138 :earth:2013/08/19(月) 22:25:05
ガンダムで一発ネタを投下します。

139 :earth:2013/08/19(月) 22:26:30

 サイド6『リーア』の政府庁舎の一室に数名の男が集まっていた。
 政府高官であったり、財界の有力者であったり、あるいは情報機関の人間であったりと身分は様々だったが、社会的影響力が強い男達が暗がりの部屋に
集う光景は嫌でも不穏なものを感じさせた。

「『1年戦争』開戦まで、あと1時間……いよいよですな」
「親ジオンを演じることで、ジオンからは中立を認められている。あの無差別攻撃からは逃れられるだろう」
「そうでなければ困りますよ。キシリア閣下と話をつけ、サイド3に食糧を輸出して、更に木星船団や月の財界とも繋がりを持っても攻撃されたら
目も当てられません」
「C兵器で殺戮されたら堪らないからな」

 この台詞に同意するように一同が頷く。  

「まぁ正直に言ってあのような無茶な攻撃は他のサイトが対象でも、やめてもらいたいがね」
「ジオンは自分たちの力では今の地球圏全てを支配できないとわかっている。だからこそ、破壊するのだろう」

 ジオン公国の戦争計画を把握している男たちは、これから起こるであろう惨劇を考えて苦い顔をする。

「まぁ今の我々なら第一波攻撃は何とか防ぎきれるでしょうが……次が来ると対応は厳しいでしょう」

 サイド6は中立を謳っていたが、陰では自警組織の名目でひそかに軍備を整えていた。
 勿論、ジオンや連邦の目から逃れるため大々的に軍備を揃えることはできなかったが、質の面ではジオン公国を凌駕する分野も存在していた。
 そこにはこの世界ではまだ開発されていないはずの技術によって成り立った装備も存在している。  

「何度も転生を重ねた甲斐があったというものですな」
「それにほかの世界でも似たような経験をした同志と巡り合えたことも大きい」

 別世界で弧状列島の国土を持つ国の首相を務めた経験を持つ男は、別世界の地球連邦を銀河列強の一角にまで押し上げた男を見る。

「我々としては一年戦争後の世界も考える必要があるでしょう。中立を標榜し富を蓄えた我らは恨みと妬みの視線で見られることは確実です。
 特に連邦政府はジオンの手前、控えていた税の徴収を再開、いえこれまで徴収できなかった分も名目をつけて奪っていくでしょう」
「それに戦後は特需で成り立った好景気も終わる。そして史実どおり戦争が終わればサイド3と月というライバルも立ち塞がることになる。凋落するリスクは高い」

 この意見に反対意見はなかった。実際、史実の一年戦争後のサイド6は凋落している。 
 コロニー再生計画で、サイド6は事実上消滅しサイド4にまでされていることからもどれだけ扱いが軽いかわかる。
 尤も彼らがその気になれば、彼らとその親族だけでも生き残り、余裕のある余生を送れる見込みは十分にあった。
 しかしこのままでは宇宙世紀の人類が衰退して、最後には文明そのものが瓦解することを知る人間としては現状を見て見ぬ振りはできなかった。
 またティターンズの跳梁によって死ぬ危険も無いわけではない。歴史がいかに難物であるか、予想がつかない物であるかを彼らはこれまでの経験からよく理解していた。
 故に彼らは能動的に動くことで自分たちの安全を確保し、同時に史実と違う歴史を紡ぐことを決意したのだ。
 地球連邦とジオン、この二大勢力が繰り広げる一年戦争の影で、サイド6政府の暗躍が始まる。

140 :earth:2013/08/19(月) 22:29:39
あとがき
久しぶりにガンダムネタで書きました。
1年戦争後はあまり出番がないサイド6が主人公です。
さすがに波動エンジンはありませんが、技術水準はそれなりに高いという設定です。
サイド6製のラー・カイラムが宇宙に浮かぶかも知れません。
勿論、一発ネタですので、そこまでは書けませんが(爆)。

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最終更新:2013年10月21日 17:36