393 :影響を受ける人:2014/02/01(土) 20:23:28
設定:休日世界モニカルート
独自解釈・独自設定が出てきます。
記憶力の低い頭で考えました。
それでもOKという方はお進みください。







ある者の悩みと考え


『高亥』原作を知るものでは「出落ち」とも呼ばれる彼だが、以外にも才能があり、「贅沢をするために努力は惜しまない」という異色の人物であった。
自ら贅沢と楽をするために努力する。そんな彼だが、だからこそ部下の信頼は厚かった。
何せ決断力はあるし、ちゃんとに部下の言い分も聞いてくれるのだ。
そんな彼でも宦官排除の動きを止める事は出来なかった。
そこで一計を案じ、“清”を作って独立してしまった。

彼以外の宦官の働きもあったろうが、大部分は自分の功績だと誇っている。
“ジェンシー”もその一つだ。
多大な出費だったが、自国でKMF制作が出来るのは何よりも大きい。
それでも満足せず、油断なく動いた。


シベリア戦争


高亥はEUに攻め込んだ。
狙いは・・・未発掘のサクラダイト鉱山。

EU内部は主にアフリカ方面の資源に頼っている面も有り。冬は厳しいこの地方の開発は、田舎というイメージもあって全く進んでいない。
そこに高亥が秘密裏に内情探るべく、密偵を放っていたのだが・・・「赤く光る石を見たことがある」という酒場の与太話を仕入れたことにより、“清”の発足は早まった。
慎重に、慎重に調べ上げ、未発掘のサクラダイト鉱脈・他鉱山をみつけだすことに成功し。
その鉱山を手中に収めるべく手勢を動かした。日本や、ブリタニア帝国に依存しないサクラダイトを求めて・・・

国際的に何か言われるのを避け、宣戦布告をしっかり行ってからの戦争は、かなり順調な滑り出しであり。
連戦連勝、“清”の国民が高揚すると同時に、ここまで整備した高亥も満足する。
少し気がかりなのは―勝ちすぎている―事だけ。

懸念は現実となった。
総大将の曹将軍を無視して進撃する部隊が続出したのだ。
それは他の宦官の手勢であり、戦争当初は完全に後方にいた連中だった。
曹将軍が防衛戦構築の為に進撃を緩めたのを好機に、内部工作をしてまで進撃をする。

完全に暴走状態となった軍を高亥は激怒し、後のEU大反撃で曹将軍を更迭しようとまでした(後に高亥の情緒不安定も彼等の策だと判明)。
高亥自身も他の宦官に対して軍を引かせるよう要請したが、表向きの理由に賛成して拡大しているのに、なぜ抑えるのかと反撃した。
彼等は高亥が鉱山を得るために戦争を起こしたことを実は知っており、自分達が“占有”できる鉱山があるかもしれないという思いを持って拡大を指示している。
その所為もあって泥沼の戦争になりつつあり、最悪な事に冬将軍が到来してしまう。

両軍が動けないその間にEUは立て直し、猛烈な反撃を受けた。
これに宦官の手勢は大打撃を受けて大きく後退し、ようやく高亥の手に主導権が戻ったのだった。
そして新型KMF【夏候】・新型陸上戦艦【芳珠】そして偶然の産物、最悪の気化爆弾を投入して敵軍に対して大ダメージを与え、占領した土地の防衛線構築に成功する。

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394 :影響を受ける人:2014/02/01(土) 20:23:58

シベリア戦争後、高亥は寝る間を惜しんで働いた。
軍の立て直しもあるが、国内整備も忙しい。
新たな土地に入植した者達は鉱山で懸命に働き、それに見合った報酬を得て暮らしている。

ただ富を溜めるのではなく、適度に配ればさらに冨が集まる。

これを実感した高亥は、積極的に配分している。
もっとも、高亥以外はまるでしていないのが現状だが・・・

そんな彼も、大宦官同士の会議は疲れる。
今日も今日とてお互い腹の探り合いに終始し、ほとんど進まずに終わった。

「はぁ…まったくあ奴らは…」

いっそ切り捨てるか。そうつぶやくが、貴重な政治のスケープゴート。そうそう簡単に切り捨てられない。
切り捨てるにも時期がある。そう・・・思っておこう。
護衛が周りを固める中移動し、すでに車が玄関前に待機しており。車の前で一人の人物が彼を待っていた。
小柄で、目が細めで、メガネをかけ、冷たい印象がある。

「待たせた。ゆくぞ。」
「はい。了解しました。」

一つ声をかけて中に入ると、待っていた人物も乗り込んでドアが閉まった。

「どうだ。なれたか?」
「はい。曹将軍も、私に慣れつつあるようです。」

車がゆっくり動きだし、しばらく走ったところで声をかけた。
対面式の車内で、お互いに見える位置に座っている。
高亥の前に座る若い人物、背はそんなに高くなく、体の線も細い。
顔の表情は変わらず、動かない。

「ソナタを見つけられたのは幸運であった。」
「それは買いかぶりです。」
「くく…相変わらず硬いのう。もうちょっと柔らかくなれば、自分の後継者となろう」
「…恐縮です」
「精進せよ。蘭」
「はい」

蘭と屋ばれた人物は女性で。
今年の文官採用試験の際に目に留まった人物で、面接試験の時にマジックミラー越しに受け答えを聞いてみた。
その回答はなかなかに独創的であったが、高亥の「贅沢をするために努力する」と言う信条に近いものを持っていた。

最近後継を考えていた高亥は、思い切って彼女を傍に置いたのだった。
腹心と言える曹将軍は当初戸惑ったが、何とか後継者として受け入れてくれているようではあった。
そうこうする間に高亥の住居に戻り終え。
二人はそのまま大会議室に向かう。
これからが“本当の会議”である。

入室すると、その場にいた高官・文官・武官が立ち上がって頭を下げた。
軽く手を挙げ、頭を上げさせると上座に座り。蘭は資料を取り出して右後ろに待機する。

「では、はじめようか。」
「「「「「「はっ!」」」」」」

号令をかけると左側手前の一人を除いて全員座った。

「まずは人口面です。戦争により一時的に減っていた人口ですが、中華方面から職を求めて流民が相次で入国しています」
「ほぅ…間者などは?」
「おそらくいるでしょう。そこは情報部と協調して対処しています。ですが…」
「わかっておる。だが、警戒は言にせよ。それと、職につけるのはこの国に定住する者のみとすることを怠るでないぞ。」
「承知しております。」

報告が終わり、座ると変わって右側手前の高官が立ち上がる。

395 :影響を受ける人:2014/02/01(土) 20:24:30

「農林水産についてです。一部機械化が進み能率が上がっています。また、以前よりのテコ入れによりさらに今年は上がりそうです。」
「働き手はどうじゃ? 足りておるのか?」
「戦争にだいぶ持って行かれましたが、先程の流民を一部と要する事で何とか補いました。後は彼等の定住化が進めば安定するものと思われます。」
「…暴動が起きないよう注意せよ。」
「他の、宦官の方の動きには注意しております。ご安心を。」

報告を終え、彼も座る。この後、他の細々とした報告がなされ、その度に質問し、蘭からは必要な書類を見せてもらって納得していく。

「曹です。EUの大反撃を受けて消耗しましたが、戦線の防御には成功しました。
 以前の戦線よりも後退しましたが、鉱山等を守るのに必要な、防衛戦を張れる場所は確保できました。
 当面は大丈夫でしょう。
 陸上戦艦【芳珠】の配備は遅々として進んでいませんが、デリケートな面も多い為に今は早急な配備は望んでいません。」
「【夏候】の配備はどうじゃ?」
「それは順調です。すでにKMF全部隊の75%を変えています。また余剰となった【ジェンシー】は国境警備に回すなどをし、他の面の戦力向上にも努めております。
 さらに【ガンルゥ】についてですが、一部のライン以外は新しい機体にしています…他国はMTFと呼びますが…【岩洞】【岩蜘蛛】に変更しています。
 【岩洞】は【ガンルゥ】の後継機で、コストを抑えるべく【ジェンシー】の部品を主に使えるように設計してあります。
 【岩蜘蛛】は敵から鹵獲した多脚兵器を解析したものです。平地ではあまり活躍はありませんが、起伏にとんだ場所では戦車よりも活動でき、KMFでも歩行困難場所でも安定して移動できます。
 なにぶん新設計なので、生産は少し抑え目です。」

説明に頷く高亥をみて少し安心する曹だったが、次の説明はどうにも気が重くなる。

「続いてエース用として限定生産している【夏候・弐型】ですが…やはり整備性が悪いと不評です。」

高亥の眉間に皺がよるのが見えた。
無理もない。本来ならば時間をかけてシェイプアップしなければならないのを、無理やり性能を上げる工夫をしているのだ。
【夏候・弐型】は【夏候】の改良機だ。関節機構や動力を弄って性能アップを図ったが、その為の部品が完全オーダーメイドで、手作りの上に生産するのが難しいときている。
整備する側も大変だろう。
それもこれも多脚兵器と同じように鹵獲した、第七世代相当の機体のせいである。

その機体はEUにおいて【アレクサンダ】といわれているがこの際は置いておく。
第七世代機相当のKMFの性能はずば抜けていた。
装甲が薄いという面を覗けば、【夏候】よりも性能がいい。
しかも市街地戦や、地形が不安定な場所での奇襲などの特殊戦に強いのも上げられる。
一部の報告では、たった一機に【ジェンシー】が全滅させられたという話も聞く。

396 :影響を受ける人:2014/02/01(土) 20:25:57

「…こちらの開発はどうなっている?」
「はい、それなりに進んでいます。ですが…」

【夏候】開発終了から、開発班は二つに分かれた。
一つは改良する為、もう一つは次世代機。
その次世代機開発が猛烈な勢いで進められている。

清の純正KMF【呂布】
分類:第七世代相当KMF 所属:大清連邦 外見モデル・ガサラキの壱七式戦術甲冑 雷電(ライデン)
製造:清の重工業 生産形態:限定生産型
全長:4.6m 本体重量:6.8t
推進機関:ランドスピナー 補助推進機関:使い捨てロケットエンジン
固定武装:スラッシュハーケン×2 スタントンファー スモークディスチャージャー(閃光弾等にも変更可能)
装備武装:マシンガン アサルトライフ 75mm低圧砲 50mmグレネードランチャー 重斬刀 etc.
乗員人数:1人

これが、次世代機として開発が進められているKMFだ。
【夏候】に比べて軽量化がなされており、随所に【アレクサンダ】からの教訓を生かしている。
最も可変機構はいらいないと判断されているので、関節機構は頑丈になっている。
生産性を優先しているせいで首の可動部分はなし、対人機銃もなし、スラッシュハーケンは射出部から上下に先端を動かすだけで54°角が限界。
      • 未だ設計段階であり。実機すらない状況。

「仕方あるまい。しっかりやるように申し付けよ。故障だけは無いようにな…」
「高麗とは違います。お任せください」

溜息をつきたいのを我慢しつつ曹将軍に言うと、再び細々とした報告受け、それらに指示と新たな方針を告げていく。
会議は少し遅くまで続いた。

―――
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―――――――――

会議が終わり、自室で軽くお酒を飲む。
その姿は某苦労性の元首相を思い起こさせた。

「ふぅ…」
「…」

溜息をつく自分の上司を、ただ変わらぬ細目で見る。
蘭は只己の実力を示すために努力する。その努力に見合った報酬を得るのは当然という思いもある。
女の身の上ではあるが、同じように努力する者を馬鹿にする事は無く、最大限努力し地位を維持している高亥は尊敬に値する人物だ。
だが・・・最近は物思いに耽ることが多い。
理由はわかっている

397 :影響を受ける人:2014/02/01(土) 20:26:28
EU崩壊の速さ。

当初の見積もりではシベリアを取られたぐらいでは揺らがないはずだった。
確かに政治不安な所はあったが、それでも猶予はあると判断していた。
だが予想に反しEUの内情はガタが来ていた。

その為、ブリタニアに居候しているユーロブリタニアの動きが活発化している。
もし彼らが動けば日本も動くだろう。友邦を助けるために。
それにつられて他の宦官が余計な動きをするかもしれない。
馬鹿な高麗が動くかもしれない。
EUが打倒されれば・・・次はこちらだろう。
奪われた土地を取り戻すという大義名分があちらには在り、しかもそこには旨味のある鉱山すらある。
排除されるの恐れ、その前に“清”を建国したのは間違いだったのだろうか?

「否…それはない。出なければ今頃は絞首刑台の上だ」

先程浮かんだ疑問を力強い言葉で否定する。そうでなければ今までの自分を否定する事になるから。
だが、どうする?
あの連中と心中する気はない。
さりとて・・・

「高亥様」
「なんじゃ」

再び考えに沈みそうになったが、蘭が中断させた。
普段はけしてそういう事をしないので、少し驚くと同時に不可解に感じる。
だが、普段しない事をしたのだ。何か思う所があるのかもしれない。
顔と体を向けて話を聞く体制をとる。

「高亥様が悩んでおられるのは、あの寄生虫共の事ですか?」
「そうだ。」

確かに日本・ブリタニア帝国・ユーロブリタニアは脅威だ。
だがそれも、こちらにちょっかいを出さなければいいだけの事。
上記に挙げた理由だけでは少し弱い所もある。
なので問題は足を引っ張る連中となる。

「策ならばあります。恐らくは考えられているとは思いますが…」
「ならば言うてみよ。」
「はっ。では失礼して…」

蘭は策を話す。その顔は相変わらず無表情で冷たい
話の内容は高亥が考えている策と全く同じだった。

「…以上です。」
「…」

話し終り、もう一度酒を飲む。
そして酒器を置くと天井を仰ぎ見る。

「やはり、それしかないか…」
「高亥様が生き残るには最善かと」

やはりままならない。
この国に、愛着を持ってしまった今では苦渋の決断を強いることになる。
何度考えてもこの考えが離れない。他に最善の策はないか考える。
しかし・・・かわらない。

「ままならぬな…」

高亥は酒を注ぎなおして今度は勢いよく飲んだ。
旨い最高級品のはずなのに、酷く不味く感じた。

398 :影響を受ける人:2014/02/01(土) 20:27:29
以上になります。
オリジナルキャラ“蘭”を登場させてみました。
彼女のイメージは侍スピリッツ・アスラ斬魔伝の羅刹ナコルルです(私の趣味丸出し)。
彼女は高亥の後継者で、冷徹な判断を下せます。しかし努力する者は誰であれ、身分関係なく認め称賛します。
反対に驕れる者に対しては限りなく冷徹に見ます。もしくは道具にしか見ません。
まだ若い所為か、硬い面がみられるために柔軟な思考が身につくよう指導されています。
曹将軍は女性が後継者と言う面に戸惑いましたが、自分も高齢になりつつあるので納得しています。
話の内容は、ほとんど今までの議論纏めでしかありません。

清の純正KMF【呂布】
出てきた清の第七世代相当のKMFです。
しかしながら【アレクサンダ】よりも生産性が悪く、扱いづらい機体となっています。
完全にエース中のエース向けです。
もし時間があれば外見が【壱七式戦術甲冑改 震電(シンデン)】で、名前も【高順】となり、生産性は多少向上してエースに配備されます。
それでもそれでも整備性は・・・

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最終更新:2014年02月22日 19:13