408 :二二三:2013/08/30(金) 00:42:54
色々自己設定入れてるネタ~
元ネタは休日氏のヒゲ子爵



小貴族には金が無い


都会を離れて開けた平原にある一本の舗装された道を一台の高級車が行く

「もう間もなくお屋敷です」

おかっぱ頭で緑色の豪奢な服を着た運転手が、後部座席に座っている肥満体の男に声をかけた

「んん~そうか。もう屋敷に到着か」

男の名はルイ・スズキ・106世

神聖ブリタニア帝国スズキ子爵家の当主だ
スズキは脇に置いていた愛用のシルクハットを被るとトレードマークの口ひげを弄る

「しかしあれだね~ヤグチくん。先祖代々続く我がスズキ家は由緒ある貴族として大抵の物は揃っているが、騎士団だけは小さく装備も貧弱だね~」

見えてきた屋敷の周りには少数の騎士たちが怪しい者がいないかと警備についているのが見えた
精鋭とは言えないが、皆昔からスズキ家に仕えている忠義厚き騎士たちだ
信頼を置く小さな騎士団の数は総数500人ほど。それほど大きくもない領地を護るには充分な兵力だが、如何せん装備が貧弱である
ブリタニア正規軍は今や第7世代機ヴィンセントとウォードを配備し、各諸侯の私兵騎士団もクルシェフスキー、アッシュフォード、シュタットフェルトといった大貴族なら一部同等の機体と第5世代機グロースターを配備するという充実振り
古くからの名家ならヴェルガモン伯爵家の騎士団にも少数ながらウォードが配備され、グロースターは相当数に上る機数を誇っている
対して自分の家の騎士団は未だにKMFがない剣と自動小銃のみ。実に寂しい限りだ

そんな騎士団を見ていた彼はふと思い付いた

「良いことを思い付いたぞヤグチくん!今度の領地運営の予算にグロースターの購入費用を計上しよう!」

無いなら買えば良い。なにも買えないわけではないし、自家の騎士団に配備してはならないという法律もない
ちゃんと届け出をして置けば領地を持つ貴族ならKMFの所有許可が降りる
比べるのは間違っているのだが、クルシェフスキー家に至っては陸海空軍全て揃った一国の軍隊とも呼べる巨大騎士団を編成しているのだし、KMF導入を決断しても良いのではないか?
どうして今まで考えなかったのかと期待に胸を膨らませる
ヴィンセントなどの新鋭機は子爵という階級上保有は不可能である。そもヴィンセントなど高級過ぎて買えるような金は無いし、維持費用の捻出も無理だ
だがグロースターなら!
そう考えての提案であったのだが

「却下」

けんもほろろに断られてしまった

「どうしてだね!グロースターくらいなら何とかなるのではないのか!?」

あくまでKMFが欲しいと食い下がるスズキに、ヤグチは却下した理由を話し始めた

「子爵さま、残念ながらグロースターを少数購入するだけでも我がスズキ家はあっぷあっぷで御座います。確かにギリで予算を組めなくはありませんが、そんな状況で年間の維持費をどうなされるおつもりで御座いますか?」

よもや維持費がタダであるとはお申しになりませんよね?
ヤグチは眼鏡の奥で双眸を光らせながら迫る

「は、ははは、」

スズキの口から出て来るのは渇いた笑い声。この従者ヤグチは古くからスズキ家に仕える家系であり時の当主の身辺警護をもこなす実力者
温和な雰囲気だが怒らせると怖いのだ

「じ、冗談っ、冗談に決まっているではないかヤグチくん!いつもやってる貴族の軽いジョークだよ!ほら、ルネッサ~ンス!」

「運転中で御座います」

「そ、そうであったね~、これは失敬」

従者ヤグチの目が怖かったので、思わず主張を取り下げてしまったが、グロースターがダメならランクを落としてサザーランドを、などと考えるスズキ子爵

結構懲りない男であった

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最終更新:2013年09月20日 14:46