569 :二二三:2013/11/08(金) 03:08:12
唐突に思い付いた話
注意~
続けた場合は超火葬戦記に
休日氏のギアス海軍甲事件後


休日日本in史実1941


その日は突然やってきた
何の前触れもなく突如として現れた巨大な磁気嵐
テレビが消え電化製品が故障しインフラが麻痺状態に陥った
そして北は千琴
南は南洋
西は海南島までの
凡そ「大日本」と呼称される地域の全域を襲ったその自然現象により該当する地域との連絡が途絶えた日本と同盟関係にあるブリタニアでは朝から大騒ぎになっていた

それもそのはず、磁気嵐で通信が途絶えてもそれは所詮一時的なものであり、嵐が収まれば通信は回復すると見られていたというのに一向に日本と連絡が取れない状況が続いていたのだから
そして、その理由が明らかになるにつれて騒ぎは混乱へと発展していく

ブリタニアの衛星が捉えた日本の領域

本来ならば其処に有るはずの陸地全てが消失していたのだ

〔日本消滅!!〕

この情報は瞬く間に世界を席巻し、各国がこの超自然現象に注目した
消えた日本はどこへいったのか?
日本は帰ってくるのか?

世界が固唾を飲んで見守る中、閉鎖された大国オセアニアが俄かに蠢動を始めた
彼らは常から列強、それも太平洋を二分する日ブ勢力圏に手を伸ばそうと虎視眈々と気を伺っていたのだからこの動きは当然予想がついた
信頼する片割れを失い動揺するブリタニアであったが、彼らはオセアニアの動きを牽制すべく、日本勢力圏である東南アジア諸国防衛の為にハワイ海軍基地に駐留していた空母2隻を中核とした艦隊をフィリピンへと急行
消えた日本の穴埋めを行い東南アジアの国々を守るという意思表示と「東南アジアに手を出すな」のメッセージを送った

近年のオセアニアが恐れていたのは日ブ同盟という巨大な安全保証機構であり日本一国、またはブリタニア一国のみが相手なら不意を突けば何とかなると考えていた
だがブリタニアはその不意を突く隙すら与えずに東南アジア防衛ラインを構築していったのだからオセアニアとしては引かざるを得ない
1995年のニューギニア戦争で日本に大敗したオセアニアは、自国を除く四大列強のうち日本・ブリタニアの抜きん出た二国だけとは真正面からぶつかるのを避けてきた
やるのは危険、やるならどちらか一方
それも不意打ちを食らわせる形でなければ勝てないとシミュレーション結果が出ている
オセアニアより国力が劣る中華やEUとは訳が違うのだ
日本とブリタニアを敵に回すには最低でも不意を突き、更には極力全面戦争は避けなければならない

結果的にブリタニアの動きで南ニューギニア首都ポートモレスビーの海軍基地に待機していたオセアニア艦隊が北進することはなく、武力衝突の事態は避けられたのであった


さて、その頃
自国勢力圏が一触即発の事態になっていたとはつゆ知らない日本
こちらはこちらで国中が大混乱に陥っていた
磁気嵐が収まると電気製品などはその機能を回復させたが、今度は日本以外の地域と連絡が取れないときたのだから無理はない

しかも日本上空にあった衛星以外の全衛星が消失
その動かせる衛星が拾ってきた異常な映像の数々

80年前の諸外国が保有していたような古い艦船
他国上空を通過した際に撮影された低層ビルがまばらに立つだけの都市部
ブリタニア大陸にある主要都市にも天に届かんばかりの100階立てビルなど一つもなく、一緒に写り込んでいた航空機は明らかにレシプロ機
そして、そのブリタニア大陸のものと思わしき受信されたラジオ放送

〔去る12月7日。卑劣にもハワイオアフ島真珠湾を奇襲攻撃した日本は――〕

日本が真珠湾を攻撃したというその報道は南洋に住む住人のラジオでも受信され誰もが嘘だろと現実逃避していた

570 :二二三:2013/11/08(金) 03:09:38

“すわ日ブ会戦か!?”

とまで勘違いした者がいたほどの衝撃的ラジオ放送の内容
これらの情報を集めて解析した日本の情報部も日本を非難するブリタニアと思われていた相手の国名が“アメリカ”であると判明した事でお手上げとなってしまった

アメリカ?なんだそれは?
いったいどこの国だと頭を抱える情報部
衛星写真も相当古い街並みばかりが写し出されていて意味不明であった

そんな大混乱な日本で、今どのような状況に置かれているのかをはっきり理解している者たちが都内のビルに集まって溜め息をついていた

「“西暦”1941年12月8日ですか」

集まっていた者のひとり辻正信の呟きが虚しく宙に消えた

「何の冗談だまったく。磁気嵐が治まったと思えば日本が西暦の世界に転移……SF小説じゃないんだぞ」

「杉山さん、コードギアスは一応SFの範囲に入ります」

「入っても今は現実だろうが」

「まあまあ。丁度もんじゃも焼けましたしカリカリしないで食べながら話しましょう」

「もんじゃなんか食べられるか!お好み焼き持って来い!」

「なんだと!?もんじゃのどこがいけないんだ!」

「うるせー!こんなゲロみたいなのを食えるか!」

皆齢60を越える老年の男性ばかりだというのに随分とまあ元気である
そんな彼らこそが前時代の日本を率いていた者たちであり、現在も各界に大きな影響力を持っている存在
夢幻会の最高意思決定機関会合のメンバー

「総研はあの磁気嵐を時空乱流であったとの結論を出しています」

「まあそれしかないだろうが」

「時空乱流か、言葉だけ聞いていると某猫型ロボットの映画を思い出す」

辻・杉山・近衛らがそれぞれ起こっている現象と思ったことを述べる
次に嶋田がもんじゃ焼きを口にしながら磁気嵐とは別の現象を話す

「後は磁気嵐終息と時を同じくして現れた東京湾上空の紫色の雲ですね」

紫色の雲

それは去年の太平洋海軍甲事件として記録された超自然現象と異世界へと繋がる空間の存在の象徴

「ああ、それについては俺の妻がよく知っている。俺もこの目で見たが普通の雲とはまったく違って中に入ると別の場所に繋がっているそうだ。あれの近くや中では計器類が全て異常を示し、まったく役に立たなくなるらしい」

「そういえばリーライナさんは今回の現象と近い体験を個人でされていたのでしたね」

事件現場に居合わせた山本は当事者である妻リーライナから詳しく聞いて知っている
無論その情報は日ブ両国の上層部にも上げられて世界各地で似たような現象が過去になかったかの調査も行っていた

「ということは東京湾上空の雲は元の世界に通じているのか?それとも未知なる異世界に…!」

俺の右手が数日前から異様な反応を示していたのだ
などと富永はいつも通り中二な発言をしていたが皆一様に彼の言葉を聞いて頷いていた

「それについては既に有志を募って調査に入る手はずが整っていますが、まあ富永さんが言われているようにまず間違い無く元の世界と繋がっていると見て宜しいかと思われます」

根拠としては甲事件の時に当事者となったリーライナが無事に帰還し、アメリカと戦う日本の存在を明かしていたからだ
つまりギアス世界を起点として平行世界の扉が開いている
今回の大規模な磁気嵐を原因とした転移もあの雲と似たような現象なのだろう

571 :二二三:2013/11/08(金) 03:11:08
「東京湾の雲が向こうと繋がっているとして日本が戻る方策は無いのか?」

「それについても総研は全領域が無事に戻れると見解を出しています。あの磁気嵐の揺り戻しが必ず起こると。ただし揺り戻しが起こるのは最低でも3年後。長くて5年後になるとの事でしたが」

「まずいなそれは…」

「ああ確かにまずいですね」

ある意味希望に満ちた辻の報告
どうやって計算したのかは「秘密です」という辻であったが、少なくとも確実に帰れる事が分かったというのに皆難しい顔をしている
その理由は「アメさんに喧嘩売られるな」というものである
アメリカのラジオでは今は1941年の12月であり、史実に近いと考えられるこの世界の日本軍がハワイオアフ島真珠湾にあるアメリカ海軍基地を攻撃した事を伝えていた
日本とアメリカは戦争状態に突入している

「こっちが幾らアメリカを攻撃した日本と、我々の日本は違う。自然現象で異世界から飛ばされてきた日本であり何年か後には帰る。何ら侵略的意図は持ち合わせていないと説明した所で信用しないだろうからな」

杉山の苦虫を噛み潰したような顔にさもありなんと頷く一同
仮に今彼が述べたような事をアメリカに伝えた所で誰も信用しない
当たり前だ。普通に考えて平時でもそんな話を信用する国などいないというのに、この世界の日本に奇襲攻撃を受けたアメリカがそんな話を信用しなければならない道理などどこにも存在しない

「とにかく、こちらは非戦を呼び掛けましょう
今の日本は80……いえ100年以上未来の平行世界から自然現象によって転移してきた日本であり侵略的意図は一切持っていない
到底信じられない話だと思うが件の理由からこちらから戦争を起こすつもりはない
しかし、この世界のどの国が我が国の領土
日本列島・チュクチ・カムチャツカ・樺太・千島・アリューシャン・台湾・海南島・マリアナ・ミクロネシアなどの南洋諸島に許可なく踏み入ろうとした場合、
極めて遺憾ながら我が日本は武力による排除を含めたあらゆる手段を用いて反撃する
この世界とは比べ物にならない出力でメッセージを発すれば多少は信じるでしょう……ま、希望的観測に過ぎませんが」

そう言う辻に嶋田は「私が動くんじゃないですよね?」と念押しして確認した

「我々はあくまでも引退選手ですからね。精々こういう場所で意志決定して枢木さんや澤崎さん達に伝えるくらいですよ。ま、裏方に徹しましょう」

辻の言葉を聞いて今度はその裏方とやらに不安を感じたがきりがないので発言を控える嶋田
はっきり言ってアメリカと戦争になれば余裕で勝てる
ギアス世界という現実よりも進んだ高度な科学力に裏打ちされた技術格差もさることながら、超反則的な万能資源であるサクラダイトが殆ど無限に近いほど取れるのがギアス日本
その他の資源や食料もギアス日本は豊富だ
有り余る資源と資金、原作でさえ世界最先端だった日本の技術にブリタニアと一つになった事でブーストが掛かった生産力までプラスされる訳だ
史実2013年アメリカの倍は有ろうかという国力を持った日本
史実に近い世界の1941年アメリカが相手ならば話にならない
しかし、戦争という行為はしないに越したことはないのだ
それに裏方だろうが何だろうが余計な仕事が増えてしまうのは良いことではないと嶋田は思った

「後はブリタニア側にも今回の現象を詳しく説明せねばな
コーネリア殿下・ユーフェミア殿下・ルルーシュ殿下・ナナリー殿下・アッシュフォード卿・クルシェフスキー卿・アールストレイム卿、とにかく我が国にはブリタニアの皇族貴族や要人が数多く滞在しているからな」

それだけではなく親善訪問で訪れている空母2隻を中核としたブリタニア艦隊の将兵
日本に滞在している一般のブリタニア人や在日ブリタニア人も多く、確実に元の世界に帰れるという説明をして安心させなければならない
もしアメリカと戦争になるなら皇族や大貴族の方々には東京湾上空の雲からブリタニアへと帰って頂く必要もあった

「なんだか、我々はトラブルの星の下に生きる運命にあるような気がしてきましたよ」

深い溜め息をついた嶋田の肩を

「今更だ。なるようにしかならん」

山本が叩いた


それから三日後、今の日本はこの世界の日本ではない別世界の日本であり戦争は望まないという声明を発表したが、彼らの声明を信用する国は一つとして存在しなかった……

572 :二二三:2013/11/08(金) 03:12:05
終わり~

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最終更新:2013年11月08日 11:11