358 :パトラッシュ:2014/01/25(土) 10:16:12

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART40

山本玲SIDE(3)

「一夏、モテてるわね。周りの女の子は私を殺さんばかりだったわよ」
 IS学園を訪れた夜、私は来訪中の代表団ともども一夏も住んでいる宿舎に泊まった。日本政府との協約で海外公館並みの治外法権が認められ、地球防衛軍が強固な保安システムを構築した宿舎は、地上で最も安全だろう。一夏が学校から戻るや、すぐ部屋へ押しかけた私がからかうと、オレンジジュースを用意しながら彼は苦笑した。
「勘弁してくれよ、玲。十五、六の女の子に手を出したりしたら、淫行防止条例違反で逮捕されちまう」
「そう? 結構みんな発育がよかったけど」
「スキャンダルを防ぐために、俺は女心のわからない唐変木な奴ってことになってるんだ。親父ともよく話してあるし」
 なるほどね。一夏が薫陶を受けてきた養父の大統領はヌボーとした外見に似合わず、驚くほどの先見性と抜け目なさを誇る人だから。さすがに同級生の面々はハニートラップを仕掛けてくるには幼すぎるけれど、どの国も一夏を取り込むためには手段を選ばないだろうし。

「にしても。お湯がたっぷりのお風呂なんて十数年ぶりよ。学園の食事も充実していたし、私たちより百倍も恵まれてるわ」
「……百倍も千倍も恵まれているな。特に日本は長く戦争を知らないし、ISは一部の女性にしか使えない兵器だから、余計に自分たちには関係ないという考えが蔓延してしまっている。数え切れないほどの友人や上官や部下を戦争で失ってきた俺には、自分がこんな場所に住んでいたのが信じられないよ」
 私は向こう側では飲めなくなって久しいオレンジジュースのお代わりを注いだ。
「平和に慣れきっているのよ。私も第二次内惑星戦争は生まれた頃だったし、ガミラス戦役の前までは似たようなものだった。人口が増えすぎて宇宙進出が活発化していたから、飽食とか引きこもりなんて減っていたけど」
「でも、こちらの食料品や生活用品の輸入が進んでかなり楽になったと聞いたぞ」
「そうだけど、代わりに下手なものを輸出できないから政府も困っているわよ。おかげでクレジットを設定してくれた日本政府の頼みを引き受けざるを得なくなったと、大統領もぼやいていたし」
「ところで玲、ガルマンとボラーの間がきなくさくって、何かあったのか?」
「また両国間の衝突が頻発するようになったの。銀河交差とアクエリアスの被害復興がようやくひと段落ついたと思ったら懲りずにね。あと、どうやらデスラーが次元回廊の情報を嗅ぎつけたらしくて」
「本当なのか?」
「話したことがあるけど、イスカンダル遠征時に知り合ったガミラスの軍人メルダがガルマンの駐在武官として地球に来たのよ。その方面の情報を探っているので、先日には大統領に直接報告したわ」
「親父もボラーを睨んで、難しい外交判断を迫られそうだな」
「そういうこと。それよりも一夏、いいでしょ?」
「え、でも代表団もいるのに」
「さっき覗いたら大会議室で宴会の真っ最中だったわ。こちらでしか味わえない酒と料理に夢中だから。でも私はあなたが欲しいの……」
 ガウンを脱いだ私は、いつものように兄の形見のペンダントしか身に付けていなかった。久しぶりに一夏の唇を味わい、やがて裸で横たわる彼に覆いかぶさるように隅々まで肌を重ねる。私を歓喜させてやまない脈動が伝わってきた。

「あなたとこうなってから、こんなに長く離れていたのは初めてね。私も薫さんも押しかけようかと話したほどよ」
「無理だろう。二人とも職務に忠実な点は折り紙付きだし、今の薫は特にな」
「それでも時々、独り寝が辛い夜もあるの。私は来られたからいいけど、帰ったら薫さんを思い切りかわいがってあげて」
「……玲の立場の女性が口にするセリフではないと思うけど」
「あれで私よりずっと淋しがり屋だから。でも今夜は私をたっぷり愛して」
 長く接していなかった私たちは、そのまま心ゆくまで欲望の解放に没頭していった。

 ※この程度で18禁には……なりませんよねえ。wiki掲載は自由です。

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最終更新:2014年01月25日 22:39