330. ひゅうが 2011/12/15(木) 08:47:51
ネギまネタが出たので簡単に考えてみました。・・・書いてたら加藤&陰陽師無双になりかけたので一部自重しました(汗
おかげでかなり地味です。

――西暦194X年12月某日  埼玉県  麻帆良町


「だいたい、何故我々がこのような肩身の狭い思いをしなければならないのだ!」

「そうだ!極東という蛮地にも関わらず我々が使用すべき霊地があるというだけで名誉なことだろうに――」

「そうだそうだ!」

酒宴が続いていた。
忘年会という日本の風習に染まった外国人風の若い男たちがくだを巻いている。
閉店後の焼鳥屋であるため、オヤジが少し肩をすくめる以外は眉をひそめる者はいなかった。

「お客さん、追加します?」

「ああ、オヤジ。ここの焼鳥は旨いな。追加を頼む。誤解しないでほしいのだが――」

「分かっとりますよ。お客の愚痴を吐きだしてもらうのがこういう店ですんで。普段いろいろ溜めているんでしょうから深くは訊きませんよ。」

先ほどまでいろいろまずいことを言っていた若い外人たちがじ〜んとなる。
この焼鳥屋は、彼らのお気に入りの店であった。
店主であるオヤジは「まぁイキのいい若いのがいるのはいいことさね。」と自分を納得させ、焼鳥盛り合わせの作成に移ったのだった。



――同  某所  神祇院  麻帆良合同管理運営会議


「若いのも、順調に染まっているようですね。」

「まぁもともとこの地はそれが許されるいい『気』に満ちているのですから当然と言えば当然でしょうね。認識阻害結界なんて無粋なものに変えなければこういうことが起こるのもむべなるかな、ですよ。」

ほっほっほと老人が笑う。
一人は、ロンドン時計塔から派遣されてきた老人。もうひとりは、どこか胡散臭い香りが漂う神祇院の重鎮。そして魔法世界メガロメセンブリアの代表である中年の男性は苦笑しながら焼鳥店のやりとりを聞いている。

神祇院の付き添いでやってきた若い男性――近衛近右衛門は冷や汗をかきながら円卓に座る面々を見つめていた。

明治維新後の混乱と不平等条約の改正にともなって行われた摩訶不思議な政治的取引の結果としてこの「麻帆良合同運営会議」は設置されている。
京都の陰陽寮と関東地方の寺社勢力の対立(それは京都の朝廷と江戸の幕府の対立そのものだった)の間をぬって浸透していた西洋魔法勢力は、日清日露の両戦争後には帝国政府のもと再編された神祇勢力との全面戦争に突入する――はずだった。

しかし、間に日英同盟に象徴される欧州魔法勢力が仲介に立つことで麻帆良に定着した魔法勢力と日系勢力との共同管理体制が成立。
結果として魔法世界の現実世界への浸透は抑え込まれている。
若い理想に燃える者がくだを巻くのも無理はない。この頃の魔法世界の「連合」はまだそういう国だったのだから。

「近衛君。」

「は、はい!?」

近衛家の分家の主は上ずった声で返事をした。
加藤保憲  神祇院次官は、顔に微笑を浮かべて彼の方を見ている。

「この地はいずれ君が一翼を担うようになるだろう。だが・・・」

ニヤリ。と彼は笑う。

「この世界には、いざとなればこの地を消し飛ばすこともできる御方がいること、ゆめゆめ忘れないことだ。変なことは考えないようにな?」

あなたが言うことですか――と近右衛門は頷くことしかできなかった。
331. ひゅうが 2011/12/15(木) 08:52:37
【あとがき】――暴走する魔法関係者と陰陽寮が大戦の裏で死闘を繰り広げるはずが
焼き鳥食べたい→魔法使い(西洋系)もアレ好きらしいな→じゃあ食わせてみよう  という謎の思考の結果こんなことにw
平和すぎてあんまりおもしろくない気がします(汗)

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最終更新:2012年01月01日 00:16