843 :第三帝国:2014/03/21(金) 21:58:57

衝号抜きの太平洋戦争~第23章「日本に征けぬ海はなし」

日英同盟が再度締結された結果、
太平洋だけでなく大西洋でも英国海軍の総力を挙げた通商破壊が開始。
英国が保有する潜水艦の全てが一斉にアメリカ東海岸、カリブ海、南米航路に襲い掛かった。
日本の呂号のように隔絶した性能を有していたわけではないが、それでも数が相応に多いため、と言うのは。

史実英国の潜水艦保有数は第二次世界大戦直前で57隻。
その任務は通商破壊ではなくドイツ水上艦艇並びにUボートの監視、攻撃であった。
しかし、それで戦間中Uボートを実に32隻も沈め、終戦時には合計170隻もの潜水艦を保有し、
アメリカに次ぐ世界第二位の潜水艦保有国へとなっていた(参考:歴史群像欧州戦史シリーズ『大西洋戦争』P108)

(※生産した数だけならドイツがダントツ、しかしそれ以上に沈められた)

史実と違いドイツと停戦、さらにはアメリカのカナダ侵攻を受け、
英国の開き直り外交でドイツと正式に講和をするなど随分と歴史は変わっており、
それより前には辻ーんの暗躍で世界恐慌の影響をモロに受けて軍備が遅れるなど散々な眼にあっていたが、

それでもなお、ドイツがロシアの赤熊と全力で殴り合っている間、
苦しい台所情勢ながらも軍事力の整備はコツコツと行ってきたため気づけば、
日本、イギリス、アメリカ、ドイツの順で世界第二位の潜水艦保有国へとなっていた。

日本は和風XXI型の呂号を大量生産しているから当然である。
ドイツはソ連と殴り合っているいるため最近ヒトラー総統が将来は海軍増強を考えているとはいえ、
当面は海軍整備は後回しであり、英国との戦争が終わってから相変わらず冷や飯を食らっている最中である。

アメリカはと言えばヘッジホッグに対潜誘導魚雷、
対潜哨戒機、ソノブイ等と万全の装備を以って待ち構えている日本海軍を前に消耗を続けており、
幸運の女神に愛されているのか良く分からない「アルバコア」の例を除けば虐殺に等しい損害を受けていた。
なお西海岸における海軍拠点であるサンディエゴが原爆で吹き飛ばされてから、修理補給にも支障を出していた事実を記す。
結果、大西洋でも多数の潜水艦が動き回ったせいでアメリカの保有船舶を減らして、海運業者の胃壁に穴をあけることに成功した。

水上艦艇もまた通商破壊に参加した。

戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』
戦艦『レパルス』
空母『アーク・ロイヤル』
空母『イラストリアス』

戦艦2空母2で構成され通称『Z部隊』
と命名された艦隊はパナマ運河を破壊されたため南米を通過する航路を狙って通商破壊を開始。

844 :第三帝国:2014/03/21(金) 21:59:32

昼は艦載機で偵察、空襲を仕掛けて、
夜に戦艦による夜戦で船団に打撃を与え、
船団がバラバラになったところを潜水艦が落ち武者狩りを実施、戦果を挙げた。

アメリカ側は対抗しようにも護衛艦に戦艦に対抗しろというのが無理で、
護衛空母による空襲も搭載機数が限られている上に『F4F』では何とか間に合った、
グリフォンエンジン搭載型の『スピットファイア』に対抗するのは難しく落とされる始末である。

さらに嫌らしいのは、フォークランド諸島というこれまで特に注目されなかった島で、
俄かに飛行艇、仮装巡洋艦、潜水艦がたむろい、南米大陸経由の航路に痛打を与えていた。

なお、憂鬱世界では『プリンス・オブ・ウェールズ』の建造が遅れたせいで、
対独戦で碌に活躍できなかった鬱憤をここで晴らすことになる。

(参考第15話:KGV級戦艦は完成が遅れ気味であり、
2番艦であるプリンス・オブ・ウェールズが海に浮かぶのは当分先。
ドイツのビスマルクに対抗するために設計を変更した3番艦は、設計変更の影響で建造がさらに遅れていた。
戦艦でさえ遅れているのだから、空母の建造はさらに遅れておりイラストリアス級3番艦が完成するのは来年に持ち越し、であった。
巡洋艦以下の艦艇は連邦諸国に負担させ、何とか整備を進めている。)

外交面でも英国は活発的に活動している。
香港に亡命した中華民国の高官から手に入れた第二次満州事変の真実を全世界に公表。
鉄道爆破が中華民国の自作自演である事実から友人の選択を誤ったと痛烈に皮肉を交えて非難。

さらにドイツとは講和を締結したので、
通常の交易を再開すると称して『レーベレヒト・マース』を筆頭にドイツの艦隊型駆逐艦の購入を開始。
イタリアからは完成したばかりの空母『アキラ』、ヴィジー・フランスからは元イギリスの戦艦『クイーンエリザベス』
『ヴァリアント』を購入すると宣言して、その大胆さに夢幻会も含めて世界は驚いた。

(※参考外伝2話:「フランスは……イギリス人の戦艦を引き上げて再就役させましたが、長くは使えないでしょう」
フランスは人間魚雷で大破・着底していた英海軍の戦艦クイーンエリザベスとヴァリアントを改装し、この2隻を高速戦艦として再就役させていた。
基準排水量34500トンという艦体に8門の38センチ砲、連装10基の13センチ両用砲を搭載し、
さらに最高速力25ノットを誇る有力な戦艦の一番艦は『復讐』の意味を持つ『ルバンシュ』の名前を、
二番艦には『鉄槌』の意味を持つ『マルテル』という名前を与えられていた。このことから、
フランスが如何にイギリスを憎んでいるかがうかがい知れる。尤も無理に無理を重ねたため、10年程度しか持たないのではないかと考えられたが。)

アメリカは抗議したがドイツ、
イタリアは「海軍力で勝るイギリスに仕方が無く従った(棒)」と言い。
ヴィジー・フランスは日本に一方的にボコられているアメリカの不甲斐無さをなじった。

そして今後も船舶の委託建造を申し込むことなり、
イギリスは船舶の建造において欧州大陸の生産力がそっくり味方についた。

なお、史実では味方に沈められたがこちらでは生き残った『レーベレヒト・マース』だが、
イギリスに売却されたというエピソードから後世『艦これ』で英国使用に改めた改二では、

朝は味気が無いオートミール、昼はウナギゼリー、
夜はギトギトのフィッシュ&チップスと見事なメシマズな嫁になった上に、

差し出す飲み物はなぜか塩入りココアでタッチすれば、
提督のロリコン的発想を皮肉を交えて罵倒し、提督×ヤギを妄想する腐女子と英国面に悪落ちキャラとして描かれる。

845 :第三帝国:2014/03/21(金) 22:00:48

英国の外交攻勢はとまらない。
またどうせ今後インドを支配してゆくことは無理、
と判断した英国は代価として資源提供、国債購入などを条件に、
ガンジーに対して書面を以って完全なる独立を約束したため荒れたインド情勢は安定。
これにより、インドの資源がフルに活動できるようになり戦争資源が英国、日本へ送られることになる。

日本に対しては東洋艦隊が日本海軍の傘下に入りアラスカまで派遣。
陸軍もインド兵を乗せた輸送船団ごと指揮下に入れるなど大胆極まりない手を打ち続けた。
なお、その理由は

「ここで意地を張ってもどうせ東洋艦隊に主力艦がいないし、陸軍もインド兵なら日本側に指揮権を預けてしまえ」

と開き直ったためである。
日本としてはここまでやられると、
拳を下ろせざるを得なく、また兵力不足を一部でも緩和するなど、
実利に適っているため断れることが出来なく、実に嫌らしい手であると夢幻会では評価した。

さらに、相互に国債を購入し合う提案。
極め付きはより同盟を強固なものとするために英国王室と皇室との間に縁談を結べないか打診。
流石にロンドンで交渉していた吉田茂が慌てたがロマノフのアナスタシナ皇女の例があると指摘され沈黙する。

(参考本編38話:
「……だとすれば、縁談しか方法がないか」

ハリファックスは渋い顔で呟いた。

「夢幻会の重鎮である伏見宮家には、12歳の男子がいる。
 それにロマノフの血を引く男子もいる。殿下たちの嫁ぎ先は十分ある」

「ですが、それは国民感情が許さないのでは?」

「判っている……有効な方法であるが、それがネックだな。
 下手に日本人に王族を嫁がせるなどと言ったら反政府運動が起きかねない」)

南米、中米とは再度足並みをそろえてアメリカに対する禁輸措置を実施、
珈琲豆、そしてゴムの供給はアメリカの裏庭とも言えるキューバを除けば停止してしまう。
史実と違い下手に南米に深入りしたせいで恨みを買いすぎたアメリカの報いを受けることになる。

だが、アメリカ軍が丸ごと殴りかかってきたものゆえに、
カナダの戦況は思わしくなく1月中旬にはモントリオール、バンクーバ、オタワを放棄。

さらに数日後にはケベックを放棄してハリファックスに立てこもった。
このため最悪、海を渡りニューファンアイランド島まで後退し春~夏に本国艦隊が全力で反撃することを予定した。
(※増援の陸軍を運ぶ輸送船の見繕いなどに最低数ヶ月の準備期間が必要)

そしてアメリカのカナダ侵攻、日英同盟の再結成に対して日本は行動を起こす。
具体的には再び連合艦隊、そしてアラスカの『富嶽』を動かし、西海岸沿いに侵攻するアメリカ軍、
並びに西海岸全域で艦隊丸ごと通商破壊と『富嶽』の爆撃で暴れ回るというもので「あ号作戦」と命名された。
しかし、先の海戦で傷ついた艦が多く、補充と補給の兼ね合いから実施日は3月~4月となる。

ただし既に『富嶽』による鉄道、ダム、など少数でも戦果を挙げられる対象に嫌がらせの爆撃をしている。
機雷の散布も西海岸だけでなく、五大湖にも投下しており訓練空母の『ウルヴァリン』が搭乗員ごと湖の底に沈んだ。

「あ号作戦」では、
アメリカ本土に近づくこともあって艦載機の大半を戦闘機の『烈風改』で固めていき、
空母『大鳳』には世界初のジェット戦闘機である『疾風』を乗せて制空権を磐石なものとする予定だ。

846 :第三帝国:2014/03/21(金) 22:02:21

44年にジェットとかチート乙、
といえるが整備員、並びに搭乗員の教育にはかなり無茶を強いている。
数も『大鳳』一隻分しか確保できず、艦載機全体の補充もかなり厳しいものだ。

「せめて夏になればもっと『疾風』を配備できるのだが」

とは嶋田の言葉である。
夏になれば十分に教育され、数を揃えた『疾風』が揃うだけでなく、
空母『雲龍』を筆頭に、各種艦船が実戦配備されるはずであるからであり、
秋以降は『大鳳』型2番艦『白鳳』に超甲巡の『北岳』『穂高』が実戦配備される予定だ。

だがそれでも、史実には見られなかったペースでの建造だ。
夢幻会でカレーを食べつつ後世の『艦これ』はどうなっているだろう、そしてそれが見れないのが残念である、
とまで雑談した後「だったら、自分たちで映画なりカードゲームなりで作ればいい!権力はこういう時に使うべきだ!」
と近衛文麿言い出し、夢幻会は久々にネタに盛り上がった。

近衛「カードゲームのルール、
   各キャラのデザインは基本『艦これ』基準で行くとして、
   問題は映画における主人公をどうするかだ、皆の忌憚無き意見を聞きたい」

伏見宮「ここはやはり連合艦隊旗艦の『長門』を自分は推薦する」

辻ーん「神戸生まれのお嬢様『熊野』を主人公として大蔵省は推薦する」

南雲「貴様は相変わらずお嬢様キャラ押しだな
   …海上保安庁として『阿賀野』を推薦するものだ、
   大蔵大臣は『阿賀野』のあざといまでの声とあのおっぱいの良さをわからぬようだ」

古賀「戦艦派としては男は黙って戦艦、それも王道の『金剛』だろ。
   英国との復縁という意味合いも兼ねて彼女を主人公にすべきである。
   それより排水量13万トン、50口径51センチ3連装砲3基の『大和』をはよ!」

東条「陸軍としては陸海軍の団結を示すため『あきつ丸』を推薦する。
   あるいは個人的にはキャプテン木曽、もしくは『響』を主人公にしたい」

近衛「……見事にバラバラだな、となれば」

辻ーん「ええ、そうですね。ここは中立的立場の嶋田さんに決めてもらいましょう」

一同「「「「「「総理、どうか嫁を主人公にしてください!!」」」」」」

嶋田「知るか!!」

そして嶋田の異を痛めさせた。
なお後に映画が公開されたさいのガチ提督勢の反応は以下のようであった。

山本五十六「あの、ご飯を一杯食べる子は可愛いな」
木村昌福「まったく、駆逐艦は最高だな!(霞を見つつ)」
田中頼三「まったく、水雷戦隊は最高だな!」
栗田健男「キマシタワー!!(大井、北上を見つつ)」
西村祥治「扶桑姉妹か、良いな」
激おこ多聞丸「ウチの飛龍に手を出すと……わかるな?」

嶋田繁太郎「帝国海軍オワタ」

話を戻そう。
日本のアラスカでの戦況も数が多いため、州都ジュノーを早期に放棄。
遅滞防御に努めている最中で、西海岸から英国陸軍と日本陸軍の増援を受けた上での反撃「い号作戦」は夏となるだろう。

春の「あ号作戦」でアメリカの伸びきった補給線を叩き潰し、
夏の「い号作戦」で侵攻してきたアメリカ軍の後方に増援を上陸、同時反撃でこれを包囲して殲滅する。
まさに壮大で夢物語でしかない内容であるが、制海権は日本側にあり、英国が参戦したことで必要な船舶は満たしていた。

そう、名実共に世界最強の海軍を有する日本に征けぬ海はなかった。


次話:第24章「反撃の日英同盟」目次

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最終更新:2014年03月23日 11:57