906 :第三帝国:2014/05/06(火) 21:53:29
44年春の戦況は芳しくなかった。
西海岸ではアラスカの州都ジュノーから日本は撤退し、
追撃してくるアメリカ軍に『後手からの一撃』を幾度も浴びせ、
ドクトリン的には歩兵支援中心の平押しを主とするアメリカ軍に機動防御が何であるかを教育させた。
しかし、日本の8~10個からすれば倍近い数の約15~20個師団。
後詰めもあわせればさらに10個師団も増加すると予想されているため、苦しい戦いを余儀なくされつつある。
戦場がインフラ設備がお世辞にも整っていないアラスカであるため、
広大な土地の広さと相俟って戦い方はどこと無く史実のアフリカ戦線に似ていたため、
機動力を存分に生かして平押しするアメリカ軍の後方を遮断、包囲殲滅を繰り返しているがそれ以上に数が多かった。
また、カナダではハリファックスが陥落。
ニューファンアイランド島まで撤退する『セカンド・ダンケルク』作戦を発動せざるを得なかった。
何せ巨大なアメリカ軍がそのまま陸続きで殴りかかって来たのだから、むしろここまで善戦できたのが奇跡だ。
だが、日英の指導者は既に覚悟していたし反撃の嚆矢は準備されていた。
二カ国が有するグランド・フリートは海軍が壊滅状態の
アメリカにはない最大の武器であった。
英国は本国艦隊と、言うよりグランド・フリートの全てを動員。
ヤンキーに怒りの鉄槌を振り下ろすべく「アイアン・フィスト」作戦を発動する。
戦艦
『ネルソン』
『ロドニー』
『ロイヤル・サブリン』
『リヴェンジ』
『レゾリューション』
『ラミリーズ』
『クイーン・エリザベス』
『ウォースパイト』
『ヴァリアント』
『マレーヤ』
『キングジョージ5世』
『デューク・オブ・ヨーク』
『プリンス・オブ・ウェールズ』
『レナウン』
『レパルス』
『フッド』
空母
『フューリアス』
『ハーミーズ 』
『イーグル』
『アーク・ロイヤル』
『ユニコーン』
『イラストリアス』
『フォーミダブル 』
『ヴィクトリアス』
『インドミタブル』
907 :第三帝国:2014/05/06(火) 21:54:01
戦艦16、空母9を中心に大西洋を横断。
カナダへは向かわずアメリカ本土、ニューヨークへ直接殴りかかった。
一度日本が投下した原爆で壊滅していたニューヨークは復興中であったが、この攻撃で再度壊滅してしまう。
ニューヨークの象徴であった自由の女神像も爆心地から離れていたため、辛うじて残っていたが戦艦の艦砲射撃で台座ごと消滅。
ニューヨーク海軍工廠と各種船舶も英国の殴りこみで大打撃を蒙り、建造中であったモンタナ型戦艦の『メイン』も直撃弾で横転してしまう。
アメリカはまさか、行き成り本土に直接殴りかかってくるとは思わなかったことと。
大西洋に有力な艦隊がなかったため、分かってても艦隊で対抗することができなかった。
そのため、頼りは航空隊と魚雷艇、潜水艦だけであった。
しかし、流石に本土ということもあり昼夜にわたる波状攻撃で以下の戦果を挙げることに成功する。
沈没
戦艦
『プリンス・オブ・ウェールズ』
『フッド』
空母
『ハーミーズ 』
『アークロイヤル』
『イーグル』
その他中小破の艦船を数えると大損害であった。
だが、英国からすればアメリカ本土へ殴りこむ「アイアン・ファスト」作戦の想定の範囲内であった。
そして、その後艦隊は北上しニューファンランド島への撤退を支援、本国兵の増援を受けて立て篭ることに成功する。
これでナチスドイツとの戦争に勝てず自信を喪失していた英国民はアメリカ本土攻撃と撤退成功で自信を取り戻した。
反対にアメリカの威信と国民の厭戦感は低下するばかりで、海軍工廠が破壊されたせいで建造計画も乱れることになる。
また太平洋では旭日旗を掲げた大日本帝国海軍が3月11日、「あ号作戦」を発動した。
戦艦
『長門』『陸奥』
『伊勢』『日向』
『鞍馬』『伊吹』
『金剛』『榛名』『比叡』
超甲巡
『富士』『新高』
空母
『隼鷹』
『蒼龍』
『翔鶴』『瑞鶴』
『大鳳』
『紅鳳』『海鳳』『祥鳳』『龍鳳』『天鳳』『黒鳳』『蒼凰』
『千代田』『千歳』『日進』『瑞穂』
修理中
『扶桑』『山城』『赤城』
戦艦9、超甲巡2、空母16と巨大な陣容で。
新たに水上機母艦を改装した『瑞穂』に『祥鳳』型空母の『蒼凰』が加わっている。
これで稼動可能な艦載機数は800~900機で、大半は戦闘機の『烈風改』である。
前回のようにアメリカ側が飽和攻撃を仕掛けてきても防空戦で殲滅可能な規模を誇っている。
おまけに空母『大鳳』には世界初のジェット戦闘機である『疾風』が搭載しておりその活躍に期待されている。
908 :第三帝国:2014/05/06(火) 21:54:32
ただしほとんどを戦闘機で固めたため、対艦攻撃力に欠けていると言わざるを得ないが今回の目的は地上支援。
伸びきった補給線を叩き潰すことが目的ゆえに、海軍はあまり気にしておらず一度に数百機の戦闘機による制空権確保。
そして『烈風改』は爆装が可能であるため、戦闘爆撃機として侵攻するアメリカ軍を空からの連続パンチで叩き潰した。
何せ800~900機に及ぶ戦闘機が海から突然来襲してきたのだ。
アメリカ陸軍の航空隊は必死に防戦するが基地航空隊の特性としてどうしても兵力密度が薄く、数の上で押し切られてしまう。
何せ基地そのものが移動し、ピンポイントで兵力を投入できる空母機動部隊と比べるほうが酷であろう。
おまけに殆ど戦闘機のせいでたちまち空を飛ぶ飛行機は銀翼の翼に日の丸を記した航空機が占めるようになった。
この戦いのさい、特にレシプロ機では撃墜不可能な『疾風』の活躍は目覚しく単機で戦闘機中隊を駆逐する光景が相次いだ。
『疾風』が日本製FJ4、最大速度が毎時1090kmな上に史実でも名を馳せた撃墜王たちに優先的に配備したせいだとはいえ。
我らの主人公こと嶋田繁太郎が「火葬戦記乙」と呟いたのは無理もない。
そして、制空権を完全に確保すると今度は腹に爆弾とロケット弾を抱えた『烈風改』が目に付くものを片っ端から吹き飛ばしだした。
トラック、鉄道、戦車、ジープ、兵員輸送車、等など地上を動くものは全て烈風と共になぎ倒され、アメリカ軍の行動は鈍る。
挙句制空権が日本にあるため『富嶽』がインフラ網への爆撃に参加し、アメリカ軍はノルマンディーのドイツ軍と同じく行動の自由が完全に奪われた。
しかも、港湾施設への襲撃と輸送船団への空襲も連続して行っていたため、鉄道、道路への爆撃で戦時経済と補給に悪影響を与えた。
これにより、アメリカ軍は西海岸沿いにアラスカに撤退中の日本軍を追撃する能力を喪失してしまった。
日本軍は戦線の縮小に成功し、反撃の嚆矢ともいえる「い号作戦」への道筋が出来た。
英国も海を隔ててニューファンアイランド島に立てこもり戦力の保持に成功。
どう見てもアメリカは戦争に負けつつあり、国内で厭戦感が広がりつつあった。
民主主義を守るためならともかく、今はその眼に狂気を宿した大統領の意地だけで戦争を続行しているようなもので。
大統領がどんなに愛国心に訴えかけても、こうも一方的に叩き潰されている状況で戦意など湧きようが無い。
しかも、州によっては戦火にさらされる前に連邦から離脱することを真剣に検討する始末であり。
とあるニュースがその風潮を静かに後押しした。
すなわち、ソ連降伏である。
最終更新:2017年08月30日 15:53