61 :Monolith兵:2013/10/15(火) 10:12:53
ネタSS「とある小隊長の諦観」
「どうしてこうなった・・・。」
小隊長は頭を抱えて自問した。
彼が悩んでいるのは、彼が率いる小隊がある激戦地に配置されたからであった。いや、激戦地と言うのはおかしい。史実における激戦地と言うべきである。
。
「シモ・ヘイヘとその仲間たちで史実ではどうにかなったんだ。俺たちが居なくてもいいだろ!」
彼はここには居ない上官を呪った。だが、上官を恨むのはお門違いだろう。何といってもこの配置を指示したのは司令部に居る転生者の参謀だからだ。
そんな彼の周りでは、彼の部下とフィンランド軍の兵士たちが必死に陣地を造成していた。言葉は違うが、これまで共に戦いあった戦友同士だ。互いに信頼していた。
表向き前線哨戒所となっているが、それを信じている者はここには居ない。どうやってもフィンランド軍と日本の義勇軍だけではカバーしきれない部分が出来る。それがここであった
そんな中を、巨体を生かして他の兵士たちの数倍の速度で陣地を造成している下士官が居た。そう、彼の小隊の主力であるイリヤ・ジェルジンスキーだ。
(絶対、あいつが居るから俺たちをここに配置しただろう。しかも、いつの間にか補充で船坂まで来ているし。)
そう、以前の戦闘で負傷した下士官の補充として彼の小隊には船坂弘が配置されたのだ。前世の仮想戦記に
登場人物である怪物と、史実の不死身の怪物。この二人に加えて、彼の視線の先には塹壕でライフルの整備をしている男があった。今やフィンランドのみならず帝国陸軍にすら名を知れた空前絶後のスナイパー、シモ・ヘイヘである。
そして、彼らが陣取る場所はコッラー川にある丘陵である。ここまで繰れば彼らが何をしているのかわかるだろう。そう、コッラー川の戦いである。数日後、ここはかの有名な”殺戮の丘”になる場所なのである。ここには4000人にも及ぶソ連軍が攻め込んでくる。それに向かい立つのは、史実ではシモ・ヘイヘを初めとするフィンランド軍兵士32名だけであったが、こちらではそれに加えてこの小隊長が率いる46名も加わるのだ。
(もう覚悟を決めるしかないか・・・。)
彼はまだ生きる事を諦めていなかった。確かにソ連軍の兵力は4000と言う膨大な数だ。しかし、こちらには日本の援助によって史実以上に強化されたソ連軍兵士が、シモ・ヘイヘたちが居る。シモ・ヘイヘは日本製の九七式狙撃銃を使って史実以上のペースで戦果を上げていた。
また、彼の部下たちもこれまで膨大な数の赤軍を相手にして戦ってきたのだ。なによりも、イリヤ・ジェルジンスキーはM2重機関銃を駆使して何百と言う敵兵を葬ってきたのだ。今回はそれに加えて人間ターミネーター、船坂弘も居るのだ。何も恐れる事はない。
「よし!」
小隊長は顔を両手で叩いて気合を入れた。陣地は殆ど出来ている。弾薬などの物資も十分積み上げてある。史実でも防げたのだ。重機関銃や迫撃砲、対戦車ロケットまでもを持っている日本軍も居るのだ。絶対に勝てる。
そう自分を鼓舞して、彼は必死に陣地を造成している部下たちに次の指示を出すべく歩いていった。
しかし、この時の彼は知らなかった。ソ連軍はシモ・ヘイヘだけでなくイリヤ・ジェルジンスキーまでをも重大な脅威としていたのだ。多数の戦車と将兵を葬り去ったイリヤをソ連軍はヘイヘに並ぶ悪魔と認定していた。
小隊長がそれを知るのは、”殺戮の丘”に8000ものソ連軍が攻め込んできた時であった。それを何発も被弾しながらも向い討ち、後に「東洋のヘラクレス」という二つ名まで付けられたイリヤ・ジェルジンスキーの伝説は今始まろうとしていた。
おわり
62 :Monolith兵:2013/10/15(火) 10:16:03
もしイリヤたんが居たら憂鬱日本陸軍は絶対に船坂と組ませようと思うんだ。
それにフィンランド行くんだから、ヘイヘとも組ませると思う。そんなドリームチームを妄想していたら書きたくなった。
本当は戦闘シーンも書きたかったけど、私の技量じゃ無理だからこれで終わらせました。
最終更新:2013年10月20日 19:53