756 :パトラッシュ:2013/10/05(土) 08:42:40

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART25

加藤三郎SIDE(2)

 俺は呪われているに違いない。一度お祓いしてもらわなくては……いや、俺は坊主だぞ。なぜ神主に祓ってもらわなくちゃならないんだ! もうヤマトにユリーシャさんはいないのに。だ、だけど呪われているのは確かだから、どうすればいい? 昨日、織斑が新見少佐の部屋から出てくるのを目撃した俺は、今朝またも見てしまったのだ――玲が織斑の部屋から出てくるのを。しかも腰を押さえ、よろよろと壁に手をつきながら足を引きずって。
見たものが信じられなくて、思わず目をこすった。織斑の野郎、何てことしてくれた! 玲と少佐で二股かけるなんて! おかげで航空隊の朝のミーティングでは仏像のように押し黙った織斑と、「熱っぽいので欠席します」と連絡してきた玲の空っぽの椅子に気を取られてトンチンカンなセリフを連発してしまい、隊員たちから変な目で見られちまった。

 いかん、このままではおかしくなる。午前中は訓練がなかったので、とりあえず医務室へ急いだ俺は人払いしてもらい、佐渡先生と女房の真琴に事情を打ち明けて相談した。二人なら絶対に口外しないと信頼していたからだが、例によって佐渡先生は朝から酒を飲みながら「ほっほー、若いモンはウラヤマシイのー」と大笑いするばかりだった。

「先生、冗談じゃありません。二人が互いの存在を知れば絶対に血を見ますよ。織斑がこんなプレイボーイだったなんて! 新見少佐をたぶらかすだけでは足りなくて、玲にまで手を出しやがって! ああ、篠原、お前が生きてさえいてくれたら……」

 ほとんど錯乱しかけた俺は、いきなりブン殴られて床に転がった。こんな真似をやらかすのは真琴だけだ。

「サブちゃん落ち着きなって。そんなに慌てなくても、あの三人は結構うまくやっていくと思うよ」
「へ? だ、だけど三角関係だぞ! モノホンの修羅場だぞ! 二人の女がひとりの男を奪い合って、ドロドロの愛憎劇を繰り広げるんだぞ! ヤマト艦内で愛欲の殺人事件なんて起こったら……」
「いつの時代のドラマよ。それに、あたしには三人で仲良く暮らす未来図しか想像できないけどな」
「は? そりゃ一夫多妻か? 妻妾同居か? 大奥かハーレムか? いずれにせよ人として許される話じゃないぞ!」
「だから、落ち着いてよ。織斑君て女の人を引っかけては遊んで捨てるような、悪いプレイボーイのタイプかしら?」
「え? いや、それはないな。あいつが真面目な性格なのは確かだし、そんな男に騙されるほど少佐も玲も馬鹿じゃあない。だ、だが、だとしたら真琴、あの二人は互いを承知の上で織斑と、そ、そのデキちまったってのか?」
「だって織斑君、優しくてイケメンでカッコいいもん。あたしだってサブちゃんがいなかったらアタックしてたかも」
「そ、そうか、ならいい……わけねえだろが! つ、つまり織斑は自覚なく女をタラしている天然だと?」
「そうね。この先も織斑君の奥さんか愛人に立候補する人は増えそうだし」
「そこ、平然と口にするセリフかよ!」
「普通ならあり得ないけど織斑君だからねえ。そう思いませんか、先生」
「そうじゃのー。ワシから見ても妙なフェロモンを出しとるから、虫みたいに女が寄ってきおる。あやつが部下である限りはあきらめぃ!」
「そ、そんなあ……」

 絶望のあまり腰が抜けた俺は、佐渡先生に強心剤の注射を打ってもらう破目になった。それでもヤマトの航海中、真琴の予想通り血は見なかったものの何度か織斑が少佐や玲の部屋から朝帰りする場面を目撃してしまい、やっぱり俺は呪われているのかと真琴にボヤいたものだが。
 にしても、三人は地球に戻ってからも度重なる宇宙人の侵略などの事件を経ながら、揉めることなく付き合っているらしい――と真琴は娘をあやしながら話題にするが、俺は何も知らん。知りたくもない。「知らないほうが幸せ」という言葉に、俺ほど深く同感する者はいないだろう……。

 ※さっさと子供をつくってしまった2199の加藤君は実はムッツリスケベだったのか、それとも真琴ちゃんに押し倒されたか。私は後者だと睨んでいますが、皆さんはどう思いますか? wiki掲載は自由です。

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最終更新:2013年10月21日 14:50