807 :パトラッシュ:2013/10/12(土) 07:33:43
舞台裏モブキャラ同盟SIDE(2)
「……それで、話は事実だったのか?」
「はい、大統領。織斑一夏大尉は山本玲少佐および新見薫中佐と、その、同時並行で交際しております。仕事が終わった後や休暇などは必ずどちらかと一緒に過ごしており、それぞれの自宅に泊まるか、女性側が大尉の官舎に泊まっており、半同棲状態らしいと」
「いつからこんな有様なのだ?」
「それが、ヤマトの大マゼラン銀河再征時に古代守准将がスターシャ女王との間に娘を儲けていたのを見た准将の元恋人の新見中佐が織斑大尉を誘惑し……かねて大尉にモーションをかけていた山本少佐が知って、負けてなるかとその、大尉を襲ったらしくて」
「本当かね……」
「三人の関係を知った当時のヤマト航空隊の加藤隊長が、血を見るのではとノイローゼ気味になったとか。しかし、その後も揉め事なく関係が続いているので、山本少佐も新見中佐も互いの存在を承知の上としか思えません。複数の女性と交際しながら一方に隠し通せるほど、織斑大尉は人間関係に器用ではありませんし。現在どちらも妊娠した兆候はなく、三人目四人目は見当たりませんが」
「あのトーヘンボクが毎日毎晩、二人の女を代わる代わる相手にしているとはな……双方合意の上での二股とは信じられんが、まあ二十二歳の軍人が童貞のはずがないか」
「年上の女を二人も愛人にするとは、これも主人公補正か」
「そもそも『IS』というラノベは、自分がモテるのに気付かない超鈍感な一夏のラブコメではなかったのか」
「絶対服従だった某姉を思わせる女に誘惑され、狂暴な某幼馴染を思わせる女に襲われたら、さすがに落ちるか。そもそも原作では十五、六歳で、しかも狭い学校で多すぎる女が互いに牽制しあっていたからな」
「それに大統領、山本少佐と新見中佐は織斑大尉を恋人としてだけでなく、息子か生徒のようにいろいろ教え込んでいるらしいのです」
「教えるとは何をだね?」
「新見中佐は専門の心理学や航宙学に関する知識を授けたり、社交マナーや語学などを学ばせていますし、山本少佐はコスモファルコンの訓練を一緒にしているほか、意外ですが文学や音楽といった芸術関係の趣味に大尉を導いています。少佐の亡くなった両親が火星で教育者だったため、その手の電子資料が山本家に残っていたようで」
「先週来日したヨーロッパ州代表団のメンバーが、一夏の英語力やマナーを褒めていたのはそれが原因か。いつそんな教養を身に付けたのかと思っていたが」
「そういえば先日、久しぶりに一夏と食事したのだが、再開されたFMラジオのクラシック音楽番組を話題にしていたな。山本少佐と一緒に聴いていたのかもしれん」
「……悪い話ばかりではないようだが大統領、一夏はあなたの養子でしょう。どうします?」
「どうもこうも、三人とも納得しての交際なら無理にやめさせるのもな。戦争でマスゴミ系の連中もほとんど死滅しているので、スキャンダルになる心配もないし。あいつも結婚しておかしくない年頃だから、元いた場所に帰れない以上はどちらかを選んだら認めてもよかろう。にしても女が男を襲うとは、IS世界に似てきたような――ん、この発信音は防衛軍本部との直通電話か」
「こちら第五十七会議室だ……大統領、先日発見された次元回廊調査チームから緊急連絡です」
「わかった、スクリーンに出してくれ――やあ、大山君。調査の結果はどうかな?」
<それが大統領、信じられませんが向こう側にも地球があったのです。しかも二十一世紀初頭の>
「は? す、すると君たちはタイムマシンのように過去の地球と接触したというのかね?」
<いえ、我々の知る過去とは別の歴史を歩んでいるらしくて。何しろISとかいう、女にしか使えない武器が席巻している女尊男卑の世界なのです。冗談みたいですが古いSF映画に出てくるパラレルワールドだとしか……あの、大統領、口から白いものが出てますけど……>
※「愉快な大統領とその仲間たち」久々の登場でした。次回、あの美人が登場します。wiki掲載は自由です。
最終更新:2013年10月21日 14:52