20 :パトラッシュ:2013/11/30(土) 09:56:29

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART33

ラウラ・ボーデヴィッヒSIDE(2)

 長らく世話になった学園内病院のベッドを片付けていると、篠ノ之が顔を出した。

「ラウラ、今日から授業に戻るそうだが大丈夫なのか?」
「平気だ。これでも軍人として鍛えている」
「よかった。見舞いに来たときにはほとんど口をきかなかったから、心配したぞ。VTシステムの事件で、ドイツ軍首脳部がごっそり入れ替わったと聞いたからな」

 あのニュースには正直驚いた。クラリッサからの連絡によると今回の件は当初、一部IS関係者の暴走として処理されるはずだったという。私も責任の一端をとらされて除隊処分が内定していたらしいが、そんな折、ウィキリークスに軍の極秘調査資料が流出し、部隊のIS整備担当者が軍有力者の指示でシュヴァルツェア・レーゲンにVTシステムを無断搭載していた疑いのあることが判明した(暴露したのはクラリッサではないかと思ったが、怖くて聞けなかった)。
 この暴露の直後、問題のIS技術者が自殺とも他殺ともとれる状況で死に、さらに彼に指示したとされる軍有力者が大物国防族議員とつながっていることが明らかになった結果、ことは政界を巻き込む疑獄事件に発展し、ついには国防相・陸軍司令官を含むドイツ軍高官の総退陣にまで至ったのだ。現在、技術者の死も殺人容疑で捜査中らしい。おかげで私ごとき一兵士の処分など吹き飛んでしまい、引き続きIS学園への留学も認められたため、考える時間だけはたっぷりあったが。

「箒、以前に話していたな。織斑一夏が高いところへ行ってしまったのなら、自分もその隣に立てるよう努力すると」
「む、あ、ああ、言ったな」
「その言葉が思い出された。私はひたすら強くなりたいと願っていたが、強くなってどうしたいのか何も考えていなかったのだ。また、お前に教えられたか」
「ならラウラも今回のことで何か見つけたのか?」
「ああ、確かに織斑一夏は軍人としてだけでなく、人を引き付ける人格と才能を持つ男だな」
「だからこそ私は一夏に追いつき、認めてもらうため頑張る。負けはしない」
「ふ、私も負けるのは嫌いだから決めたぞ。絶対に織斑大尉に勝って、私こそ彼の隣に立つにふさわしいと認めさせるとな」
「(は?)おおお前もいい一夏のとと隣にたた立つとはどどどういういい意味……」
「当然、大尉を私の嫁にする」
「よよ嫁? なななぜそそそこでよよ嫁がでで出てくるのだ、ラララウラ」
「日本では気に入った相手と結婚するのに〝嫁にもらう〟と言うものだと、クラリッサが教えてくれたが」
「まま待て。そそそれは激しくまま間違っているとおお思うぞ」

 何やら箒がごちゃごちゃ言っているが、善は急げだ。教室へ向かう私を追ってきた箒は廊下ですっ転んでいたが、気にする暇もない。一組に入ると、クラスの女子と談笑していた大尉が振り返った。

「久しぶりだな、ラウラ。吹っ切れたような顔をしているが」
「織斑大尉、病床で先日言われたことを考えていた。確かに私は、なぜ強くなりたいのかという動機に欠けていた。単に優秀な軍人になりたいだけなら、あれほど自信を失う破目にはならなかったろう」
「それで、結論は出たのか?」
「ああ、お前を私の嫁にする。そのために私は強くなる」

 ん? 急に周囲が静かになったがどうした? オルコットやデュノアはギリシア悲劇の仮面のような表情になっているし、駆け込んできた箒や鳳は極限まで両目を見開いている。何がそんなにおかしいのだ?

「つまり、俺と結婚するために俺に勝つと?」
「う、いや、その、端的に言えばそうなるが、私はふさわしくないなどと言うのではなかろうな?」
「いや、一番難しい道を選んだなと思ったまでだ。俺は自分より人間としても軍人としても優れた女性でなければ、結婚したいとは思わない。生涯を共にするのなら、尊敬できる相手をと願っているだけだ。何か間違ったことを言っていると思うか、ボーデヴィッヒ少佐?」

 ななななんだとー?

 ※こんな一夏は一夏じゃないと思う方はスルーしてください。にしても、他の人も「防衛軍」SSを書いてくれないかな……。

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最終更新:2013年11月30日 11:01