417 :第三帝国:2013/12/06(金) 20:01:17

衝号ぬきの太平洋戦争~第14章「太平洋の戦い」

ミッドウェーを攻略した日本は、
史実のシー・ビーズに匹敵する装備を保有する設営隊が短期間で飛行場の機能を回復させると、
第11航空艦隊の美幌航空隊、爆撃機『連山改』64機がミッドウェーに進出。

百式重爆二二型『連山改』
最大速度:544km/h(ロケットブースター使用時:612km/h)
航続距離:4,290km(最大爆装時)~6,750km(標準爆装時)~7,880km(偵察時)
飛行高度:11,790m
爆装 最大7,000kg

さっそく真珠湾へ夜間爆撃を敢行。
まさかいきなり二三〇〇㎞先のミッドウェーから爆撃するとは思っていなかったアメリカは効果的な対応ができず、
美幌航空隊は電子戦でジャミングによる援護の下フォード島航空基地、ヒッカム陸軍基地を爆撃。
機能不全に陥らせて一〇〇機あまりの航空機を破壊しすることに成功した。

なんとか四〇〇機近い航空戦力まで保有するようになったハワイの航空戦力は、
いきなりその戦力が削られ真っ青になる関係者であったが、真珠湾の重油タンクが根こそぎ消滅、との報告を受けると髪の毛が抜けおちた。
加えて、潜水艦が数隻破壊された上に保管していた魚雷が誘爆したせいで、元々効率的でない通商破壊がさらに低下したことをここに記す。

無論、アメリカはこれに黙っておらず翌日には『B17』と『B24』の合計約二〇〇機による報復爆撃を実施したが、
ミッドウェー防衛と周辺諸島攻略のために徘徊していた第一機動戦隊(空母3戦艦2巡洋4)が搭載機を戦闘機でほぼ固めていたせいで、
一五〇機近い『烈風』が電探の管制で優位な位置から襲撃し、空対空ロケット弾を限界まで抱え俄かにミサイルキャリー化した『流星』がロケット弾を編隊に放つ。

中には重爆撃機対策として斜め銃を備えた『流星』がこの戦いに初めて参加し、
電探を装備したその機体は後にゲリラ的に夜間爆撃をする『B17』を数多く落とすことになる。

アメリカにとって救いようがないことに、ここにミッドウェーに配備された戦闘機も加わり、
さらに戦力が削られ、なんとかミッドウェーに辿りついても「VT信管」を優先的に配布された、
高射砲部隊による熱烈な歓迎によりたった一度の爆撃で、それでも相応の被害を与えるこに成功したが壊滅的な被害を被った。
以後、ハワイは貝殻に閉じこもるかのごとく戦力保全に走り、ゲリラ的に夜間爆撃をするが効果は芳しくなかった。

418 :第三帝国:2013/12/06(金) 20:02:00

アメリカ海軍の方は戦死者多数による混乱のさなかにあっても、
日本のミッドウェーへの補給路を締め上げるべく潜水艦による通商破壊を実施したがこちらも効果が薄かった。
史実でも一年半~二年に渡り悩まされた魚雷の不調は未だ改善されておらず、なかなか戦果が上げられなかった。

余談ながら、その魚雷の不調がどのくらい酷いかと言えば、
「第三図南丸」の例だと【12本】の魚雷が命中したが起爆したのがたった【2本】と実に酷過ぎる代物である。
現場では改善要求が行われたが開発部門は現場の使い方が悪いと言うばかりで、

「兵備局が命中しても爆発しないような魚雷しか作れないならば、艦船局で敵艦を引き裂けるようなボート・フックを作ってもらう」

と太平洋潜水艦隊司令官ロックウード中将は公言し、敵は日本軍ではなくワシントンの奴らだと憤怒する有様であったとか。
なおこの物語における『霧島』撃沈の例は魚雷が偶然おりこうさんであったことを記す。

そして、憂鬱世界では護衛に関しては海軍よりも歴史が長い『海援隊』、
史実よりも装備と数が強化された『海上護衛総隊』、近海警備担当の『海上保安庁』が待ち構えている上に、
対潜装備については『ヘッジホッグ』『対潜誘導魚雷』を装備して電探と磁気探知機を装備した航空機による哨戒。
HA/DA(電波方向探知機)で潜水艦が発する電波を捉えると対潜攻撃を仕掛けた。

結果、アメリカ側の潜水艦は何が起こったか分らず派手に沈めれる一方で、
それでもなお攻撃の止めるわけにはいかず送り出すが、魚雷の不調と真珠湾で魚雷が爆撃で吹き飛んだせいで効果はいまいちである。

対する日本側は、ウェークまで前進してきた工作艦に移動式ドックで一通りの補給と修繕を終えると、使用可能な戦艦数が減ったので第一艦隊は一度本土へ帰還。
代わりにオーバーワークになることを承知で、周辺諸島の占領のため再編した幾つかの機動戦隊と軽空母一を中心とした通商破壊艦隊を送り出した。

第一遊撃艦隊(軽空母『瑞鳳』重巡洋『那智』駆逐一六)
第二遊撃艦隊(軽空母『龍鳳』重巡洋『羽黒』駆逐一六)

軽空母1重巡洋1駆逐艦16を基盤に高速タンカーを付随させアメリカの海上航路の破壊を開始した。
空母は祥鳳型軽空母でこれは和風コロッサス級を指針にしており、排水量は一万八〇〇〇tである。

祥鳳型航空母艦(※参考:32話)
速力  :30.0ノット
搭載機数:航空機42機(+補用機8機)
主兵装 :40mm連装機銃8基16門

重巡洋艦は妙高型で元々通商破壊を想定して航続距離が長く、
索敵のために水上機を八機も搭載しており、こうした任務に適していた。

妙高型重巡洋艦(※参考:外伝)
主兵装:50口径20cm連装砲4基、
    45口径12cm連装高角砲4基、
    20mm機関砲24門、
    61cm魚雷連装発射管4基
搭載機 :水上機8機
最高速度:33ノット
航続距離:15ノットで10000浬

419 :第三帝国:2013/12/06(金) 20:02:35

潜水艦だけでなく空母を投入したその効果は絶大なもので、
一度五〇隻規模の大型船団に対する攻撃では『烈風』が真っ先に護衛の戦闘機を捻り潰し、
魚雷を抱いた『流星』が護衛空母に突撃して瞬殺、続いて護衛艦にロケット弾、機銃掃射、爆撃などを浴びせて船団の防衛力を削ぐ。

この際に、新たな装備として『烈風』にガンポットを取りつけて機銃掃射の威力を増させる装備に、
二五〇キロ爆弾の代わりにスキップボミングが出来る跳飛爆弾が試験的に使用され被害を拡大させた。

日が沈むと集結した呂号潜水艦三〇隻余りによる反復襲撃が行われ、
残り僅かな護衛艦を誘導魚雷で沈めると、思い思いに輸送船に魚雷を放ち、
暗闇の海面にはあちこちから水柱が立ち上り、誘爆炎上する炎が闇を照らす地獄を作り出す。
そして、最後は夜が明けて再度の空襲と潜水艦の襲撃で三、四隻を残して全滅してしまった。

これに対抗すべき合衆国の海軍の主力艦隊は壊滅状態で現在、本土で修理、整備中で出撃できず、
いくら時間が経過すれば数が揃うとはいえ一年もたたぬ間に軒並み艦が沈められてはどうしようもない。

この時の制海権は間違いなく日本側が握っており、
このような船団への襲撃が相次いで行われ、沈められる船舶トン数を急上昇させた。
悪い事にミッドウェー陥落で、哨戒機を気にしなくて済んだ潜水艦と支援する潜水母艦に特設巡洋艦が大挙して押し寄せ、一層ハワイ=西海岸の航路を苦難に満ちたものへと変貌させた。

アメリカ軍では、特に陸軍は輸送中の連隊や師団が水泳を余儀なくされる事態が相次いだせいで、
不甲斐ない海軍の対応に怒り心頭で負け込んだことも相まって、海軍との仲が徐々に険悪なものに成らせつつあった。
一度、独自に設計した潜水艦による輸送や、英国から売り込まれた氷山空母を原型にした船舶の建造など計画されるなど迷走することになる。

一月末に日本は二個機動戦隊を中心にパラミラ、ジョンストン島への上陸作戦を敢行。
アメリカ海兵隊を中心に激しく抵抗したが、元々ミッドウェーからの爆撃と封鎖で補給が途絶え、
せいぜい多くて連隊程度の戦力で、ましてや孤立した島で勇戦はしたが可能な抵抗など限られており数日以内に陥落。

自らの砲撃で開けた穴を設営隊がブルドーザーで埋めると、
第一二航空艦隊から派遣された戦闘機、爆撃機が展開しハワイへの嫌がらせをミッドウェー共々実施。
夜間爆撃で重要拠点が吹き飛ばされ、ばら撒かれる機雷でハワイはボディーブローを受けるボクサーのごとく体力が消耗してゆく。

太平洋艦隊の本土への事実上の撤退など絶望的な状況であったが、
それでもなお降伏しないのは、通商破壊で満身創痍でも本土から船団が常に物資を運搬しており、
四発機によるピストン輸送すら行われ、苦しい状態であったが合衆国は自分達を見捨てておらずいつかは勝利できる。
そう誰もが考えており、スターリングラードやマルタ島の住民と同じく現状の苦難に耐え忍んでいた。


次話:第15章「次の一手へ」目次

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最終更新:2014年01月23日 11:35