

コクピットも全天モニターではなく、頑丈にするために以前のタイプにしている(それでも最新型)。

『3』

振動がより激しくなった。

『2』

【ファイバー】のコクピットで、ヴェルナーは唇を軽く湿らせる

『1』

ここで気合を入れ、

『0・・・グッドラック!』

【ファイバー】十機が打ち上げられた。

「っぅぅ・・・・・!!」

凄まじい衝撃と圧力に目の前がちかちかする。
振動も激しく、操縦桿から手が離れそうだ。
が、根性は人一倍ある。消して離さずモニターに映る後ろの風景と、高度計を見る。

「はん・・・てぇ・・・ん・・・!!!」

一定の高度で錐揉みするように反転、だんだん真っ直ぐから斜めになっていく。
眼下にはブリタニアの海岸線が見え、基地はもう小さく見えていた。
隣を見ると、僚機が順調に飛行しているのが見える。
思わずにやりと笑うが、歯を思いっきり喰いしばっているので全然格好がつかない。
そんなわずかの間に【ファイバー】は成層圏まで到達し、一時的な水平飛行に移る。
成層圏の世界は彼に感動とやはり、懐かしさを思い出させていた。
そんな感動は長く続かず。イギリスが見えてきたところでロケットブースターを切り離し、降下体勢に入った。
目指すは敵艦体中央部。

「うぉぉぉぉ!エントリイイィイィィィ!!」

全ての【ファイバー】が一気に突入していく。
しばらくするとミサイルが飛んでくるが、当たらないか当たってもブレイズルミナスで弾き飛ばしてしまう。
恐らく艦艇のレーダーでの攻撃だろう。タイミング的に遅いのは、密約を順守するイギリスの介入だろう。
イギリスは「刺激したくない」との理由で軍は動かさずに、宣戦布告した国家が基地を利用していた。だが、つかえていたのは海岸部のみで内陸部の方はボイコットしていた。

「ひゃっほう!入れ食いだぜぇぇぇぇぇぇ!!」

射程県外からレーダー照準で、お荷物な対艦ミサイル・熱源ミサイルをぶちまける。
拡大されたモニターの中で、慌てて回避行動をとる艦艇が見えるが迎撃されなかった全てのミサイルが着弾した。
空を飛行していた敵戦闘機にも熱源ミサイルの雨が襲いかかり、何機も撃墜した。

「どっこいせぇぇぇぇぇ!!」

560 :ファイバーとシャンブロの活劇:2013/06/29(土) 16:44:12
踏ん張って水平飛行に移らせつつ、【ファイバー】をKGFモードからKMFモードに切り替える。
敵が戦場に突如出現した巨大兵器に狂騰するなか、ミサイルカーゴからコンテナミサイルを放って飛び回っていた戦闘ヘリのハエを叩き落とす。
飛行速度を緩めずハドロン砲で駆逐艦や、水中用KMFの天敵である小型高速艦艇を薙ぎ払い。
艦橋めがけてガトリング砲をぶっ放してハチの巣にする。
宵闇の中、被弾した戦闘艦が松明の様に燃え盛っている
反撃してくる敵もいるが、【ファイバー】には自動的に障壁をはってくれる簡易AIを搭載しているから問題ない。
思う存分暴れまわっていると、体制を整えたジェット戦闘機群がやってきた。
さすがの【ファイバー】も、編隊を組んでチームプレーをする戦闘機の群れは天敵だ。
ハドロン砲とガトリングガン、ヴァリスで弾幕をはりつつ後退するがだいぶ遅くなってきた機体のせいで思うように進めない。
万事休すかと思われたとき、上空から再びミサイルの雨が降り注いだ。
慌てて散開する敵を見て、すぐにレーダーを横目で確認し、上空を映すモニターを見る。

「へっ、遅いじゃねか」

そこには第二陣として到着したばかりの【ファイバー】部隊がいた。

この後、【ファイバー】部隊は最後の第三陣まで到着してシーランド王国の残存戦力と共闘し、EU海軍に多大な出血をさせてユーロブリタニア艦隊の侵攻を容易にさせることに成功した。
そしてこの反抗時に、シーランド王国から出撃した新型兵器があった。

◆◆◆

イージス艦艦長ボルドイはこの作戦に懐疑的で、消極的だった。
しかし軍人である以上、命令に従わざる負えず。部下を無事に帰すことに専念すると決めていた。
最初のKGF襲撃は予想されていた。その被害も何とか想定内に収まり、再編を大急ぎで終えて進撃再び開始した。
特殊部隊の破壊工作がうまくいったのか、最初の襲撃よりも少ないKGFの群れに落ち着いて対処し、海上施設に打撃を与えることに成功。
すぐに上陸戦力を載せた強襲艦が、激しい抵抗にあいながらも港に強行的に突入し、強制的にでもKMFが自力で上陸できそうな場所に横付けして戦力を移していた。

「今の所、順調か・・・」
「はい。艦長、我が艦は支援しなくてよろしいのですか?」
「この船は正規空母の護衛がメインだ。命令が無いのに動けるか」
「失礼しました」
「・・・気が逸るのも無理はないが、落ち着いて行動しろ。戦場ではどんなことがあるかわからんのだ」

そう言ったものの、横に立っている副艦長は少し不服そうな顔でいた。
副艦長は極端な民主主義者で、こんなところに王国を作ったヴェーツや何もしないイギリスに対し、大いに不満をもっていた。
野心もあるのでたびたびこうして積極的に動こうとする。
内心で溜息をつきつつCICの画面を見つめて、異常が発生しないか見張る事にした。
彼の不安は、その日の夜に現実のものとなる。
交代で休んでいたボルドイが館内放送で飛び起き、駆け足でCICに飛び込むと怒号が飛びまくっていた。
その中で必死に指示を出している副艦長を見つけると、肩を叩いて彼が覗き込んでいる対空レーダーを共に覗き込んだ。

561 :ファイバーとシャンブロの活劇:2013/06/29(土) 16:44:43
「どうした」
「艦長!敵襲です・・・いきなりあらわれました!」
「いきなりだと・・・どういうことだ??」
「はい・・・どうもイギリスの向こうからやってきたようなですが・・・とにかく見て下さい。おい!例のを移せ!!」

副艦長が怒鳴ると、大画面に見たこともない巨大な機体が出現していた。

「なんだコイツは・・・」
「恐らく空中飛行型のKGFです。こいつが猛スピードで上空から強襲してきて上陸艦隊を襲撃しました」
「この混乱はその為か・・・」
「はい。数は少ないですが、あり得ないぐらいの火力のせいで艦艇に被害が出ています」
「いかんな・・・提督からは?」
「『機動艦隊は一時的に此処から離れ、敵奇襲に備えんとす』だそうです」
「ぬ・・・う・・・」

その命令は味方を見捨てるようにも聞こえるが、空母があの砲撃戦の中に突入しても無意味で邪魔な存在でしかない事には変わりなく、妥当な判断であった。

「わかった。それで、進路は?」
「それは〔Beee!Beee!〕どうした!!」

いきなりの警報に、副長が怒鳴るとレーダー員が振り向いて答える。

「ミサイルです!シーランドから多数のミサイル接近!!」
「ちぃ!こちらを逃がすつもりはないという事か?!」

すぐに迎撃ミサイルを発射すると同時に単装砲と機銃を飛来する方向に向ける。
迎撃ミサイルが何発かうまく撃墜してくれたが、すべて撃墜できるはずもなく全体の83%がこちらに向かって突進してくる。

「良く引き付けてから打ちこめ!!」

ボルドイの怒声に船員は威勢よく返答し、副艦長も他の艦との連絡を密に保つべく努力する。
機銃と単装砲が艦上で火を噴き、ミサイルに近づくなと拒絶の意識を叩きつける。
更に数発撃墜できたが、一発がボルドイの指揮するイージス艦に突入してきた。

「いかん!対ショック急げ!!」

マイクに噛り付いて怒鳴り、すぐに自分も体を固定する。
わずか数秒であったはずなのに長く感じられ、じれったくなるが衝撃は思いっきり乗艦を揺らした。
悲鳴が上がるCIC内で、ボルドイは動揺が収まると同時に顔を上げて状況を確認する。
幸いなのか最悪なのか、ミサイルは艦体中央部上甲部にあたっていた。装甲が最もある場所で、レーダーに近い場所であった。

「レーダーは・・・くそ、だめか!」

乱れまくる画面を見て、机を八つ当たり気味に殴りつける。
近くで倒れたままの副館長を助け起こすと、聴音手がヘッドホンを投げ捨てた。

「艦長此方も駄目です。やつら、ミサイルの中に海中で作動する妨害装置まで含めていたようです」
「いかんな、それは」

海中の耳を塞がれたという事は、水中用KMF・水中用KGFの接近がわからないという事だ。
更に念入りに磁器探知機まで封じるものもあったようだ。
すぐにこの海域から離れなければならないが、機動艦隊はまだ混乱していた。
しかし、被害はそうでもないのかすぐに消化が始まり。通信が正常に入り始める。
一安心できると思った時、CICのモニターの一つに映っていた味方艦が何かに貫かれた。
一番初めに気が付いたのは副艦長だった。

「・・・なんだあれは・・・」

彼が呟いて見つめる方向にCICにいた全員が目を向けると、その味方艦中央部から何かが生えていた。
それは三本の爪があって・・・その爪は見ている前で素早く視界から消えた。
爪が生えていた味方艦は休息に沈み始め、艦体を真二つにして海中に消えた。
次に餌食になったのは沈められた艦艇の近くにいた味方艦で、海中から出現した何かが覆いかぶさるように伸し掛かり、艦の上を破壊しながらその巨体を伸し上げた。
それはまるで恐竜のようなシルエットだった。その巨体は見るものすべてを圧倒し、恐怖を抱かせた。
それ・・・モンスターは好き放題に味方艦を蹂躙した後、海中に戻った。

「はっ・・・あ、あいつはどこにいった!!」
「わかりません!以前海中の様子はモニターできません!」

562 :ファイバーとシャンブロの活劇:2013/06/29(土) 16:45:13
呆然としていたボルドイであったが、すぐに職務を思い出して問いかけるも芳しくない状況が報告された。
あれがなんなのかはわかる。恐らくシーランド王国の切り札だろう。
その存在を、態々ミサイルまで発射して隠したのだ。
そして目標もわかる。狙いは味方の正規空母だ。
ボルドイが命令しようとすると、味方艦から一斉に悲鳴が上がった。
水中用KMFが一気に襲いかかってきたからだ。
味方のKMFモドキの【キャンサー】も応戦しているだろうが、あちらは嫌がらせなどをあしらってきた経験者でこちらはまだそれほど経験のない乗り手、勝敗などわかりきった答えだった。

艦底をぶち抜かれるもの、

艦上に這い上がられてロケット弾を撃ち込まれるもの、

側舷から穴を広げられて侵入されるもの、

返り討ちに成功するも最後っ屁で魚雷をドテッパラに受けるもの、

阿鼻叫喚の地獄絵図になっていた。

ボルドイはそれでも艦を空母の近くに持って行き、護衛しようとした。
もう艦隊行動がどうのこうのと言っていられなかった。
最悪を避けるべく行動する。
だが・・・ボルドイの行動は無意味なものとなる。
モンスターが再び海面近くに浮上し後部から大量のミサイルを発射。無事だった味方艦に被害を与え、前方にいた邪魔な護衛艦を振り上げた腕で叩き潰す。
ボルドイが砲撃を叩きこむが、空中に障壁を展開して弾き飛ばして空母に直進していく。
空母もやられまいと機銃などを怪物に向けて攻撃するが、同じように障壁を展開して防ぐ。
そしてとうとうモンスターは空母に張り付いた。
側舷エレベーターを引きはがし、いったん海中に身を沈めさせ、今度は勢いをつけて飛び上がった。
機体は見事に空母の上に乗っかり、折りたたんでいたクローを展開して残っていた航空機を掴んではうるさい機関砲に叩きつけ、黙らせていく。
そればかりかモンスターは頭部から白い閃光を吐き出し、閃光を海上に向けて薙いだ。
閃光が当たった艦艇は赤熱蒸発して爆発して沈んだ。
胸部からも黒い線条の砲撃が叩き込まれ、近寄ってきた艦艇を串刺しにする。
強襲揚陸艦から発艦してきたのか戦闘ヘリが急行してきたが、後部からミサイルを叩きだして追い払う。
そしてダメ押しとばかりに両肩の装甲が上下に割れて何かが射出され、後から白い光が射出されたものに当たると光はレーザーとなって進路上の物をランダムに貫き薙いで行った。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

ボルドイのイージス艦はもろの白い光を受け、艦体がずたずたにやられてもはや沈むのも時間の問題となってしまった。

563 :ファイバーとシャンブロの活劇:2013/06/29(土) 16:45:43
「副艦長、こうなっては仕方がない・・・総員退艦を命じる」
「艦長・・・」
「大の男が泣くな。何、生きて入ればんとかなるさ」

そう言って傷を負ったCICのメンバーに、肩を貸して出て行った。
死者はいたが生き残った船員が全員脱出できる時間はあったらしく、急いだものの余裕を持って退艦できた。
そして投げ出された他の艦艇の船員を助けている際に、もう一隻いた空母を口からの閃光で大穴を開けて撃沈し、仕上げとばかりに居座って居た空母を上から串刺しにして爆発沈没する前に退却していくのを、ボルドイは只々見つめていた。

この後、彼らはシーランド王国で捕虜となり収容所のに入れられ、終戦まで過ごして無事に帰国できた
モンスター・・・KGF【シャンブロ】は、元EU海軍兵士に大いなるトラウマを植え付けていた事を書いておこう。

564 :影響を受ける人:2013/06/29(土) 16:46:23

どちらも好きな機体であったので、即興で書いてみました。
至らない部分もありますが、喜んでいただければ幸いです。

シャンブロの性能ですが簡単に・・・

シャンブロ『SHAMBLO』 和名:嵐餓『ランガ』
型式番号:AMA-X7 開発:ブリタニアと日本の共同開発機
生産形態:試作機
武装: 頭部装備:荷電粒子砲×1 ガトリング砲×2
    胸部:ハドロン砲×5 コイルガン×2 スラッシュハーケン×4
    椀部:大型クロー×2 拡散構造相転移砲×2 スラッシュハーケン×2 コイルガン×二
    後部:ミサイルランチャー×8(総弾数24) 魚雷×4(総弾数16) コイルガン×四
特殊装備:ブレイズルミナス クラッシュブースター(両肩×6 後部×4) フロートユニット 電磁界装甲
移動手段:ホバー ランドスピナー フロートユニット
操縦者:二人

解説:日本とブリタニアの共同開発機。
将来において水中用KMFの需要が減ると判断した上層部が拠点防衛用に開発したKGF。
拠点防衛という事で移動は遅くとも良く、防御力重視という事で装甲が重視されている。
しかし計画よりも巨大化したためユグドラシルドライブを二つ装備しており、巨体の旋回能力を補助するためにフロートユニットまで装備、緊急回避用にクラッシュブースターまで取り付けた結果【ヴァル・ヴァロ】が四機、楽に生産できるほどのコストになってしまった。
その為一機のみの生産となっている。
操縦者も二人必要で、脱出用KMFを装備していないのも特徴である(コクピット自体が脱出可能となっている)。
凄まじい金食い虫であるがその能力は小さな要塞と言え、並大抵の腕では取りつくこともできない。
コイルガンがハリネズミのように装備されているのは、取りつかれるのを防ぐ為である。
拡散構造相転移砲も装備しているが、基本的にCP任せでおおざっぱな攻撃しかできない(味方を避けて攻撃できない。せいぜい自分に当てない様にするだけ)。

です。
とりあえずとんでも兵器にしてみました。

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最終更新:2013年09月08日 15:34