691 :第三帝国:2013/10/08(火) 00:31:19

衝号ぬきの太平洋戦争~第5章「太平洋の戦いⅡ」

米軍来る!
この報告を受けて第3戦隊の首脳部は混乱するどころかむしろ、
飛んで火にいる夏の虫、とばかりに喜んだ。

特に指揮官である角田覚治中将は、
米艦載機接近の後に、早朝に出した偵察機から米機動部隊発見との連絡を受けると、
見敵必殺のネルソン精神を実現すべく、既に発艦している攻撃機に直ちに敵機動部隊への攻撃を伝達。
対地支援装備であったが、対地ミサイル、爆弾でも護衛の艦船に対して上層部の破壊は可能であったためそのまま進路を米艦隊へ変更。

さらに、空母の甲板や格納庫に待機していた攻撃機にも出撃を命令。
対地装備、念のための対艦装備と半々であったが、逆行者や転生者たちがこのままだと装備の換装の間に攻撃を受け、
防御の弱い空母だと一撃で誘爆、大破しかねない点を強く強調したため、そのままの装備で空母3隻から次々と攻撃隊が送り込まれた。

そして、やって来るであろう米軍を盛大に歓迎すべく。
艦隊は急きょ対空陣系を整え、残った艦隊護衛の戦闘機『烈風』を戦闘指揮所(CIC)の管制の下敵編隊の元へ誘導を開始した。

一方、米機動部隊から発艦された約70機の攻撃隊はこの当時の米航空隊として最高の練度を有していた。
開戦より、二か月と少しの間真珠湾逼塞、さらに通商破壊と混乱するアメリカの状況の中、水面下の脅威に怯えつつも、
ハルゼーの方針により来る日も来る日もひたすら訓練につぐ訓練をおこなってきた。

特に政府が英国に政治的圧力を与えた結果、判明された日本の技術の中にあったレーダー、
電探に見つからないように低空での飛行と雷撃機の肉薄攻撃に死者すら厭わぬ猛訓練を施した。
そのため、史実のミッドウェー海戦で迷子になるような醜態をさらすことはなかった。

加えて先手を打ったのは自分たちで、
日本の偵察機に発見されたが空母を叩いてしまえば攻撃力は減退するのは確実。
空母数は日本が1隻多いがうまくいけば同数に持ちこめ、互角の勝負になるだろう。

そうハルゼーは確信したが、
彼にとって誤算だったのは日本が構築した防空システムが、
未来の自分たちが構築するであろうものをモデルとしており、
アジア艦隊がその脅威を伝えるより先に全滅したせいでその脅威を知らなかった。

70機近い米艦載機は電探に見つからないように低く飛んでいたが、
この時の日本の電探は英国に供給された時よりも精度が高められ、おまけに電探搭載型の艦載機がしっかりとその姿を捉えられていた。
結果、米軍の攻撃隊は艦隊に辿りつく前に太陽を背にして奇襲を仕掛けて来た『烈風』の熱烈な歓迎を受けることになった。

この時米軍側の護衛の戦闘機は未だF4Fであった。
F6Fは生産こそ開始されていたが未だ実戦部隊への配備は間に合っておらず、
F4Fに『烈風』に対抗できるはずもなく、短時間でただわが身を守るために逃げ回る羽目に陥った。

しかし、日本側も攻撃隊に護衛の戦闘数をさいたため全てを押しとどめられるはずもなく、
戦闘機隊が文字通り肉壁となって攻撃隊を守ったため、攻撃隊は半壊しつつも艦隊に辿りついた。

692 :第三帝国:2013/10/08(火) 00:32:32

眼下に空母3隻を含む艦隊を捉えると訓練通り熱狂的に突撃を開始したが、
日本の艦はハリネズミのごとく対空火器を揃えており、個艦辺りの対空火力が高いこともあったが、
電探と合わせたシステムマッチな防空システムの洗礼を盛大に受けてたちまちその数を減らしていった。

特にSBDドーンドレス急降下爆撃機は後に「空が3分、砲火が7分」
と日本側が証言した程の激しい対空砲火に巻き込まれ、空母に突撃できたのはたったの10数機であった。
それでもなお投弾に成功し、軽空母『瑞鳳』に至近弾2、直撃1の被害を与え、中破判定の被害を与えることに成功した。

対して、雷撃機はTBDデバステイター装備の部隊は最高速度が300キロ程度しかないため、真っ先に全滅。
最新鋭のTBFアヴェンジャーの部隊は元々熟練者を集めて編成され、かつ訓練の過程でハルゼーの肝いりで改良された魚雷のおかげで、
「プルペラの先端が海面を叩く」程の低空で肉薄と史実の米軍では考えられない事をしてきたため、

エ式20ミリ機銃とボ式40ミリ機関砲のシャワーを浴びて爆発四散しつつも、そこそこの数が輪形陣の内部に侵入。
既に急降下爆撃機の攻撃を受けて黒煙をたなびかせている軽空母『瑞鳳』に集中して魚雷を投弾。

結果魚雷2発が命中し、軽空母の防御力の弱さから派手な爆発を起こしてして大破。
怒りに燃える『烈風』の追撃を逃れつつも米軍側指揮官に撃沈確実と母艦へ報告させるものであった。

が、空母の格納庫が空であったのと。
夢幻会の介入でダメージコントロールについて口うるさく海軍全体に習慣づけたため、
30度近く傾斜しても、早期に火災の消火と復元に何とか成功し沈まずに済んだ。

対する日本側の攻撃は上空で待ち構えていたF4Fの奇襲にも関わらず、
『烈風』との性能格差ゆえに早々と艦隊護衛の戦闘機を排除すると合計90機の第1次攻撃隊は突撃を開始した。

直前に対地支援のために出撃していたため、爆装状態の『流星』には陸上用の爆弾を装備し、
艦船への貫通力についてかなり疑問があるものであったが、装甲が薄い駆逐艦にはそれだけでも致命打を与えることが可能で、
一発轟沈こそなかったが、上部構造物を破壊し手がつけれれない程の火災を発生させることは可能であった。

結果、第1次攻撃隊が去り、米第1次攻撃隊が帰還した頃には主要な空母、戦艦こそ浮いていただが、
空母は中破判定にとどまったとはいえ2隻とも派手な黒煙を流し、駆逐艦、巡洋艦を始めとする艦船は戦艦、駆逐艦4、
巡洋艦3を除けば大破か戦闘不能状態に陥っており、無事なのは戦艦のみという有様であった。

一方日本側の第1次攻撃隊が帰還する最中、
米側の第2次攻撃隊約40機が日本の艦隊に進撃していたが、
日本の第2次攻撃隊の進路上に合わさったせいで、空母護衛の戦闘機隊と合わせて蛸殴りの憂き目にあう。
道中で爆弾などを放棄して早々と逃走したのを除いて全滅してしまった。

そのため一連の戦闘で米軍側が受けた艦載機の損害は約150機を数え、未帰還率8割と信じがたい数値が出された。
しかも残った30機程の航空機も何らかの損害を受けていたため、到底日本軍を押しとどめることは不可能であると考えられ撤退を図るが、

防空に大穴をあけられた状況で午後4時ぐらいに第2次攻撃隊約50機が飛来。
これも爆装の部隊は陸上用の爆弾を装備していたが、対艦装備の部隊もいたため第1次攻撃隊よりも格段に高い攻撃力を有していた。

693 :第三帝国:2013/10/08(火) 00:33:07
そして、彼らは第1次攻撃隊が開けた防空の穴から艦隊の内部に侵入すると、嬉々として空母に狙いを定めて爆弾や魚雷を投弾。
空母『エンタープライズ』は間一髪スコールに逃げ込めたが、空母『サラトガ』は煙突が破壊されたせいで速度が上がらず。

スコールに逃げ込む前に捕捉され、防空陣系が乱れた上に自衛の対空火器が、
陸上用の爆弾は貫通こそしなかったが甲板上の構造物を薙ぎ払われたせいでまともに抵抗できぬまま蹂躙される。

そして、第2次攻撃隊全体の爆撃雷撃の命中率87パーセントと、
もはやなぶり殺しとしか表現できない攻撃を空母『サラトガ』は受けて南海の海の底へ沈み、
その他多数の艦船もこの攻撃で止めを刺され、第5任務部隊は壊滅してしまう。

『ウェーク島沖海戦』と称された戦いでは、
損害報告を受けたキンメル大将を始めとする海軍首脳部が戦力保持を厳命したため、
ハルゼー中将は損傷艦を次々に放棄しつつ日本側から『ワシントン急行』と揶揄されるほどの速度で逃走し、
角田覚治中将は追撃を図ったがあまりにも素早く撤退したため、また同時にウェーク島攻略が優先事項だったのでここので終結した。

日本軍
大破
  • 軽空母『瑞鳳』

米軍
沈没
  • 空母『サラトガ』
  • 駆逐艦9
  • 巡洋艦3

大破
  • 空母『エンタープライズ』


次話:第6章「状況確認」目次

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最終更新:2014年03月23日 13:50