838 :ぽち:2013/11/29(金) 13:32:06
勘違いした田舎者   ぽちver

♪「フン、フン、フン」

「随分とご機嫌だなユフィ そんなにわたしと離れるのが嬉しいのか 嬉しいのか 嬉しいのかぁぁぁぁぁぁぁ!」
「落ち着いてくださいましお姉さま たしかにわたくしはお姉さまと離れるのは寂しいですわ しかし、来週からの日本への留学
 これまで見たことのない景色、味わったことのない美味 それらが楽しみなのですわ
 古来より言うではありませんか  『君はあの丘の向こうの景色を見たいと思わないのか』って」
「言うか?」
「言うんです! ですから来週からの日本留学、凄く楽しみなんですの
 あとやっぱり日本に留学してるルルーシュの手作りプリンとか
 それに、正直わたくしは・・・・・・・・・日本でブリタニア皇家の権力を振り回して私利私欲を満たす計画を立てているのです」
「ユフィ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふっふっふっふっふ、ブリタニア皇家の権力をもって・・・・・・・・・
 『イチロ・ミズキ』『ミツコ・ホリエ』『マサト・シモン』『アキラ・クシダ』の四人に加え『イサオ・ササキ』の五人を
 無理やり召しださせ、彼らと丸一日カラオケに行くのです! 
 ああ!!まさに天上の美味を独り占めにするかのごとき暴挙・・・・・・・・・」(うっとり)
「なにが凄いのかわからん」

などと帝都を散策しながらコントを繰り広げる仲の良い姉妹
そして彼女らの後をついていくダールトンとギルフォード
「それにしてもお姉さまってば、そろそろ婚期がアレでアレがアレしてアレなのではありませんか?」
「アレとはなんだアレとは 私はブリタニアにこの身をささげている それにいざとなれば・・・・・・なんだ?」
「何でしょう・・・・・・・・・あの、何事ですか?」
なにやら妙な騒ぎに、ユーフェミアが気さくにその辺のおじさんに聞いてみる
「どうやらすぐそこで平民の子どもにぶつかられた貴族様とやらが無礼であるとかで騒いでいるようです 
 そこへ偶々通りかかった騎士様が止めに入ったとか」
「まあ、貴族ともなればその程度、笑って済ませる度量がほしいものですわね」
「まったくだな 我ら・・・・・・・・・では少々角が立つか その貴族とやらがどの程度の地位か知らんが
 ダールトンかギルフォードがとりなせばまあ何とかなるだろう」

と、その騒ぎの場を少し遠くから見てみる一行
「あらまあ」
「何をやっておるのだ、あやつは」
「阿呆ですな」
「今すぐ切り捨てにいってきましょうか」

四者四様の反応も無理はない
大声を張り上げてわめいているのがおそらくその貴族とやらなのだろう
問題は、その貴族にぶつかったのであろう少女を後ろにかばっている女性である
「確かに騎士ではあるが・・・・・・・・・」
「もしかしてあの男は、クルシェフスキー卿の顔を知らないのか?」
「(スマホのようなものを操作して)あちらは先日ロズベルト家を相続されたフランク・ロズベルト男爵ですわね」
「とにかくこれ以上の馬鹿騒ぎは皇室の尊厳にも傷がつくし急いであの阿呆を止め」
「待ってくださいましお姉さま」
見ると、黒髪の異国人が彼らの間に割って入ってきていた

839 :ぽち:2013/11/29(金) 13:35:10
「どうも自分の連れが申し訳ありません」
無礼な平民とたかが騎士風情に身の程を思い知らせようと思っていたら黄色い肌に黒いツンツン髪の毛の男が現れた
「なんだ貴様は」
「はい、日本からの軍事留学生である大神一郎と申します 重ね重ね男爵様への無礼をお詫びいたしますのでどうかご容赦願えませんでしょうか」
「たかが異国人風情の謝罪で男爵たるこの俺の怒りを治めろというのか!」
その男の、まるで出入りの商人か劇場の切符モギリのごとき風情に、男爵の更なる怒りが沸きたてられる
「お怒りはごもっともなれど無礼をした本人がこうしてヒラに謝っておりますので、なんとか」
「許さん!」
その言葉に、横にいた女性騎士はピクリと頬を動かし、男爵の怒りは頂点に達して手にしていたステッキで彼の顔面を横殴りに殴りつける
「オラオラオラオラ」
やがて彼は怒りからではなく他人を殴りつける快感から打撃を続けていた
軍事留学ということはその戦闘力は日本のほぼ頂点に立つ存在 そんな男が手も足も出ない
俺はなんてステキな存在なんだぁ!!!

ステッキを振り回し、ステッキが折れたら拳で、蹴りで

「加速し続ける俺の魂のダイブとこの俺!」
「おまえにキツイ一発をお見舞いするこの俺のキック!」
「完全におまえをナメきったこの俺のキック!」
「転がる石のような俺の生き様!」
「ストリートでならしたこの俺の実践的なキック!」
「一応回し蹴りを放つこの俺!」
「俺の熱き拳そしておまえにキックする俺!」
「俺の熱き拳そしてお前を足蹴にするこの俺!!」

「はあ、はあ、はあ」
汗まみれになり全身で息をする男爵 そして微動だにしない黒髪の男
「じゃ、じゃあそろそろこの辺りでか、かかか勘弁してやろう」
「ははあ、わたくしめのご無礼を許してくださり感謝の念に耐えません」
「だが、最後にアレがみたいな」
「アレ、と申されますと」
「日本には無様で誇りを失ったクソ野郎が全身全霊で謝罪の意を示す負け犬のポーズがあるそうじゃないか
 そう、ジャパニーズドゲザというそうだな
 あれを見せてもらおう」
「ははぁ」

黒髪の日本人は地にひれ伏し、額をアスファルトにこすり付けている
(なんという無様な姿だろう 欠片でも誇りがあれば絶対できないみっともないポーズ
 こんなものが伝わっているとはやはり日本は野蛮で誇りというものを持ち得ない人種なのだな)
満足した彼は、後頭部をぐりぐりぐりと踏みつけてから寛容にも自分に無礼を働いた日本人を許してやることにした
「これからはきちんと、自らの分をわきまえて道の隅をコソコソ歩くがいい」

すたすたすたと去っていった
従者らしい男が何度も頭を下げながら後を付いていく

840 :ぽち:2013/11/29(金) 13:39:27

やがて、周囲の人垣の中から一人の少女が飛び出してきた
最初にあの男爵にぶつかった少女だ
「おにいちゃん、助けてくれてありがとう  でも、しょうじきカッコ悪かった!」
それだけ言うと彼女は走り去っていく

やれやれ、と地面にへたり込んでいると、一人のブリタニア軍人が駆け寄ってきた
「無事かオオガミ卿」
「大丈夫だよありがとう、ジェレミア卿」
彼は留学してきた最初の日に「イエロー風情が」と彼を侮辱し
幾度かのぶつかり合いの末に限りなく決闘に近い喧嘩で叩きのめされて以来胸襟を開く友となっていた

「恥ずかしい所を見せてしまったな」
「何を言うか!あの男は先日までのそれがしがどれだけみっともない姿だったかを見せ付けてくれた!
 そして自分は・・・・・・・・・オオガミ卿!卿を友と呼ぶそれがしに今ほど誇りを持ったことはないぞ!」
「ジェレミア卿は彼のお知り合いか?」
「あ、貴方は」
語りかけてきた眼前の女性騎士が、大神に見えない角度でウィンクし、彼はその意を把握する
「ジェレミア卿の知り合いかい?」
「ままままま、まあそうだ わたしも彼女もブリタニアの騎士ゆえに、何らかの形で知り合っていてもおかしくはあるまい」
いささか苦しい言い訳ではあったが、肝心なところでニブい眼前の日本人には気づかれなかったようだ
「それよりコーヒーでもどうかな?貴方たちの分も奢らせてもらいますわよ」
「あ、あああああの、クル・・・・・貴方とお茶を同席するとは存外の幸運 それがしはオマケとはいえ同席させていただきます!」
すこし頬を染め、くすりと笑う女性
(たしかモニカとかいったな)
大神少佐は自分の立場を理解もせず、友と、そして新たに知り合ったブリタニア騎士と茶を飲むためにゆっくりと立ち上がった


「お姉さま」「・・・・・・・・」
「お姉さま」「・・・・・・・・」
「お姉さまってば!」「わあビックリした!」
「そんなにあの殿方に見とれて、いかがなさいました?」
チャシャ猫などというあだ名をつけたくなるような笑顔を浮かべてコーネリアを見つめるユフィ
「ひょっとして『フォーリンラヴ』ってやつかしら?」
「な、なななななななにwoイウのらゆふぃ!このわたくしが一目惚れなどとととととと」
「どうしたギルフォード卿 随分不愉快な顔して」
「何でもありません!ダールトン卿!」
「いけませんわよギルフォード卿 幼馴染など時と場合によってはお邪魔キャラか新たな恋愛のスパイスか 
 でなければただの『いいひと』で終わってしまいかねませんわ
 わたくしのジャパニーズマンガコレクションでもそういった例が多数存在しますわ
 まずはあの殿方の良いところを見抜き、きちんと認めませんと」
「あ、あ、あ、あ、あの男の酔いとkoろなろ」
「お姉さまはちょっと黙っていてくださいませんか」
「うむ、敵の力量把握は大事だぞ」
「ダールトン卿まで何面白がってるんです!
 まあそれはともかく、あの男について・・・・・・今の一幕ですが
 まずは自分が正面に出て、かつ上手く相手の神経を逆なですることで
 あの阿呆の神経を自分に集中させ、かつ好き放題に殴らせることで阿呆を『満足』させています
 もうあいつの脳裏には最初に自分にぶつかった少女の事は欠片も残ってないでしょう
 変に説得とか仲裁とかした結果あの少女やその家族に阿呆が危害を加える可能性もありましたから」
「うむ、嫉妬にその身を焼かれていても冷静な判断力は忘れてなかったようだな」
「だれがしっとマスクですか!」
「まったく、あの男は実に見事に、しかも阿呆の面目すら保ってこの場を収めたのだな」
「惚れましたぁ?」
な、ななななにをいってをるka!
「お姉さま、かぎかっこを忘れてますわ」


「むっ」
「如何なさいましたグリシーヌお嬢様」
「いま猛烈に悪い予感がした」
「悪い予感と申されますと」
「具体的にいうとわが運命の殿方に悪い虫が近寄り
 その結果『意地っ張りで少々傲慢な軍人気質の貴族令嬢』枠が
 侵食されたかのような予感が!」

841 :ぽち:2013/11/29(金) 13:43:37
はいここまでです

個人的に「年の差婚」はよほどの事がない限り上手くいかないと眼前で見てたので
(まず年上の方が先に亡くなり、残ったほうが遺産目当てだなんだと親戚一同にひどい目に合わされる)
まあ貴族とかではその辺も一般人とは違う色々あるんでしょうがそんなワケで別の、若い男を出してみました

そしてフラグ立てまくっても多分悪感情向けられないであろう人物を世界の壁越えて出しちゃいました

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最終更新:2013年12月01日 12:29