425 :New ◆QTlJyklQpI:2013/10/02(水) 01:48:08
※ゲート 自衛隊とのクロスです。
ネタSS ~大日本帝国は特地に転移しました~
「何と、いうことだ・・・・・・」
エルベ藩王国から出征してきたデュランは目の前に現出した地獄にその言葉しか思い浮かばなかった。
帝国の皇帝モルト・ソル・アウグスタスにより呼集されたコドゥ・リノ・グワバン(連合諸王国軍)。
21カ国30万の兵力と号した大軍勢は最近になって東の果てより現れ、帝国領土を蚕食する蛮族からファルマート大陸
を守るという大義名分の下200年ぶりに結成され、先の戦闘で壊滅した帝国軍主力と合流し帝都へ進撃せんとする蛮族の軍へ
向かった。途中何の妨害もなく軍を動かせた事にデュランを含め一部は不気味に思ったが「我々の大軍勢に怖気づいたの
だろう」という大勢の楽観論の前に不安の声は掻き消され、軍議において「鎧袖一触、岩に卵を投げつけるがごとくの結果
となるであろう」と(これだけの兵数だと細かな指示が下せないこともあるが)単純な数に任せた力押しが決定された。
結果的には軍議の言葉通りとなった。
卵の側は我々であったが。
まるで火山が噴火したかのような轟音と共に吹き飛ぶ歩兵の戦列。
”パンッ!パンッ!”や”ドドドド!”という音と共に降ってくる光の雨が当たるたびに人馬問わず肉塊と化す騎兵。
空を見れば飛んでいた龍騎兵も鉄の飛龍に光の雨を浴びせられて次々と落ちていく。
そして手足を無くし、或いは臓物が飛び出しながらも泣き叫ぶ魔導士や正気を失い嗤い狂う弓兵。
最早、唯の瓦礫の山と化したバリスタやカタパルトなどの攻城兵器群。
これがつい先ほどまであった30万の兵力と号した大軍勢なのかとデュランは半ば現実逃避に陥り茫然として
いたが目の前から走ってくる人物を見て我に返った。
「リィグゥ公!」
「デュラン殿!デュラン殿!デュラン殿!」
ぜぇぜぇと息を上げながら走って来たのは先ほどまで華美な鎧を着ていたリィグゥ公国の国王であったが
今やその鎧は血と泥に塗れ、目は血走り、熱に浮かされたようにデュランの名を何度も叫んでいる。
「デュラン殿!逃げるのだ!これは、こんなのは戦ではない!こんなのガッ・・・・!」
更に捲し立てようとしたリィグゥ公であったがパシュッという音と共に崩れ落ちる。
リィグゥ公の頭が果実のように割れているのを確認した時”キュラキュラ”という金属音と共に現れた巨大な鉄の箱のような
物体の群れ。長い筒から火を噴き、光の雨を近くの兵に浴びせ、見た事もない足で轢き潰しながら近づいて来ていた。
「・・・・・神よ」
思わず天を仰ぐデュランの目に写ったのは鉄の飛龍、その胴体に描かれた少女の絵であった。
ー数日後
「連合諸王国軍は壊滅。ようやく帝国は講和に傾いたか」
「元々バカバカしい衝突から始まった戦争でしたしね。流石に皇子のメンツのために国が滅ぶのは憚れたのでしょう」
ファルマート大陸の東、大日本帝国の首都では
夢幻会メンバーが先の戦闘の詳細と帝国からのメッセージに
ついて協議していた。
日米開戦の直前、突如異世界に飛ばされた大日本帝国。
海外にいた人員や装備などがどういうわけか内地に存在するなど多少の混乱は見られたものの、国内の混乱を局限に
留めることに成功。しかし、対米戦に備えて大量に備蓄していたとはいえ資源や食糧が尽きる前に供給源を
確保しなくてはならず、航空索敵により南と西に陸地があることが判明し急遽何故か内地に戻っていた
陸軍部隊を転用し現地での情報収集、特に現地の情勢や資源・食糧地帯の情報収集及び確保に
全力を挙げた。そして情報収集の結果、西の陸地がファルマートという名の大陸であり魔法や神、ドラゴンなどが
存在するファンタジー世界であること、そして帝国という唯一の覇権国家が大陸の大半を支配下に治めていることが判明した。
426 :New ◆QTlJyklQpI:2013/10/02(水) 01:48:45
「ここは特地か・・・・」
「原作より前みたいですね」
「ロゥリィ聖下に会えるおw」
「エルフがオレを待っている♪」
「確か東と言えばヴォーリアバニー(首狩兎)の生息地だったはずだが・・・・」
「・・・・嫌な予感しかしない」
実際予感は的中することとなる。
山脈を越えた先に広大な草原地帯を発見した陸軍であったがそこでヴォーリアバニーの討伐(という名分の奴隷化)
に向かっていたゾルザル派の軍勢と遭遇、いくつかの行き違いの末に戦闘に発展することとなった。
「ホントにあの馬鹿のゾルザルのせいで酷い出費です。おかげでケモミミ少女たちに萌える暇もない」
「・・・・辻さんいつの間にケモミミ派に?」
「私はケモミミだろうと亜神だろうと分け隔てなく(見た目)少女を愛でる主義ですよ?」
「・・・・・・」
幸い戦闘自体はゴブリンやオーガなどに備えて重装備を持っていた陸軍側の圧勝となったが
この敗北の知らせに激怒したゾルザルが東方に現れた蛮族の誅罰を唱えたことで事態は悪化する。
カーゼル侯爵など議会の面々は出征費用や相手の情報不足からまずは偵察もかねて相手と接触する
ことを唱えたがゾルザル率いる主戦派の勢いとこれまで武断政策を推し進めてきた現皇帝に押し切られる形で
開戦に踏み切ることとなった。
帝国の主力と植民地などからかき集めた艦艇が陸海から東にある日本へと進軍したが
満州や太平洋で対米戦に備えていた陸海軍に勝てるわけもなく呆気なく蹴散らされ、
短期決戦を目論んだ日本軍の電撃侵攻に連合諸王国軍も敗れ去ったことで
半ば降伏に近い形で講和が結ばれることとなった。
「しかし、降伏でなく講和で良かったので?」
「今の日本では大陸東部と割譲した南方の植民地だけでも精一杯だ。それに相手は全く価値観の違う封建国家
下手に介入すれば泥沼に片足を突っ込むことになるだろう」
「幸いフォルマル伯爵家との繋がりから経済的な手綱は握れますんで実利を取れれば十分です」
「早速取り込みましたか・・・・」
「趣味を同じくする”同志”ですんで」
フォルマル伯爵家当主コルト。原作開始時では既に故人であるがこっちではまだ存命であり、この世界では
珍しい開明的な思想と亜人種の保護という”趣味”から早速MMJの手により接触が持たれ、経済協定などを結び帝国内の
市場進出の足掛かりとしていた。
「帝国内は経済を抑えるとして南部の植民地と東北部の草原地帯の開発のほうは?」
「南方のほうでは原油の存在が確認されましたので急ピッチで採掘作業を行ってます。
問題は東北部の開拓ですね。あそこは穀倉地帯として有望なのですが」
「亜人部族の紛争地域だからなあ・・・・・」
ヴォーリアバニーというアマゾネス的な亜人種がいることから解るように大陸東北部は亜人種の部族争いが
活発であり原始的な武装・戦術とはいえ並のヒト種より身体能力の高い彼らを敵に回せば思わぬ損害を受ける危険性が
指摘されていた。
「それなんですがヴォーリアバニーの族長と名乗る者が接触してきまして」
「トゥーレですか?」
「ええ、自分を好きにしていいから部族に手を出さないでくれと。どうやら討伐軍との戦闘の様子を見ていたようで。
それに他の部族からも恭順の意や貢物として亜人の女性が・・・・」
「草原地帯の問題が解決するのはいいが・・・」
「それはそれは・・・下手に送り返すとあちらが困るでしょうし”預かる”という形に
しておきますか(女学校に入れて亜人淑女を!)」
「辻さん今何か考えませんでした?特に女学校について?」
「HAHAHA!まさか!!」
「なら、いいんですが・・・・後はゲートの件ですね」
「今のところアルヌスの丘には変化はありません。帝国も今は内部の引き締めに走っており外征どころではないのですが」
「しかし、今までの膨張政策を止めるのも容易ではないでしょう。ある程度損害を回復すれば・・・・」
「内政の行き詰まりを打破するために戦争、そして強大な我々ではなく異世界への侵攻を選択する可能性が高い」
夢幻会にとってはいつ出現するかわからないゲートの開通は技術・文化のメリット以上にデメリットのほうが大きかった。
何しろ”原作”では最後には米中などの工作員の流入や圧力に屈してあわやゲート周辺に多国の軍隊を入れようとするなど
あまりな日本国の対応にこっちが振り回される可能性が高く、ゲートが開通してもある程度距離を置きたいというのが
メンバーの考えであった。
「全く古代龍対策用の軍備といい、植民地の開拓といい我々が休めるのはいつになることやら」
「ご安心を少なくとも後10年は嶋田さんの政権維持は確定ですから」
「orz」
転移しても夢幻会は平常運転であった。
最終更新:2013年10月04日 21:19