544. ひゅうが 2011/12/18(日) 05:37:55
>>541
の後日談じみたものを思い浮かんだので投稿します。

平成世界――20XX(平成XX)年  某日  大英帝国  帝都ロンドン

「聞いていますか?シマダ殿。そもそも王たる者が安易に仕事を避けようとすること自体が間違っているのです。
そちらのわたくしは最近まで父が生きていたそうですからまだ甘いのかもしれませんけれどここのわたくしはそう甘くはありませんよ!?それでも栄えある世界最古の帝国を統べる王ですか!?大帝陛下が大目に見てくださっているからといってそれに甘えるとは――」

バッキンガム宮殿の一室。
某任○堂のゲーム機の横で、正座するセイバーに女帝が説教をしている。
それなんてカオス?と嶋田は頭を抱えたくなった。

その横では、女帝の御子息もなぜか正座させられていた。

「おい・・・辻よ・・・なんでこんなことになっているんだ?」

「さあ?英国情報部驚異の情報収集の結果でしょうかね?」

「聞いているのですか!?」

「は、はい女王陛下!」

「まったく!それでも私の猶子ですか!?」

「母さん。僕も発耳なんだが――」

「あなたは黙ってて!!」

「はい・・・。」

このカオスな光景が出現した理由は、実のところ嶋田茉莉の自業自得でもある。
自家中毒状態に陥っていた平成世界と憂鬱世界がすったもんだの末に政府だけ一本化されるという平成日本の全否定に近い結末を迎えてから約1年。
その間彼――いや彼女は多忙を極めた。

嶋田がそれなりに愛着を持つ平成世界を壊さない程度に憂鬱世界からの干渉を排除しつつ運営し、後継者がさぼっている憂鬱世界での列強最強国家のかじ取りをやらされていたのだから。
正直、愚痴を言う暇もない。
だが――彼女はうまくやりすぎた。
伊達に100を超える人生経験の半分を戦争や国家の指揮にあたってはいない。
例えて言うなら、体力気力全開のチャーチルを相手に鳩○や空き○の類が対抗できるか?ということになる。
また、人生経験と修羅場の数々を潜り抜けたために発せられるオーラに、生まれ変わってから加わった魅力全開な空気をまとわれては対抗できる者の方が少ないだろう。
(ちなみにその数少ない一人は現在皇居で世界を隔てた親子対面中らしい)

平成世界の長いものに巻かれた国民いわく「嶋田さんじゃなきゃヤダ」。
「どうしてこうなった・・・」と嶋田が呟きたくなるのもむべなるかな、である。

でなければ、自分のアホ毛を抜いて「オルタ」こと「大宰相SHI☆MA☆DA」と化してはいない。
しかも悪いことに、その騒動の中で抜けた彼女の髪の毛は英国情報部に回収されていた。
オルタ化して暴れていたときに謎の西洋剣と日本刀じみたものが目撃されていたらしく、それを「すわエクス○リバーか!?」と大慌てになっていたらしい。

そしてそれが分析された結果――嶋田はこの平成世界でも最強クラスの女王陛下に呼び出されることになってしまったのだった。
表向きガーター騎士団への入団を許可するという話だったが、裏では嶋田がオルタ化したという情報や創作上のアーサー王もどきになっているという情報に放ってはおけなくなった女王陛下との直接面談が目的だったらしい。

日本のマスコミは「バッキンガムに招かれた大宰相」だなんだと言っているが・・・


「ああ・・・シマダ首相。」

正座が妙に似合う皇太子殿下は苦笑しながら言った。

「とりあえず母には気に入られたようで・・・とりあえず姉上と呼ばせていただいても?」

「拒否権・・・ないんでしょうねぇ・・・」

猶子というのは、英国王位継承権を持たない養子のようなものだ。昔は欧州の国家の君主が猶子となることで大英帝国の後ろ盾を得ていたそうだが、当然ながら国王陛下の気に入った若い者への後援用としても使われていた。

今回、嶋田は後者ということらしい。
最初は和やかに話していたのに、だんだん説教のようになり、最終的には最強君主の恐ろしさ全開での「王とはいかなるものたるべきか論」講義になっている。

さりげなく横で同じく正座している辻も、さすがに2時間を経過しては辛そうだった。

「なんでこうなるかな――というか、陛下はこうなると知っていたのか?」

出がけに微笑されながら自分を送り出した二人の主上を思い出し、嶋田は深いため息をついた。


「聞いていませんね?」

「いいえ!女王陛下!」

「よろしい。いいですか?そもそも王というのは民の模範たるべきもので――」

その後、講義は1時間以上も続いたという。
なお、嶋田は妙に気に入られたらしく、ますます引退の予定が遠のいたらしい。

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最終更新:2012年01月01日 00:28