807 :名無しさん:2013/12/14(土) 05:34:21
一応こんなのも書いてみたから投稿。
反応が怖いが。



親友アドルフ



「それとくれぐれも身辺には気を付けろ。あの落馬事故には簒奪者や引き籠もりに買収された不忠者が絡んでいるやもしれんからな」

「簒奪者と引き籠もりですか」

簒奪者とは欧州系の王侯貴族を追い出したナポレオン・ボナパルト政権以後のヨーロッパの蔑称。
引き籠もりは鎖国体制下にあるオセアニアのことだ。
近年両国は軍備増強へとひた走り、ブリタニアと友好国である日本への対決姿勢を先鋭化させている。
これは両国が軍事同盟を結び、中東の共産主義国家や中華連邦の宦官たちと手を組んだことからも明らか。
彼らの言い分は「日ブは人類共通の財産であるサクラダイトの独占を行っている」というもので、国内の不景気や行き詰まりを外敵を作ることでうやむやにしようとしているのが見てとれた。

中華を割ってその三割でも引き込まれてしまえば世界の半分が日ブの敵となる。

現在でも三分の一強の世界勢力勢力へと変貌した欧州とオセアニア。
これで中華連邦まで引き入れられたら奴らは暴発するだろう。

無いなら奪え!富は日ブが独占している!

毎日のように国民に吹き込み世界勢力となれば日ブに勝てると擦り込んで鼓舞している。
一方では国民を監視する為に秘密警察を創設して恐怖政治を行っているらしく、言論の自由は失われて久しいようだ。

「ヨシフ・スターリン欧州革命評議会議長兼ユーロピア共産党書記長か」

悪夢だ。なぜあの男がこの世界にいて欧州とオセアニアを纏め上げているんだ。
一九〇〇年代前半に民主主義に絶望した欧州国民が、当時台頭してきたウラジーミル・レーニンとレフ・トロツキー率いる共産主義者たちと共に赤い革命を起こしたらしいが、結果として共産主義が陥る一党独裁体制下に突入してしまったようだな。
よくもまあ百年近くの間共産体制を続けられた物だが中国式の市場経済も採用しているのか。
日ブを堕落した帝国主義者と呼んで教育にまで手を突っ込み思想統制を計っているところはソビエトとまったく同じだな。
逆らう組織や人間には徹底的な弾圧を加えて声を上げられないようにしている。それも数回に渡っての執拗さで。
お陰で欧州の人間はまるで北朝鮮のように党や指導者に従順な国民ばかりになってしまったようだ。
離反しようとすれば見せしめとして地域ごと粛正され逃げることも出来ない。
細部にまで支配が行き届いた結果、本来ならば緩やかな連合体の筈の欧州が強固な共産主義連合と化している。
権力者にとっては最もやりやすいのだろうな。

808 :名無しさん:2013/12/14(土) 05:38:03
「失礼します」

専属の執事らしき人が入ってきた。
俺に用事があるようだ。

「どうぞ」

「アドルフさまがシゲタロウさまのお見舞いに参られました」

見舞客が来たことを告げる執事。
口振りからすると普通に出入りしている今の俺の知己のようだが。

アドルフ?

アドルフって誰だ?
新しい人物の登場に記憶を掘り起こしてみる。

      • 。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。


      • 。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。


      • 。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。






あ・・・・。

ああッ・・・。

なッ・・・!

なにィーーーー!!!




記憶に浮かび上がってきたアドルフなる人物の家名に驚愕した。

ヒトラー・・・。

アドルフ・ヒトラー。

ヒトラー侯爵家嫡男アドルフ・ヒトラーだとォーーーー!!!


「失礼する!!」

叫んでいるような大声で入って来た七三分けの青年。
年は俺と同じようでまだ子供といったところだが。

「我が親友シゲタロウが回復したと聞いて余が見舞いに来てやったぞ!!」

あの威圧感のある目。あれこそドイツ第三帝国総統であったあの男の目そのもの。
あの目だけはよーく覚えている。一度相対すれば二度と忘れられない目だ。

「おお!これはコーネリア殿下にユーフェミア殿下!御機嫌麗しゅう!」

「相変わらず声が大きいな。病み上がりの人間を見舞いに来た物とは思えんぞ」

「失敬、生まれついてのものですからな」

アドルフはにこやかな表情でこちらに歩を進めてきた。

「どうやら無事らしいな」

「あ・・ああ、まあな」

「・・・」

809 :名無しさん:2013/12/14(土) 05:40:10
見舞いと言いつつ何か俺を睨んでいるような探っているようなそんな感じを受ける。
記憶の中にある彼は芸術家を志す青年で、画家としての天才的才能を持っている男。
そしてシゲタロウ・リ・シマダの親友であると確認できたが・・・ これは・・・

「また来ましたねこの不良ッ!シゲタロウさまに近付かないでくださいとあれほど言い含めておきましたのに!」

モニカが小さな身体で俺をガード。
今の俺、そして過去の俺の記憶にあるあの決め台詞とポーズが余程嫌らしい。
というか、このアドルフ少年はやはり・・・

「これは失敬なことを申されるなフロイラインモニカ。余は不良ではなく芸術家であると何度も申し上げているが?」

「どこがですッ!シゲタロウさまに変な事を教えているのをこの目でしっかり見ていましたから誤魔化されません!」

「変とはなんだ変とは!余の芸術的センスを理解できん輩に用はない!!」

「へんーーー!!アドルフにいしゃまはシゲにいしゃまにいつもへんなことおしえていますーー!!」

「ユーフェミア殿下まで!ええいッこれのどこが変だというのだね!」

変だ変だと騒ぐ二人に堪忍袋の緒が切れたのか、アドルフはあの名台詞と共に胸に当てた手を大きく斜め前に振り上げて叫んだ。


ジィィィィィィィク・ハァァァァァァァイル!!!


「変です!不良です!」

「ふりょおなのーーー!!」

思い切り抗議するモニカとユーフェミアにコウ姉までもが頭を抑えている。

「暑苦しい父上を思い出すからやめてくれ」





ああ。
やはりこいつは。





頭痛くなってきた・・・・





続かない?

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最終更新:2014年02月22日 15:15