823 :919:2013/11/04(月) 22:15:18
千早は緊張していた。
なぜなら、軍令部に呼び出されていたからだ。
やがて、目的の一室を見つけ、ノックした
「入れ」
「失礼します」
千早は断りを入れて入室すると、上司が書類仕事をしていたのか、書類が山ほどとなって机に積まれていた
上司はその作業を休めて、千早を見ている
「如月千早中尉です!軍令部の命令より、出頭しました!」
「うむ・・・・今回、なぜ呼ばれたか分かるな?」
上司が鋭い目で見る。それに千早は怖気ずに口答する
「は!軍の物を勝手に使用して、ニューヨークに襲撃して潜水艦とクルーの危機を陥れたことです!」
「その通り。今回呼ばれたのは、その処分だ。申し立てはあるか?」
「いえ、ありません。この行動は私の独断行動です。責任は私にありますので、クルーには罰を与えないでほしいであります」
千早が答える。上司は満足したかのように頷いて、口を開く
「今回の事は・・・・・予備役いりなどと意見があったが、軍令部から事前に秘密命令が出しており
この任務を遂行したので、独断行動の事実は無い。お咎め無しにする」
「!」
千早が信じられないという顔をして上げる
「ま・・・待って下さい!」
「うん?」
「わ・・・私が勝手に行動したのですよ!なのに、処罰がないというのはどういう事なのですか!?」
「そういうと思った。これは色々と絡んでいるのだが・・・・」
そう言うと上司は窓の外を見て遠い目をしながら
「前日にラジオで放送した、ロング大統領の安心宣言を如月中尉がニューヨーク襲撃することによって、破綻されて、国民は大統領に不信感を与えたり
ニューヨークを襲撃したことで、
アメリカ経済に大打撃を与えたり、海軍や陸軍との連携を乱すこともできた。
さらには、アメリカの戦略もカナリア諸島占領しに来るであろうとかなり、戦略の幅を狭める事に成功した。
そのことを諸々と考えれば、不問にする他なかったんだよ。もちろん、処罰は受けてもらう。数か月棒給はカットしてもらうよ」
千早は、理屈は納得できた。しかし、感情が許さなかった
「ですが!私のような例を作れば、後々に悪い例となってしまいます!」
「うむ、表向きには処罰を受けたことにしている。更には、もう一つ任務を渡す」
「任務ですか?」
千早は訝しげに任務を聞いて行った・・・・・・
824 :919:2013/11/04(月) 22:16:00
数ヵ月後、一つの映画が上映された。
タイトルは「深淵の狼」であった
開始して、数分後にはどこかの学校が映り、生徒達が受講する姿が映る
そして、教壇には如月千早がたっていた
彼女は、船団攻撃、潜水艦運用の基礎・応用を厳しい声で叩きこむ。
更には、わざと難しい問題も出して、ミスらせるのを忘れない
場面が変わり、外の様子が映る。3時間連続マラソンや潜水艦内を想定した狭い場所や
数トンの物を運ぶ訓練、遠泳などが映し出される
人が死ぬかもしれない、厳しい訓練に泣きごとと恨み声が上がるが、千早が一喝する
「泣き言言うな!私だって厳しい事をしたくは無い。だが、厳しい事をする理由はお前達が死なせないためだ!
残された家族を無事に帰れるようにするのが私の仕事だ。家族に悲報を届けたくないだろう!?」
こうした、千早の内心に一同は黙ってしまった・・・・
年月が過ぎ、千早が潜水艦艦長に、通商破壊戦をする様子が映しだされた。
潜望鏡を覗く千早がキビキビと命令が下る。
この日も大型タンカーを一撃で沈めた。
しかし、運が悪く、ハンターに見つかってしまった。
「敵艦!後方より速度を上げて接近中!」
「機関最大速!取り舵35度!近くに掴まりなさい!」
しばらくして、駆逐艦のスクリュー音に爆雷の震動が来る
「揺れは大きくないね。被害報告!」
「こちら、機関室。異常なし」
「こちら、魚雷室!浸水はありません」
「分かりました。深度を潜望鏡深度へ!いつでも上がれる準備をしてください!」
「了解です!」
しばらくして
「潜望鏡深度です。いつでもどうぞ」
「敵の位置を確認します」
千早は素早く敵の位置を確認する
ハンターは駆逐艦2隻で1隻は回頭中、1隻は遠方でこちらに向かってくる途中だった
「回頭中の駆逐艦をまず沈めます!発射管1番用意!発射角度20度!信管は艦底起爆!」
矢次早に命令を下し、潜望鏡を覗きながらタイミングを計る
825 :919:2013/11/04(月) 22:17:32
(来て・・・・チョイ調整・・・・もうすぐ・・・・よし!)
「今だ!魚雷発射!」
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826 :919:2013/11/04(月) 22:18:53
潜望鏡を覗き続ける千早の目の前に魚雷が命中し、真っ二つになる駆逐艦が見えた
「いいわ!急速潜航!100mまで潜るわ!今ので、自艦の位置を見失ったのでしょうし!
ここを離れます!面舵20度!機関を3分の1に落として」
千早は静かに離脱していった。
遠くに爆雷音が聞こえるが、艦体に致命傷を与えるには至らない
夜を待って、浮上し、今日の成果である1万tタンカー1隻と駆逐艦1隻の撃沈報告する
凪いだ海をバックに艦橋甲板に立った千早はコーラスを歌った
千早のソプラノ音は艦内にいた人誰もが酔いしれ、やがてエンディングロールが流れだし
千早が歌い終わると同時に、「終」が出てくるのであった。
これは、千早が数カ月教官として潜水艦学校に行き、その傍らで映画撮影をしていたのであった。
輸送艦や駆逐艦などは円谷の特撮班の協力もあって、臨場感あふれる映画となった。
機密保持上、潜水艦は旧式の伊号で撮影されたが、十分であった
こうして、如月千早の知名度は上がり、深淵の狼と呼ばれるようになった。
また、千早が劇中で歌ったことで、通商破壊戦の現場で、魔性の歌が聞こえる、ローレライの声が聞こえる
などと後の架空戦記における表現が増えたのは余談であろう。
こうして、映画撮影、教官職を終えた、千早は呂‐72に再び乗艦し、決戦に参加したとも言われている・・・・・
最終更新:2014年03月23日 16:21