- 148. ヒナヒナ 2011/12/12(月) 20:07:54
- >>134-136
乙です。量子コンピュータw 暗号周りが無理ゲーな気がする。
さて、誰得な憂鬱×ミステリが続いてしまいました。
平成ミステリを題材にすると、憂鬱メインキャラと絡ませ辛くて大変です。
・浅見光彦 in 憂鬱世界
東京都北区西ヶ原の閑静な住宅街の一角。
いい年をした男性が平日の昼間からぼんやりと外を眺めている光景はあまり世間体がいいとはいえないが、
この家は外から内部を見渡せないように大きな庭木が配置されていたので事なきを得た。
この二階から道路を眺めている男はこの家の次男坊、浅見光彦だ。
既に家主は長男・陽一郎が継いでいるため、光彦は実質的な居候であり、
母・雪江に早くいい人を見つける様に言われ続けているが。
浅見光彦はフリーのルポライターで地味目なインタビューや、商品の提灯持ち記事を書いて、雑誌に原稿を収めている。
高級官僚を代々輩出してきた浅見家では色々肩身が狭い。
この仕事で大日本帝国に貢献しているかどうかといわれると、特に彼が居なくても問題ないのだが、彼の真価はそこではない。
警察組織の手に余る(大体の場合、事件であると思われていなかった)事件を解決する探偵としてその筋では有名である。
そのルポライター兼探偵が平日の昼間から自宅にいる理由は、依頼人を待っているためだった。
一応、光彦本人は居候であることを自覚しているので、自宅を仕事で使うことはあまり無い。
今回、浅見家で待ち合わせになったのは、先方の申し出による物であった。
依頼人は光彦の年の離れた兄・陽一郎からの紹介である、辻という名の女性だ。
日頃、兄・陽一郎にお世話になりっぱなしの光彦としては、断るという選択肢は存在しなかった。
依頼人の辻は、40歳くらいに見えるおしとやかな女性であった。
もっとも、女性は化粧で化けるので本当は50歳に達しているのかもしれないと光彦は思った。
「こんにちは。光彦さん。辻と申します。あなたが小さかった頃にお会いしたのを覚えていらっしゃるかしら。」
「いえ、その、失礼ですが記憶にございません…。父と交友のあったというのは聞いているのですが。」
「そうですね。そのときは私もこんなおばちゃんじゃなくて若かったし、あなたもまだ小さかったから…
あと、あなたのお父様と交友があったのは私ではなく、私の夫です。」
お分かりになりますね。と念を押されれば彼女の身元を確認する事も出来なくなってしまった。
光彦の父・秀一は、光彦が13歳の時に亡くなっているが、大蔵省の次官就任直前に夭折したという俊英だ。
その父・秀一が付き合いのあった、辻という苗字の人物などと言われれば、如何に政治に疎い光彦でも想像がつく。
- 149. ヒナヒナ 2011/12/12(月) 20:08:39
- 大蔵省の魔人・辻政信。
たしか、老齢になってから若い奥さんを娶ったことでも有名だった人物だ。
彼は既に亡くなっているが、一部の間では未だに、東南アジアの片隅で生きているのではないか、
と冗談交じりに囁かれるほどの、規格外の人物だった。
救国の宰相・嶋田繁太郎が人格者で公明正大な指導者として語られるのに対して、
大蔵省の魔人・辻政信は、権謀術数を駆使して大日本帝国のために諸外国と暗闘を繰り広げた喰えぬ人物というイメージがある。
辻氏の未亡人が国家権力ではなく、浅見光彦という個人に依頼をしてきた。
面倒なことになりそうな予感を抑えて、彼女の話を聞くことにする。
「さて、私の依頼は夫の遺作を探すことなのです。」
「辻氏の遺作……ですか? 辻氏が書画を嗜まれていたとは知りませんでした。」
「いえ、書画の類ではございませんよ。夫は書画も漫画も好きでしたが、自作はしなかったのです。」
「そうでしょうね。それに辻氏が収集したコレクションは個人所蔵でなく、すべて国家に寄付して美術館に保管されているそうですし。」
「私が探しているのは夫の書いた計画書です。」
大日本帝国最大のフィクサーの書いた計画書……。
大日本帝国の将来を描いた一大構想書なのだろうか、それとも今までの政策の裏事情が書かれた機密書類なのだろうか。
どちらにしても、明らかに光彦のような素人探偵の出る幕ではなかった。
それとなく、遠まわしに辻未亡人に伝えると辻未亡人は艶然と笑った。
「夫はこの国の教育に力を入れていました。それについて個人的な夢や想いがあったようです。
私は夫の夢を継いであげたいのだけれど、夫は生前、あまりその話をしてくれませんでした。
なので、夫が構想を持ってどんなことを行っていたのか知りたいのです。」
「それはまた……。しかし、辻氏の部下だった方に聞かれた方が早いのでは?」
「私も聞いてみたのだけれど、夫の直接の部下の方はあまり個人の夢に関しては知らなかったみたいなの。ただ……。」
「ただ?」
「夫が所属していた政治結社の様なものがあったらしいのだけれど、その方たちと関係があるようです。」
「辻氏の所属していた政治結社ですか。それはまた凄い話ですね。しかし、情報が全く無いとなると難しいですね。」
「夫が酔ったときに一回だけ夢幻会とかMMJという言葉を聞いたことがあります。
その時は古い友人の方と飲んでいらして、私が聞いているとは思わなかったようなのです。
恐らく、それがヒントになるのではないかしら?
もちろん、貴方が身の危険を感じたら手を引いても良いの。夫の夢に少しだけでも近づきたいだけですから。」
「そういう理由なら……分かりました。僕が出来る限りの調査を行わせていただきます。」
こうして、辻未亡人の夫への想いに敬意を表して、光彦が辻の遺作の捜索を始めた事で、
過去の恥を表に出したくない夢幻会良識派(少数)と名探偵・浅見光彦の静かな戦いが幕を開けた。
もちろん、浅見光彦はこの捜査の途中で殺人事件や過去のゴタゴタに巻き込まれたり、
怪しい人物として所轄の警察で任意の取り調べを受けたりと、お約束の展開が繰り広げられることとなる。
また、ミステリーファンの夢幻会員が、捜査中の光彦に謎の人物をよそおって近づき煽ったりしていた事が後に分かり、
良識派に「自重しろ」とキレられることになる。
- 151. ヒナヒナ 2011/12/12(月) 20:09:13
- あとがき
今回は浅見光彦シリーズですね。導入部のみという微妙さ。
ルパン一世、ポアロ、古畑に続いて憂鬱×ミステリの第4弾です。
ひゅうが氏の十津川警部を入れれば第五弾ですね。
所轄警察「お前の身元を言え」
浅見光彦「実は…」
所轄警察「な、なんだってー」
が出来なかった。そこまで書く気力がなかったよ。
辻は本編中で出生年が明記されていないので、適当な書き方になってしまいました。
まあ、浅見光彦も永遠の33歳だから年代設定は適当なのですけどね。
辻の奥さんは後年、お嬢様学校にいた理想の女学生を娶ったのでしょう。
夢幻会は一般には公開されていない設定で書いています。中村大佐残念。
辻の計画書? もちろん、お嬢様学校で流行らせる予定の服装規定や唱歌の目録とか諸々のMMJ企画書とかですよ。
あと感想にあった、シャーロックホームズ、明智小五郎、金田一耕助は
あまり詳しくないので無理です。耕助は時代的に書きやすいのですが、何にせよ知識が無いもので。
それはそうと、ジパング二次はつづかないかな。(チラッ
最終更新:2011年12月31日 21:21