143 :名無し三流 ◆Mo8CE2SZ.6:2013/08/19(月) 23:33:43
サイド6を使うという発想にやられたので
139を支援します。
暫くハッシュタグ付けるの忘れてて思い出せないので適当に付け直し。
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『1年戦争』の始まりである『一週間戦争』が幕を開ける前夜……
ジオン公国軍の中でも最大規模を誇る宇宙艦、グワジン級戦艦グワリブ。
その一室で、公王デギン・ソド・ザビの長女にして突撃機動軍司令、
キシリア・ザビ少将は半ば安堵したようにそのマスクを外して椅子へ腰掛けた。
(兄上はサイド6への攻撃だけは中止してくれたか……流石にその程度の損得勘定はできる男のようだ)
彼女が危惧していたのは、彼女らがこれから始めようとしていた人類史上に残るであろう戦争、
その戦場の1つとしてサイド6が巻き添えになるのではないかというその1点である。
サイド6は数あるスペースコロニーの中でも数少ない、いや唯一といっていい、
ジオンに対して敵対的態度を――消極的な表現方法ですら――取っていないコロニーである。
サイド3に対する積極的な食料輸出からむしろジオン寄りであるとさえ言えた。
流石に工業生産力に関してはサイド3に劣るとはいえ技術力では侮れない面がある。
ジオン公国情報部からの報告では、サイド6の産業用ロボットやミノフスキー粒子に関する技術は、
『適切なアイデアマンさえいれば我が国以外で最も早くモビルスーツを開発できるだろう』
と言わしめるレベルのものだ。故に彼女の兄ギレンも、サイド6が連邦側に付く事を懸念すること極まりなかった。
144 :名無し三流 ◆Mo8CE2SZ.6:2013/08/19(月) 23:34:19
(向こう側から接触してきたのは幸いだった。これが兄上を説得する上で最後の決め手になった)
サイド6が秘密裏にキシリアへ接触し、ジオンへ敵対する意思は無い事を直に伝えたという事は、
キシリアのサイド6に対する印象を決定的にしていた。連邦に組しないサイドが1つでもある事は単純に公国の利であり、
また最初のコンタクトの相手としてサイド6が自分を選んだという事も彼女の自尊心を満足させている。
勿論キシリア自身、サイド6がこのまま親ジオンで中立を続けてくれるとは甘く考えていないため、
政治的駆け引きに強いマ・クベを初めとする腹心をサイド6へ送り込みその上層部の懐柔を続けていた。
このような努力をしておけば、味方にならないまでも講和の仲立ちぐらいはしてくれるだろうという腹だ。
彼女は兄と違い、戦争を殲滅で終わらせようとは考えていない。勝つつもりではいたが……
「キシリア閣下」
艦橋からの不意の呼び出しに、キシリアはさっとマスクを付ける。
時計を見ると、その短針は間もなく12時を指そうとしていた。戦争の幕開けは間もなくだ。
ジオン公国が果てしない破壊の渦に身を投じるまで、余り時間はない。
~つづける気は今のところない~
最終更新:2013年10月21日 17:37