405 :パトラッシュ:2014/02/08(土) 08:59:54

earth様作『嗚呼、我ら地球防衛軍』と某作品のクロスオーバーのネタSSの勝手な続編PART42

五反田弾SIDE(2)

 IS学園で一夏が美少女に囲まれているとはネット情報で知ってたけど、あっち側の軍にも美女がいるんだ。いや~山本さんて格好いいな。蘭のおかげで年下に何の理想も描けない俺としては、どストライクだ。いくら一夏でも譲れるか。すぐに誘おうとした――けど、床にのびているチャラ男どもが何をやったかは一目瞭然だ。連中を交番に引き渡すと、蘭の腹の虫が鳴ったのを口実に「昼メシでも」と声をかけ、一緒にオープンカフェのテーブルに座った。俺だって学ぶべきは学ぶからな。
「カニクリームスパゲッティなんて味を忘れてたわ。おいしいものがたくさんあるわね」
「いや先輩、五反田定食のほうがうまいですよ。一度連れて行きたいほどです」
「ぜひぜひどうぞ。こんな美人が来れば、うちのじいちゃんもハッスルしますから」
「あの名前自体イヤなんですけど……」
 何やら雑音が聞こえるけど知ったことか。俺はすべての注意力を集中して話し続けた。にこやかに応じていた山本さんだが、一夏ともども不意に眉をしかめて黙り込む。一体どうした?

「ちょっと行ってくるから」
「先輩、お手柔らかに」
「わかってるって」
 そう言うと、山本さんはすっと立った。トイレかなと思ったら少し離れた席にいた同年輩の女の子の襟元をつかんで引っ立ててくる。抵抗する間もなく、彼女は一夏の前に引き据えられた。
「や、やあ、一夏君おひさ~」
「やっぱり黛先輩ですか。俺たちを監視してましたね?」
「か、監視だなんて人聞きの悪い、取材よ取材。世界唯一の男性IS操縦者が買い物デートってね」
 メガネ美少女は額に冷や汗を浮かべ、どもりながら引きつった笑みを浮かべる。めちゃくちゃ挙動不審だぜ。
「一夏、誰なんだ?」
「IS学園新聞部副部長の黛薫子先輩ですよ。盗撮と捏造記事の専門家の」
「ひ、ひどいわ一夏君、事実に基づいた正確な報道こそ、私の信条よ!」
「なら俺がクラス代表に選ばれたときのインタビュー記事で、『頑張ります』以外は全部先輩の創作だったのはなぜです?」
「え、あのそのあれは……」
「しかも新聞部総出で俺の行動を盗撮して、生写真やDVDを売りまくったとか。確か百万円以上は稼いだんですよね」
「どどどうしてそれを……」
「千冬姉が話してくれました。先輩を退学にするか、職員会議で真剣に議論したと」
 黛さんは冷や汗をだらだら流し、歯の根が合わないほど震えている。警察ドラマの取り調べシーンみたいだ。山本さんが猛獣に似た笑みを浮かべた。
「当然、今も盗撮や盗聴をしていたな。素直に渡せば許してやるが」
「ち、地球連邦は報道の自由と国民の知る権利を認めないのですか?」
「これでもかな」
 黛さんのボールペンを取り上げた山本さんは、あっさり片手でへし折る。完全に真っ青になった黛さんは、超高感度型ボイスレコーダーと小型カメラを差し出すや脱兎の勢いで逃げていった。有無を言わせぬO・HA・NA・SHIぶりに感嘆するばかりだ。単純な暴力女の蘭に比べ、知性ある強い女ってやつだな。
「あ、あの、玲お姉さまと呼ばせてください。携帯かスマホのアドレスも教えていただけたら……」
「あいにく私は来週、向こうの世界へ帰る。君とは連絡できないよ」
 そ、そんなぁ!
「ところで一夏、水着も買いたいんだけど」
「え、いいですけどなぜ?」
「ふふ、実はね……」
 ささやくお姉さまに、一夏は驚いた顔になる。何かわからなかったが、美人が水着を選ぶシーンは眼福だったな。地球連邦の代表部へ行くという一夏たちと別れ、スマホに百枚近く確保したお姉さまの写真をチェックする。学校でも自慢できるし、今日は実に幸運だった。

「いや~玲お姉さま、本当にいい女だよな。持つべきものはよき友だぜ」
「お兄、一夏さんの前で好き放題にやってくれたわね……」
「え、あれ、いたのか蘭? おおおい、まままたダークパワーを感じるぞ――」

 その日、俺は銀河の流れ星となった……。

※次回から「臨海学校&『銀の福音』事件編」です。wiki掲載は自由です。

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最終更新:2014年02月25日 17:35