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502. earth 2011/12/25(日) 18:18:22
平成ネタの最後です。


  昭和世界の日本帝国政府の臨時大使館は長崎に置かれていた。
  東京におくべきという意見もあったが、何かあった場合に備えて、帝国政府は長崎に大使館を置いていたのだ。
  ただ大使館の近くでは相変わらず反帝国デモが起きており、帝国の人間達を呆れさせていたが……。
  
「彼らは暇なのかね?」
「さぁ?」

  今日も今日とて元気に日本帝国を詰るデモが起きていると知って、大使館の人間達は嘆息した。

「こちらの臣民、いえ国民では帝国と友好的な関係を築くべきと言う意見もあるようですが」
「声がでかい連中にかき消されるか……」
「それにゲートが開いてから、この平成世界では良い事がないですから鬱憤も溜まっているのでしょう」
  
  環大西洋諸国の混乱は世界経済に深刻な影響を与えていた。
  勿論、その影響は日本にも及んでおり、社会不安を引き起こすには十分だった。

「……そういえば今日の客人は」
「はい。こちらの日本の企業です。彼らは帝国と貿易を望んでいるようで」
「彼らは条約のことを知っているのか?」

  帝国と平成世界の米国はお互いにゲートの管理や情報、技術の流入による悪影響を最小限にするための条約を結んでいた。

「条約に抵触しない範囲での取引なのでしょう。とりあえずは……」
「まぁ話は聞いてみよう。場合によっては本国の指示を仰ぐ」

  この後、彼らが出迎えたのは、日本の外務省の役人など比較にならないほど手強い交渉人たちだった。
  粘り強く交渉していくる彼らに、最終的に帝国大使はこの件を本国に伝えることになる。  

「確かに我々からすれば欲しいものは多いが……大々的にするとこちらの経団連が煩いな」
「技術を吸収すれば何とかなるでしょうが、それをすると今度は外野が煩いですからね……」

  嶋田や辻も即断は出来ず、自国経済界と話し合うことになった。
  しかし事態は彼らの予想を遥かに超える速度で進行することになる。
503. earth 2011/12/25(日) 18:19:00
  大西洋大津波による被害を知ったアメリカは、万が一津波が起きた場合に迅速な復興ができるように連邦軍を
本国やその周辺に配置することにしたのだ。国民の不安を解消するにはそれしかなかった。
  ただしそうなれば米軍の軍事的プレゼンスを維持することは出来ない。

「アメリカは引っ込みつつある。これはチャンスだ」

  米軍の活動が低調になっていることを見た中国は南シナ海での活動を活発化させていく。
  さらに中国は台湾そのものを併合するために様々な圧力を掛け始めた。
  在日米軍は完全撤退こそなかったが、それでもこれまで通りに駐留して、軍事的プレゼンスを発揮することは
難しい状況になっていた。
  それは日本の安全保障の危機と言えるのだが……日本政府は何もしなかった。一部の人間はこれを切っ掛けにして
日中韓による東アジア共同体を作ろうと主張する者さえ出始めた。

「このままでは拙い……」

  日本の一部勢力とアメリカは、事態を打開するための策を模索した。
  その結果、途方もない提案が日本帝国政府に打診されることになる。

「帝国と米国の同盟だと?」

  嶋田は思わず外務大臣に尋ね返した。それを聞いていた辻は頷いた。

「極東有事の際に備えるために兵を出せと言うことでしょう。
  向こうの米国は兵を引きたい。しかし兵を引いて中国が太平洋に進出するのは避けたい。両立するには……」
「帝国の軍事力を当てにした、と。我々は向こうの世界に野心を抱いていないからな。だが本来、米国の穴埋めは」
「平成日本の仕事でしょう。しかし彼らはまだそれが出来ない。だからその間の繋ぎと」
「……帝国を小間使いと勘違いしているのか?」
「ですが、これを利用して平成世界の民生技術を取り込むことも出来ます。我々は平成世界の平和と安定に血を流し
  引き換えに優れた民生技術の恩恵を受ける。欧州も文句は付けれないでしょう」

  こうして大日本帝国は米国の要請の下、平成世界に軍を送ることを決定する。
  ただし『帝国軍』として派遣すると問題が多発するので、米軍の『傭兵』として平成世界に展開することになる。
504. earth 2011/12/25(日) 18:19:42
  勿論、日本国内では反対意見も強かったが、米国政府の強烈な後押しによって『米軍の傭兵部隊』として駐留が
認められた。
  一部の人間は「在日帝国軍」と呼称するようになるが……帝国軍将兵が特に大きなトラブルを起こさなかったために
次第に受け入れられるようになる。
  そして……

「今日は客が多いな」
「ああ。何でも帝国軍がブースを設けているんだって」
「へぇ……」

  平成世界のコミケでは帝国軍のブースが設けられ、そこに多数の一般人と各国のスパイが群がる光景があった。  

「日本帝国向けに輸出が進んで、少しは景気も上向いてきたし、来年は良い事があるといいな」
「中国も日本帝国海軍が出てきて大人しくなったし」
「でも欧州は凄いゴタゴタだぞ。欧州連合崩壊寸前って言われている」
「まぁ何はともあれ、日本だけでも平和なのは良い事さ」

  日本帝国や米国が忙しく動き回る中、平成日本は今日も平和だった。
506. earth 2011/12/25(日) 18:22:45
あとがき
平成日本の立ち位置はあまり変わりませんでした(笑)。
あと平成ゲートネタはこれで終わりにしようと思います。
それでは。

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最終更新:2011年12月31日 23:47