87 :第三帝国:2013/10/15(火) 23:42:49
衝号ぬきの太平洋戦争~第6章「状況確認」
ウェーク島沖の海戦は潜水艦の報告で空母が大西洋へ向かっているといい、
さらに、もし反撃するとすればカナリア諸島と思い込んでいたこともあり
夢幻会にとって予想外の事態であった。
しかし、軽空母が1隻大破したとはいえ相手の空母を1隻沈め、1隻を大破に追い込めたのでむしろ幸先が良いと捉えた。
何せ、いくら
アメリカの国力を以てしてもそうした大型艦の建造がピークに至るのには43年下旬~44年初旬以降と考えられ、
史実では不沈艦エセックス級の空母と知られる正規空母も1番艦「エセックス」がどんなに急いでも竣工するのは42年12月ごろと推定され、
開戦初頭で空母が半分も沈められたため、
元々建造中であったエセックス級の同型艦を24時間体制で建造中であった。
2番艦『ヨークタウン』
3番艦『イントレピット』
4番艦『ホーネット』
に相当する同型艦が建造されているとはいえ、
来年春に合間見るエセックス級空母は建造速度などを考慮すると多く見つもって2~3隻ぐらい。
軽空母『インディペンデンス』級も完熟訓練などを考慮しても2~3隻程度が限界とみられ、
護衛空母『カサブランカ』級こそ竣工から進水まで最短で3カ月ほどなのと、
通商破壊に対抗して優先的に実戦配備しているのと、船台の数を考慮すると8~12隻は戦力として動員可能と思われた。
正規空母:2~3隻
軽空母 :2~3隻
護衛空母:8~12隻
以上が春以降にアメリカ軍が新たに動員できる戦力であり、
沈めた空母の数より増えていると等と正直笑いたくなるような状態である。
しかも、艦載機も来年になればこれまでのF4FからF6FヘルキャットまたはF4Uコルセアへ更新されることは確実である。
急降下爆撃機こそSBDドーンドレスであるが、雷撃機は頑丈さで知られるTBFアベンジャーに更新され、これまで通りに日本を楽に勝たせてくれる保証はなかった。
しかし、正規空母6隻を有する第3艦隊を筆頭に空母の数では依然日本側に戦力差で優っており、アメリカにとって厳しいものであった。
ゆえに、アメリカ海軍首脳部はハワイ、ミッドウェーの航空要塞化を推進。
ミッドウェー島に120機、ハワイには300機と合計420機の航空機が集結しつつあり、
爆撃機はB17、B25、戦闘機は最新のF6Fを集中して配備している。
88 :第三帝国:2013/10/15(火) 23:44:09
陸上戦力としてミッドウェー島には合計5000の海兵隊、
ハワイには5個師団に要塞守備隊、海兵隊を合わせれば8万を数え、
ハワイの市民を招集すればその数はさらに増加させることは可能であった。
しかし、問題があるとすれば依然日本の通商破壊に有効な手立てを打てずにいることで、
開戦3ヶ月目こそ日本側が一度再編成するため展開した潜水艦の数が減少したお陰で撃沈40万トン程度に落ち込んだとはいえ、
アメリカ西海岸‐ハワイあるいはミッドウェー間の航路は鉄底航路と揶揄されるほどの艦船が海の底に沈んでいる。
8月~11月の3か月の間に沈んだ艦船は約180万トンで、
アメリカが保有する船舶が約1300万トンだから実に10分の1以上の船舶を永久に失っており、
アイゼンハワーは戦争の長期化と日本の通商破壊に対抗しなければ全てを失うと警告を発した。
無論無策だったわけでなく、カナリアを始めとする各種哨戒機を飛ばし、
ハンター・キラーである護衛艦、駆逐艦の配備を進めたが戦争が始まって未だ3カ月程度では物量チートのアメリカといえども数を揃えることができずにいた。
そして何より相手が悪すぎた。
水中高速艦であるUボートXXI型を参考に作られた潜水艦は対潜誘導魚雷もない現状では正に無敵であり、
夢幻会の方針で対ドイツ戦を想定していたせいで海軍全体で艦船不足であったが、潜水艦は比較的整備が進んでいた。
なぜなら、通常の艦船よりも人的コストが安く済む、
戦艦、空母なら最低1000人以上は必要だが潜水艦はせいぜ50~60人程度で済み。
和風XXI型こと呂号はブロック建造で建造期間が短くコストパフォーマンスが大変よく数が揃えやすい。
加えて夢幻会の介入で海軍のドクトリンが太平洋全土での通商破壊となっていたので、
潜水艦への投資は対独戦中も減ることなく備蓄され、対米戦開戦時には120隻余りの潜水艦、
哨戒、移動、整備のローテーションで各40隻体制が完成していた。
アジア艦隊が早期に殲滅されたため、
太平洋、大西洋に展開したのは仮装巡洋艦5、潜水艦35であったのが、
開戦2ヶ月目には根こそぎ動員して70隻以上の潜水艦が展開、100万トン近い船舶を沈め鉄鯨達の黄金時代を築いた。
なお、この時に海江田、深町、千早、新城、といった名だたる撃沈王が数多く生まれ、後世では彼らをオマージュした物語が数多く作られた。
特に海江田四朗艦長はそうしたサイレント・キラーのトップエースであり、
海軍始まって以来の英才で知られており本人が潜水艦勤務を希望したのを周囲が惜しがったほどで、
後に世界初の原子力潜水艦を指揮し、日本から無浮上で北極を横断、最終的にイギリスに辿り付き、
潜水艦の新たな可能性を世界を見せて世界を驚愕させると同時にヒトラーの血圧を上げ、デーニッツの胃を痛めさせた。
閑話休題
日本側の今後の予定として、
1943年予定
1月 :ミッドウェー攻略
3月~5月:真珠湾攻略
であり、ミッドウェー攻略ではノコノコとやってきたアメリカ太平洋艦隊の撃破、
否、殲滅を狙っており、太平洋の海をエンペラーのバスタブと化してアラスカへの道を切り開くことを目標としていた。
夢幻会としてはここで一度アメリカ海軍を壊滅させてしまえば、最短で半年~1年の時間を稼ぎ、
その間にアラスカへ上陸、3式弾道弾で五大湖の工場地帯へ撃ち込みアメリカ政府を脅迫、
それでもなお屈服しない場合は原始爆弾で主要都市を焦土と化する覚悟を決めており、
前段階であるミッドウェー攻略作戦、「MI作戦」に向けて準備を進めていた。
最終更新:2014年03月23日 13:51