7 :第三帝国:2014/05/10(土) 01:05:17
――――西暦1946年(昭和21年)10月25日
「右10度敵船団、湾内を埋めています!
――――すごい、敵が7分、海が3分だ!」
見張員の絶叫に艦橋にいた人間は様々な形で感情を表現する。
何せ殆ど博打のような艦隊殴りこみはついに成功したのだから。
そして、その指揮官南雲忠一中将はついにここまで来たか、と内心で呟いた。
(しかし、前世は海保だった自分がまさかレイテで殴りこみをするとは、な)
夢幻会の一員である南雲の前世は海保の隊員であった。
そして史実では無能の烙印を押された南雲忠一になってからもしばらく海保にいたが、
海保への出向が左遷人事と思われないため、そしていくらあの栗田が転生者とはいえ縁起が悪い。
という実に泥臭い理由で海軍に戻り、この戦艦を中心とする艦隊を指揮してレイテ島へついにたどり着いた。
無論
アメリカは全力で阻止しようとしたが全てが無駄に終わった。
ハルゼーの空襲も鉄壁の防空網で防ぎ、今は小沢、山口、西村率いる機動部隊と真正面から殴り合っている最中だ。
オルテンドルフ艦隊も昨晩殲滅してしまい、先程キンケイド提督率いる最後の護衛艦隊を撃破したばかりである。
もはや、アメリカンボーイズを守るものはない。
彼らは排水量13万8000トン、50口径51センチ三連装砲3基と史上最強最大の戦艦『大和』
に率いられた鋼鉄のリヴァイアソンとその使徒共に対する生贄でしかなかった。
(そして、この大和と言い。こうなったのはあれが始まりだった――――。)
南雲が回想する。
8 :第三帝国:2014/05/10(土) 01:05:47
元々夢幻会の方針としては経済発展優先のため軍事への投資は最低限であった。
しかも国際条約の尊重、ドクトリンとして空母機動部隊の整備優先のため戦艦の建造も常識の範囲内であった。
だが、仮想敵国たるアメリカが夢幻会に冷水を浴びせた、すなわち、パナマ運河の拡張工事である。
アメリカはパナマ運河の運営を前提とした戦艦の建造をしていたため、どうしても船体の大きさに制限を受ける。
だからこそ史実の日本はその点に注目して『大和』を建造したのであるが、世界恐慌で夢幻会がマネー・ゲームで資金を毟り取ったのが不味かった。
時の大統領ルーズベルトは史実より経済対策がうまくいかなかったため、公共事業の一環としてパナマ運河の拡張を発表。
挙句『モンタナ』を始めとする新鋭戦艦の建造を前倒しに行うことをしたため、日本海軍の前提が完全に崩壊した。
おまけに徐々にアメリカの日本への風当たりは強くなるばかりで、将来の艦隊建造計画も大混乱であった。
だから、死んだ魚のような目をした嶋田達とは逆に顔色がやけにいい古賀を筆頭とする戦艦屋共が持ち込んだ案を受け入れたのだ。
曰く、旧世代のは兎も角、航空機で新鋭戦艦を沈めるには予想されるであろう防空網と合わさって非常に困難だ。
よって、戦艦を沈めるのは戦艦でしかありえない、それも『モンタナ』と交戦が予想されるため史実を超える『大和』を建造する必要がある!と。
かくして戦艦屋どもによる戦艦屋の夢の『大和』の建造が開始された。
設計の段階で『ぼくがかんがえた、さいきょうのやまと』な案が数多く出された最終的には。
基準排水量:120,000t
満載排水量:138,000t
船体規模:335m 全幅:49.8m
機関構成:重油専燃缶8基・オールギヤードタービン4基4軸 出力 280,000HP
最大速力:29.0kt
航続距離:18kt/10,000浬
武装
50口径51cm砲 3連装 3基
60口径12.7cm両用砲 単装14基(両舷7基づつ)
50口径76mm速射砲 2連装12基(舷側6基づつ)
30mm回転銃身式機関砲 単装30基
12cm噴進砲 8連装 4基(チャフ・フレア発射用)
32.4cm対潜魚雷発射管 3連装 2基(対魚雷迎撃用)
艦載機 回転翼機6機
装甲
舷側装甲-主甲帯560mm/20度傾斜+50mmバックプレート、被帽破砕・対ミサイル空間装甲50mm
甲板装甲-主装甲甲板250mm(外舷部280mm)+50mmバックプレート、被帽破砕・対ミサイル空間装甲50mm
砲塔装甲-前楯750mm+50mmバックプレート、天蓋300mm(砲塔全周に+被帽破砕・対ミサイル空間装甲50mm)
バーベット-最大560mm、CIC-560mm、司令塔-560mm、被帽破砕・対ミサイル空間装甲50mm
発電機
主機:ターボ発電機2500kw×6基、補機:ディーゼル発電機750kw×14基
9 :第三帝国:2014/05/10(土) 01:07:56
ビック7たる『長門』が4万4500トンであり、
史実の『大和』が7万2000トンであったことを思うと正直頭が可笑しいレベルだ。
だが、そうでもないとアメリカの物量に勝てず、そうでもしなければならいほど追い込まれつつあった。
そして、【1943年】に発生した満州の某事件。
さらにはフィリピンでの輸送船沈没で日米関係は極端に悪化。
揃いつつある両洋艦隊、そして日本から見て英国の完全な裏切りで傲慢さを増すアメリカ。
切り札たる原爆の完成は未だ先の話で、水葬戦記を語ることはできない。
だが、42年には『大和』『武蔵』が相次いで完成しており『大鳳』やその他空母も随時戦力化されつつある。
恐らく最終的には負けるだろう、しかし少なくても史実のようなヘマをするつもりはないし夢幻会は『負けない』戦い方をするつもりだ。
とうとう、事実上の主権明け渡しに等しい屈辱的な条件を提示された日本はついに開戦を決意した――――。
(さて、この世界では機動部隊の指揮官としては名を刻むことは出来なかった、今この時間を歴史に永遠に刻もう)
これから子ども達の父親を殺しまくり、母親から息子を奪うんだ。
次はきった地獄行きだな、そんな事を一瞬考えたが、指揮官である南雲は命じた。
「全艦へ通達、第1遊撃艦隊より各位。
天佑、我ラノ手ニアリ。全艦我ニ続ケ、突撃セヨ!」
大混乱なアメリカ軍をよそに、
2匹の鋼鉄のリヴァイアソンを先頭に日本海軍はレイテ湾へ突撃を開始した。
この日、アメリカは史上最悪の敗北を経験することになった。
10 :第三帝国:2014/05/10(土) 01:17:30
以上です。
設定としては衝号抜きであることに代わりがないのですが。
①IFは抜きよりさらに原爆の開発が遅れる。
②しかも時期がずれたせいでアメリカの戦力が増大といマゾゲー使用ww
③なお、戦艦とか空母の大物の戦力が史実よりも上昇。
④英国の宣戦布告
という感じで、全体的にマゾゲー使用です。
基本的には満州、フィリピン、シンガポール、インドネシアを攻略。
その後は中部太平洋を中心に海戦を繰り広げる感じとなるでしょう。
いまだ至らぬところがあり、
突っ込み所が満載ですが皆さんが楽しんで頂けると幸いです。
では
最終更新:2014年05月14日 20:38