612 :二二三:2013/08/26(月) 00:39:34
なんとなく書いたネタ投下
いっくんとリーライナの話
色々ねつ造?



ブリタニアはヴェルガモン伯爵領にある大きなお屋敷
その屋敷の奥にある一室では、男らしく坊主頭にした壮年の東洋人男性が、お金持ちや貴族などが使っていそうな豪奢なベッドの上で、うつ伏せになって苦しんでいた

「いっ、痛いっ、もう少し加減してくれ、」

男性は腰を痛めている。誰でもそうだが、腰が痛いときは家族に揉んで貰うのが一番

「はいはい、わかってるわよ」

ということで男性の身体を跨いでベッドに膝を突く金髪ロングヘアの美人な奥様が腰を揉んでいる

「まったく。なにが"今夜は身体の調子がいいから寝かさんぞ"よ。少しは自分の歳を考えなさいよ」

「す、すまん、まだまだ若いと思っていたのだが、気付かん内に結構ガタがきていたようだ」

男は反省する。前は一晩くらい余裕であったものだが、いつまでも若くはないのだと
それ以前に一度目の人生で歳を取れば衰えるとわかっていた筈なのに"もう歳なんだから無理しないで"という妻の気遣いに、ムカッ腹が立って無茶をしてしまったのだから自業自得だ
人間歳を取ると身体の至る所に不具合が出て来るもの
長年使い続けていれる冷蔵庫や洗濯機などの家電製品と同じで、肉体というのも壊れてくる
幾ら若い頃海軍で鍛え、今でも節制しながら日々の運動を欠かさないようにしているとはいっても、本当の若者には適わない
それが証拠に年若い妻はぴんぴんつやつやしているのに、自分は恥ずかしながらぎっくり腰

「情けない。まだまだ若い者には負けんつもりなのだが……」

「若い者なんて言葉が出て、それを私に投げ掛けてる時点でいっくんももう若くないの。大体いっくんって私のお父様とお母様より年上じゃない」

事実だ。妻が二十代前半なのだから、ご両親が年下なのも至極普通である
今でこそ違和感なく話をしているが、結婚前まではギクシャクした会話をしていた。多分年上だからと気を使われていたのだろう

「お父様ったら、婿殿にはご無理なさらないようにって心配してたわよ?」

「う…む、それはいかん…。ご両親にご心配を掛けさせる為に来たわけではないからな」

男、いっくんが遙々ブリタニアはヴェルガモン伯爵家、つまり妻リーライナ・ヴェルガモンの実家を訪れたのは、夏の長期休暇を実家で過ごそうとなったからである
お盆の期間は日本で、後半はヴェルガモン伯爵家で過ごすのが妻と一緒になってからの夏の過ごし方だ

「もっとも元気なら元気で厄介なんだけどね~」

「なにが厄介なんだリーラ」

「だって、うちの領で試験的に運営を始めたカジノに行かれたら潰れちゃうじゃない。どうせこっちにいる間に隙を見つけて行く気だったんでしょ?」

「い、いや、それはだな、」

妻の言うカジノとは、国が運営しているものではなくてヴェルガモン家傘下の貴族が伯爵に許可を取って試験的に運営を始めたもの。実質的には義父である伯爵が後ろ盾になっているヴェルガモンの私営カジノだ
悪く言えばギャンブル狂とでもいうべき博打好きのいっくんは当然実家に帰省している間に一度は立ち寄ってみようと考えていた
しかし、それをされると困るのが妻リーライナである

「領主の娘婿が、領主傘下の貴族が経営しているカジノを潰したなんてことになったら堪ったものじゃないわ」

「そこは加減する。お父上からも許可は得ているのだから少しくらい良いだろう?」

「ダメ!お父様が許可しても私が許可しないから。だってお父様はいっくんの"腕"を舐めてるから。いっくんがEUで"クラッシャー"なんて渾名付けられるくらい凄腕の博徒だってこと未だに信じてないし」

「誰がクラッシャーだ!俺はただ純粋にギャンブルを楽しんでいるだけであってだな……!」

「ダメなものはダメ!ぎっくり腰のオジサンは家で大人しく寝てればいいの!」

「ならば意地でも治すぞ!」

「治ったら家族サービスに決まってるでしょ!それとも、まさかあの子連れてカジノ行く気?」

「いくらなんでも子どもを連れては行けんよ……」

あの子とは二人の子どもである。まだまだ幼児であり賭博上に連れて行くなどとんでもない

結局のところ、いっくんはぎっくり腰と妻と子どもに雁字搦めにされてヴェルガモン領のカジノへは行けないのであった

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年09月15日 18:39