221 :第三帝国:2014/01/19(日) 20:40:59

衝号抜きの太平洋戦争~第20章「星二号作戦」

11月3日、明治節と政治的日程に合わせて日本は『星二号作戦』を発動。
アラスカから飛び立った三桁単位の三式弾道弾が一斉に五大湖のシカゴに飛翔し、着弾。
追撃不可能な弾道弾にアメリカは対抗する手段はなくすべての着弾を許してしまい、都市と工業地帯に損害を与え死傷者数万名を出すことになる。

V2ロケットことA4で弾頭の重量は1トン。
さらに発展したA10こと三式弾道弾はそれより弾頭の重量が増しているため威力は拡大する。
おまけに一度に三桁単位の数を投入したため絨毯爆撃に匹敵する被害をアメリカに与え、市民に初めて戦争というものを教えた。

呆然とするアメリカ市民であったが、日本は次の一手をさらに打つ。
高度1万という超高度にて最大819キロの速度で『富嶽』は西海岸の空に進入した。
まさかアラスカから爆撃機が飛んでくるとは思わずアメリカでは大騒ぎとなりすぐに迎撃機が飛んだが、
平均的な戦闘機よりも早く、超高度ではまともな迎撃ができず『富嶽』は悠々と太平洋艦隊の根拠地サンディエゴ上空に至る。

11月3日、現地時間、午前8時15分。
世界初の原子爆弾が高度500メートルで炸裂。
原始の炎がサンディエゴ上空に開放され、放射線と強烈な爆風が襲った。
コンクリート製のビルが一瞬で燃え、衝撃波で人々が吹き飛び、熱風で内臓まで黒こげなった死体が散乱する。
転生者がかつて広島の資料館で見たのと同じ光景がそこに展開され、サンディエゴはたった一発の爆弾で壊滅した。

市街だけでなく海軍工廠も衝撃波で被害を受け、
さらには時間が経つにつれて不調を訴える兵士や工員が続出。
つまりソフト、ハード面でサンディエゴの根拠地としての機能を消失しつつあった。
太平洋艦隊司令部も地上にいたニミッツ提督共々一瞬で黒焦げの死体になり、司令部組織は消滅。
救いがあるとすれば主力艦隊が数日前に出港したため、艦隊への被害は最小限に抑えられたことである。

だが、続けてワシントン州のバンクーバ。
東海岸のニューヨークに相次いで原子力爆弾が投下され壊滅的な被害を受ける。
バンクーバはかのリバティ型を建造しているカイザー造船所を有する都市で日本にとって重要目標の都市であった。

そして、ニューヨークは夢幻会でも良心の抵抗が強かったが、
海軍造船所を有し、かつアメリカに政治的インパクトを与えるために投下を決断した。

海でも日本は行動を起こした。
世界最強となりつつある海軍をアラスカから南下させ、
西海岸に空母機動部隊による鉄の暴風雨を起こし、あらゆる船団に港を破壊、通商航路をズタズタに引き裂いた。

戦艦
『長門』『陸奥』
『伊勢』『日向』
『鞍馬』『伊吹』
『金剛』『榛名』『比叡』

超甲巡
『富士』『新高』

空母
『隼鷹』『飛鷹』
『翔鶴』『瑞鶴』
『天城』『赤城』
『蒼龍』『飛龍』
『大鳳』
『紅鳳』『海鳳』『瑞鳳』『祥鳳』『龍鳳』『天鳳』『黒鳳』
『千代田』『千歳』『日進』

アラスカで船団護衛、対地支援に従事。
『大鷹』『雲鷹』『神鷹』『海鷹』『白鷹』『黒鷹』『紅鷹』『天鷹』

本土で修理中
『扶桑』『山城』(アラスカで)

沈没
『霧島』(ミッドウェーにて)
『冲鷹』(アラスカにて)

祥鳳型の『黒鳳』が1隻、大鷹型の『紅鷹』『天鷹』が2隻、
改装空母で『千代田』『千歳』『日進』の3隻が追加され空母の数は合計27隻まで膨らむ。

戦艦9
超甲巡2
空母27

222 :第三帝国:2014/01/19(日) 20:41:36

基本戦場で日本側が常に相手を上回る数の空母戦力を投入し続けていたおかげで、
被害を抑え結果ここまで数が膨らんだが、史実の工業力のことを考えると立派なものだ。

しかし量産している祥鳳型は搭載機50機程度の中型空母、大鷹型は30機程度の小型空母、
改装空母は基本中型空母止まりで、とにかく数を揃えることを優先したため艦船の数の割には艦載機数が少ない。
が、アングルド・デッキを備え『疾風』の運用を前提とした雲龍型空母は70~80機搭載可能で44年から随時完成する予定である。

(※本編では雲龍型空母なるものは登場しておりません。これは作者の妄想の代物です)

44年に完成する予定の大鳳型2番艦の『白鳳』、
続けて量産する祥鳳型、大鷹型、改装空母と合わせて44年度は14~16隻の空母が浮かぶ予定である。
他には呂号潜水艦が毎月3~4隻のペースで実戦配備されているため、11月までに40~60隻もの潜水艦が戦時中に加わっており、
数の暴力と性能差から撃沈スコアを月々50~60万トンをキープしており、アメリカの足を順調に引っ張っていた。

水中速度が20ノット近くまで出せる呂号は、この時代の平均的な潜水艦の性能を考えると間違いなくチートな代物だが、
日本側はそれでも満足せず排水量3000tで反応炉推進、原子力機関の伊四〇〇型潜水艦の研究と建造に邁進しつつありうまくいけば47~48年には1番艦が完成可能する予定だ。
(※作者の妄想です本編でも戦後編でもそうした話はありません)

話を戻そう。
とにかく数は力でありこれだけ数が揃うと運用できる艦載機は1000~1200機に及ぶ。
『大鷹』型はアラスカで活動しているため、西海岸で運用できる艦載機数は900~1000機程度になる。

対するアメリカは。

戦艦
『ワシントン』
『アラバマ』『マサチューセッツ』
『アイオワ』『ミズーリ』

空母
『エセックス』『ヨークタウンⅡ』『ホーネット』『イントレピッド』
『エンタープライズ』
『カウペンス』『モンテレー』『ラングレーⅡ』『カボット』

戦艦5
空母8

で日本と比較すればかなり見劣りするが、
問題はエセックス級空母の搭載機数が100機を数えているため、
インディペンデンス級空母4隻と合わせて700機の艦載機が運用可能だ。
しかも空母は『エンタープライズ』を除けばすべて戦時中に完成させた船でアメリカの底力が伺える。

だが、練度の点で相変わらずアメリカ側には不安の要素しか存在しない。
インディペンデンス級空母の『ラングレーⅡ』『カボット』は7月~8月にできたばかりで、
無理やり西海岸まで持ってきたはいいがギリギリ2~3ヶ月程度の練度ではとてもではないが百戦錬磨の日本海軍には不安しかない。

エセックス級空母『ホーネット』は5月にできたためまだましだが、
問題は『イントレピッド』は8月に完成したばかりで遥々南米大陸の南端を経由してやってきたはいいが、
練度の点で不安しかなく、用兵側としてもう2~3ヶ月の訓練を施したい所だが状況がそれを許さなかった。

春に続いて再度西海岸で艦隊丸ごと通商破壊に従事する日本海軍に、
またもや連続して10万トン単位でアメリカは損害を被り、市民から軍への批判が強まっていた。

アメリカ海軍はこれに強いジレンマを強いられた。
なぜなら現在の海軍なら練度こそ怪しいが数だけなら空母艦載機700機とこれまで以上に拡大されている。
しかも本土近海なら陸軍の支援が期待でき、タイミングを合わせれば合計1000~1200機の航空機による波状攻撃が実現可能だ。

結果、『陸軍の支援が受けられる範囲内でもしも日本軍が入り込んだら直ちに攻撃する』とアメリカ海軍は決めた。
一部で時期が早すぎるとの意見が、特に太平洋艦隊司令長官のニミッツ提督は消極的な反対意見を述べたが、
これまでの戦訓から中途半端な戦力では被害を被るばかりであったが、一種の飽和攻撃を行えばいいとの研究結果が出たのと、
西海岸でまたもやジャップが暴れる一方で、それなりに戦力を回復させたアメリカ海軍が何もできない状況に我慢できない人が多数派を占めた。

223 :第三帝国:2014/01/19(日) 20:42:12

さて、現状戦争の主導権を握っている日本海軍であったが、決して楽観視していたわけではない。

戦艦19
空母11

を開戦以来水底に沈めた連合艦隊であるが、
上記に記したように43年11月時点でアメリカは空母8が稼動しており艦載機は700機とむしろ増大傾向にあった。

アイオワ級戦艦建造計画
『ウィスコンシン』:1943年12月
『イリノイ』   :1945年末~46年中旬
『ケンタッキー』 :1945年末~46年中旬

モンタナ級戦艦建造計画
『モンタナ』     :44年末~45年中旬
『オハイオ』     :44年末~45年中旬
『メイン』      :45年~46年
『ニューハンプシャー』:46年~47年
『ルイジアナ』    :46年~47年

エセックス級空母建造計画
『フランクリン』   :43年11月
『バンガーヒル』   :43年11月
『ワスプⅡ』     :43年12月
『タイコンデロカ』  :44年1月
『ハンコック』    :44年3月
『ベニントン』    :44年7月
『シャングリラ』   :44年8月
『ランドルフ』    :44年10月
『ボノム・リシャール』:44年11月

インディペンデンス級軽空母建造計画
『バターン』     :1943年11月
『サン・ジャシント』 :1943年11月
以下1944年には6~8隻完成する予定。

ミッドウェー級航空母艦建造計画
『ミッドウェー』:45年3月
『ハワイ』   :45年10月
『ウェーク』  :46年4月

来年の3~4月には新規にエセックス級空母3~4隻が追加され、
インディペンデンス級軽空母も2~3隻、合計5~7隻もの空母が浮かぶ計算になる。

11月時点のものと合わせると13~15隻の空母機動部隊が出現する、
おまけにエセックス級は搭載機数が多いため練度はともかく数の上で日本側と互角かやや上になる。
止めに45年になればミッドウェー級空母まで完成するし、そのころになれば技術面での格差も完全に埋まる確立が高い。
(※ミッドウェー級の命名基準で2番艦がルーズベルトの名でないのは憂鬱世界では戦争を勝利に導いた偉大な大統領でないため)

まさに「沈めたら増えます」を地で逝く。そして恐ろしいことにこれは史実基準だ。
ロング大統領と財界の人間がアラスカから弾道弾で攻撃されてもなお強気でいられるのはこれが原因である。
だからこそ、連合艦隊は再度西海岸へ進撃し、今のうちに打撃を与えるべく通商破壊を行いつつ太平洋艦隊を探していた。

224 :第三帝国:2014/01/19(日) 20:43:08

そして、日米双方の偵察機が同時に艦隊の姿を捉えその距離が200海里程度であったため、
至近距離の遭遇戦のようなものであったが小沢提督、ハルゼー提督の双方は引くつもりは更々なく剣を同時に抜き放った。

お互いが直援機が減ることを承知で、防御を選択せずある意味ノーガード戦法を選択したのは、
片や太平洋艦隊の撃破のため攻撃隊を甲板に上げていたのと、片やジャップにサンディエゴを吹き飛ばされ、
怒り心頭のハルゼーやはり甲板に攻撃隊を上げており、陸軍の支援が期待できた点が大きい。

午前12時45分。
アメリカ側の第1派350機は200~250機近くの『烈風改』の猛烈な歓迎を受けることになる。
最高速726キロの『烈風改』に『F6F』は性能差だけでなく、練度の差もあり続々と落とされてゆく。
だが、陸地から飛来してきた陸軍の『P51』『B25』『B24』の200機に及ぶ戦爆連合が乱入すると、
さすがの『烈風改』でも裁ききれず纏まった数の攻撃隊が護衛の血路を切り開き、日本の艦隊をその眼にする。

彼らは自分たちよりも遥かに巨大な艦隊に驚くが、さらに驚いたのは対空砲火が想像以上に正確無比であった点だ。
激しい対空砲火で墜落する機体が続出するが、ロケット弾や爆弾、魚雷を搭載した『F6F』『B25』が外環の駆逐艦に打撃を与え、
防空システムに穴を開けると、魚雷や爆弾を抱いた雷撃機、急降下爆撃機が輸形陣の奥深くに居座る空母にめがけて突撃する。
外環の駆逐艦を排除する被害極限戦法、さらに飽和攻撃の効果と相俟ってついに日本の空母に打撃を与えた。

目標となったのは排水量7万トンとその大きさが目立つ『大鳳』、
古くから正規空母として認知されていた『赤城』『天城』『蒼龍』『飛龍』の5隻であった。

『赤城』は魚雷1、爆弾2で中破。
『天城』は片舷に魚雷4を受け機関停止、
続けて爆弾2、魚雷1で大破、電気系統が停止し傾斜が止まらず総員退艦を命じる。

『蒼龍』には爆弾2、魚雷1で中破。
『飛龍』には爆弾3でやはり中破、航空機の発艦能力が消失する。

『大鳳』は魚雷を1もらったが、自慢の装甲を生かし爆弾をはじき続けた。
ところが1発の爆弾が装甲ではじき返され、信管は空中で起動し炸裂。
最悪なことにちょうど艦橋の上で爆発したせいで、電探や通信マストを打ち倒し艦橋要員を殺傷する。

『大鳳』は正規空母として最新の艦でかつ最新鋭の電探を装備していたため、
小沢提督はこの艦に将旗を掲げ、全艦隊の防空の指揮統制を行っていたが電探が爆風で損傷し、
指揮権を委譲しようにも通信マストもなぎ倒されたせいでできず、光学信号で委譲する旨を知らせるまで10分もの間空白の時間ができてしまった。

その間にただでさえ自分たちよりも数が多い攻撃隊を相手に苦戦していた直援機はバラバラに動いてしまい、
さらに最悪だったのは、アメリカ側の第2派が殴りかかってきたタイミングと合わさったことだ。

ハルゼーが送り込んだ200機の第2派、陸軍の『B17』『B24』延べ200機。
最後にドーリットル大佐率いる『B25』で編成された陸軍の雷撃部隊120機が侵入してきた。
中でも日本側が驚いたのは双発の攻撃機がまるで自分たちの陸攻隊と同じく超低空からに肉薄雷撃をしてきたことだ。

合計600機に及ぶ第2派はさらに外環の駆逐艦、巡洋艦を排除すると、
自らの損害に返りみず続々と爆弾や魚雷を投下し最大の戦果を挙げることに成功する。

炎上していたせいで攻撃が集中した『飛龍』に爆弾2、魚雷3が命中。
大破判定の被害を受け、連続して叩き込まれた爆弾と魚雷で火災が止まらず、後に総員退艦。

水平爆撃を回避していた『瑞鳳』に爆弾2が命中。
高度3000から落下した爆弾は艦内で炸裂し、甲板が捲れあがる。
発艦能力を完全に喪失したところで輸形陣の外環側にいたせいでドーリットル大佐の雷撃3を受けて、沈没。

『飛鷹』は魚雷2で舵を損傷し、回り続けることしかできない状況に陥る。
そこに爆弾1、魚雷4を叩き込まれて炎上、艦尾が持ち上がり海の底へ沈んだ。

『赤城』に爆弾2、魚雷1が追加に受けて大破。
『隼鷹』も爆弾2、魚雷1で中破判定の被害を受ける。

225 :第三帝国:2014/01/19(日) 20:44:56

連合艦隊にとって黄金よりも貴重な正規空母2隻、
さらに改装空母、軽空母を各1隻ずつの4隻の喪失などと手痛い損害を受けた。
無論ただでは済まさず対空砲火と直援機の活躍でアメリカ側に未帰還率5~6割の損害を強要した。

だが今回の戦訓で基地航空隊と連動して1000機単位で殴られればどうなるか?
その事実に関係者はかみ締め、更なる防空システムの開発、イージスシステムの研究に邁進することになる。

一方、対するアメリカも苦難の時を過ごしていた。
日本側の第1派400機は『F6F』150機の歓迎を『烈風改』が逆に圧倒している間に、
ロケット弾、500キロ爆弾などで爆装した『烈風改』が外環の駆逐艦を手早く排除する。
が、対空砲火は『VT信管』こそなかったが、レーダーと連動していたため猛烈なものになっていた。
そのため翼を捥がれ墜落する機体、飛び散る破片で発動機が傷つきオイルを引き出して堕ちる機体、などと海鷲たちは苦難に見舞われた。

拡大を続ける空母機動部隊の影響で、日本側も全体の練度が低下していたが、
基本勝ち戦であったおかげで母艦ごと沈められるアメリカと違い、技量低下は致命的なものではない。
高度5メートルで肉薄雷撃、あるいは高度300まで引き付けて急降下爆撃を敢行する『流星』の群れは続々と魚雷と爆弾をたたきつけた。

目標は正規空母のエセックス級4隻。
先に『エセックス』は魚雷5、爆弾3を連続して受けて大破、機関停止。
必死の消火活動と排水作業を行うが火災が止まらず、すぐに総員退艦を伝達することに。

『ヨークタウンⅡ』は両舷から魚雷4を挟み込まれ、
立ち上がった水柱が消滅した時には明らかに大破判定の被害を受けているようで、
速度30ノットの足は完全に殺され、ノロノロと動いている間に爆弾2で炎上する。

『ホーネット』は魚雷1、爆弾2で済み。
続々と襲い掛かってくる『流星』の群れに対し的確な操艦で回避し続ける。
しかしそれでも爆弾1を追加で受けて、格納庫で炸裂したそれは飛行甲板を捲り上がらせる。       

問題は『イントレピッド』である。
8月にできたばかり無理やり持ってきたためかなり技量に懸念があったが、
案の定というべきか、操艦の未熟さと稚拙な対空砲火と相俟って魚雷6、爆弾2を受ける。
ダメージコントロールの限界を超えていたため短期間で沈没してしまう。

すべてのエセックス級空母に黒煙を立ち上らせると、
次は宿敵の『エンタープライズ』さらにインディペンデンス級空母に狙いをつけた。

唯一戦前から正規空母として今日まで生き残った『エンタープライズ』は、
これまで散々空襲を受けた経験から巧みな操舵で魚雷と爆弾を回避し続けていたが、
魚雷2、爆弾1の被害を受けて中破判定の被害を蒙った。

が、軽空母の『ラングレーⅡ』は格納庫を突き抜け、機関室上の製パン室で炸裂。
800キロ徹甲弾の威力は絶大で、防御力が低い軽空母と技量の低さで一撃で大破。
嵐のような一撃が去った後には、軽空母3隻を除いて黒煙を噴出し傾斜するか沈没する光景がそこに存在した。

外環の艦隊型駆逐艦も500キロ爆弾で運悪く一撃轟沈する艦や、
ロケット弾が艦橋に直撃して指揮統制能力が低下し戦闘力を喪失した艦などひどい有様であった。

226 :第三帝国:2014/01/19(日) 20:45:31

そんな中、第2派300機が来襲。
無傷の戦艦郡が空母に寄り沿い、凶悪な対空砲火を浴びせ銀翼の海鷲たちに被害が続出するが、
損害にかまわず残った空母に肉薄し腹に抱えた魚雷、爆弾を思い思いに投下してゆく。

12ノット程度でのろのろと動いていた『ヨークタウンⅡ』は魚雷3、爆弾3で転覆。
『ホーネット』は魚雷9を避けるが、最後の1本で舵とスクリューを損傷したため速度低下。
舵も損傷したため、その場で回り続けるほかなく魚雷4、爆弾2でとうとう足が止まりゆっくりと沈み始めた。

『エンタープライズ』も必死に回避し続けるが爆弾2を追加で受けて大破判定の被害を蒙る。
既に大破していた軽空母『ラングレーⅡ』にいたっては足が完全に止まっていたせいで魚雷5、爆弾4と蛸殴りの憂き目に会い轟沈。

『カボット』は魚雷2、爆弾1で大破、後に艦を放棄する。
残る空母『カウペンス』『モンテレー』は攻撃が正規空母に集中したおかげで魚雷か爆弾のいずれか1発程度で済んだ。

沈没
空母
『エセックス』
『ヨークタウンⅡ』
『イントレピット』
軽空母
『ラングレーⅡ』
『カボット』

大破
『エンタープライズ』

正規空母がまたもや『エンタープライズ』を残して壊滅。
日本側の空母4を撃沈する戦果を挙げたとはいえ、開戦以来人的損害は甚大であり、
来年からはいよいよ各艦で定員割れを承知で人員を配備しなければ、とても間に合わない程追い込まれた。
太平洋艦隊司令長官のニミッツ提督が司令部丸ごと原始の炎で焼き払われたため、組織的にも壊滅的である。

アメリカ市民の犠牲もひどいものである。
3発の原爆、シカゴへの弾道ミサイルの乱れ撃ちで犠牲者は最終的に90~120万人にまでのぼる。
アメリカ市民社会では無能な大統領を糾弾する声が強まり、西海岸の議員は議会で講和について考えるように発言する。

世論の動きは戦争を終わらせる方向へ変わりつつあったが、大統領は違った。
アメリカの真の権力者である財界の人間がニューヨークで纏めて死亡したためロング大統領は初めて自由と権力を手にした。

そして、今後の行方に不安を隠せない陸軍総参謀長のジョージ・マーシャルは大統領のその眼に狂喜を宿しているのを見逃さなかった。


次話:第21章「1944年へ」目次

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最終更新:2014年05月17日 06:44