76. ひゅうが 2011/12/05(月) 19:25:38
※  アラスカ侵攻作戦と生物兵器使用ルートについてちょっと書いてみました。
    最初は戦闘を書こうとしたのですが、会話文だけになってしまって挫折・・・。
    earth閣下はやっぱりすごいですね――


――西暦1943年3月  大日本帝国  帝都東京

「すぐに本郷区と根岸区を封鎖、両区民に外出禁止令を発令!」

「戒厳司令部が状況の報告を求めています!」

「ストレプトマイシンを成田保管庫から緊急輸送!特別高等部と公安調査局に在日外国人の一斉点検を指令しろ!」

「横須賀線を軍直轄列車網に指定。この帝都を3日間の完全封鎖状態におくぞ。救急対応班は配置についたか?」

「警視庁庁舎内の戒厳司令部に対策班が立ちあがりました。能登研究所の石井長官もこっちへ向かっています。」

「よーしよし。いいぞ。初動対応はうまくいっている。門司港の方は報告はまだか!?」

「小倉防疫班より報告!やられました。帝都と同時に散布されたようです!」

「畜生め。神戸、横浜、帝都ときて門司か。港湾機能の撹乱を狙ったようだな。皇居への直撃を避けられたのがせめてもの救いか・・・!」

東京帝国大学  安田講堂。
ここは、今や大本営直轄の統合防疫司令部として接収され、エアカーテンでさえぎられたその中では桜田門との直通回線を通じて様々な情報が入ってきていた。
卓上に張り出された巨大な日本地図には、5か所に赤いピンが刺されており、そこから同心円状に黒い円が描かれている。


「初期治療が肝心だ。日本放送協会の方は手配がついたか?」

「正午枠をまるごと手配できました。カメラが首相官邸に入っています。」

「消毒液は?」

「アラスカの方がアンカレジの保管庫を無傷で制圧できましたので星号作戦用の物資が余っています。留守師団と鉄道連隊、国鉄と郵船の協力もあり、所定の通り配置を完了しています。」

「統括司令!やはり奴らです。海外放送でロングの野郎が自信満々に『野蛮人どもは黒い死の鉄槌を下される』と発表したと大和田通信隊から報告がありました!」

「くそっ。奴ら正気か!?ペストを軍事兵器として散布するなんて――」

内藤良一博士は、防護服を身につけながら怒りにまかせて柱に手を叩きつけた。
この3日前、広島、神戸、横浜、そして東京の港湾で奇妙な臭気が立ち上っているという報告が大本営にもたらされた。
かねてからの極秘命令に基づき、地区の封鎖と防疫緊急命令が発せられたのが一昨日未明。
しかし、昨日にはついに最初の患者が発症し、ただちに隔離処置がとられていた。

軍の徹底した調査で、匂いの元は華南連邦船籍の貨物船から降ろされたことが判明。
帝都郊外から皇居を狙ったオートジャイロの特攻攻撃も寸でのところで特別高等警察と軍特別憲兵隊に急襲され阻止されていた。
が、トラックに乗せた細菌兵器散布機が帝都をはじめ主要都市を走り回りはじめていたことが判明。
政府はついに帝都東京の緊急封鎖措置をとったのである。

「はじまるぞ。」

最近導入されたばかりのカラーテレビの1チャンネルを係員が指さす。
帝国宰相府をあらわす桐紋とともに、「政府からの重大発表があります。国民の皆さんは必ず聞いてください。」という文字と音声が流れている。やがて、映像は嶋田繁太郎首相の怒りに燃えた顔へと切り替わった。


――太平洋戦争後期、アメリカ合衆国は禁断の行為に手を染めた。
「消毒作戦」。日本本土への変異型肺ペスト菌の散布である。
5都市と港湾施設を狙った攻撃は、帝都の皇居や主要官庁を狙った攻撃こそ阻止されたものの恐るべきことにほぼ完全に成功。
実行犯となった華南連邦国籍の男女を捨て駒にすることで合衆国は高らかに凱歌を叫んだ。

だが、日本政府は甘くはなかった。諸都市の封鎖と同時に、国家備蓄していた強力な抗生物質や消毒液を即座に配送するかたわら、戒厳令とともに感染の疑いのある者は即時隔離する徹底した防疫活動を実施したため、死者は全国で1万人を下回ったのである。
当然、「サルどもを根絶やしにせよ」などと叫んでいた合衆国への報復は即座になされた。
アラスカ占領軍から3式弾道弾による首都ワシントンDCへの無差別攻撃が発動され、同時に超重爆「富嶽」総勢30機とそれに数倍する長距離護衛戦闘機群が米本土へ侵攻したのである。
そして、そのうちいくらかは、通常弾頭を搭載していなかった。

欧州諸国の非難に加え、シカゴ、ワシントンDC、ボストンなどの東部諸都市、ロサンゼルスとサンフランシスコなどの西海岸に対する核弾頭の使用による死者は初期段階で300万人を超えた・・・
:77.

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年01月01日 19:42