995 :598:2013/12/06(金) 23:11:45
ひゅうがさん、yukikazeさん乙です598です。
上で書かれてた宰相ヒトラーについて小ネタを少し。転載その他はご自由にお願いします。

人間、誰しも若かりし頃の情熱の暴走というものが存在する。後年になって見かえすと悶絶間違い無しのノートであったり、自作の漫画であったり…そして

「ついにこの時が来たか」

居並ぶ帝国議員を前に、激しく打ち立てる自身の鼓動を押さえるように胸に手を当てている。
ドイツ帝国議員アドルフ・ヒトラーにとってのそれはドイツ帝国の大ベストセラーであった。

銃撃からの復活、マスタードガスからの復活、あのシマズ部隊との激戦(彼の部隊は闘う直前に終戦を迎えたのだが)、そして終戦後人類が始めて経験するパンデミックによって壊滅したパリでの緊急医療。これら全てを経験し「奇跡の曹長」と呼ばれるまでになった彼に戦後自叙伝の出版依頼が舞い込むのは至って自然な流れであった。
彼自身はパリで上司となった日本人を通して知った、東洋の新たな技法に画家としての光明を見いだしていたのだが。
一方でドイツに対しての強い愛国心を持っていた彼は、戦争を通じて自分の中でくすぶっていたモノを吐き出すいい機会であろうと、その執筆依頼を受けたのである。

『我が闘争』

史実と違い、あくまで第一次世界大戦を中心とした彼の自叙伝と大戦で得た経験を元にした彼なりの国家論と青臭い富国論の集合体であったそれは、瞬く間にベストセラーとなり
気がつけば彼は国を思う青年政治家として帝国議員の一員となり、せっかく日本から輸入した硯を満足に使えない激務の日々を送るようになり、そしてついに…

『まさか私が帝国宰相とはな』

そう、彼は第一次世界大戦の「かろうじて拾った引き分け」とそれを原因とする皇帝の退位により、多分に民主的となったドイツ憲法の象徴となる爵位を持たぬドイツ帝国の宰相まさに彼はその存在となろうとしているのだ。いや、それ自体は問題ない。今も彼の愛国心は変わっていないし、今の混沌とした国際情勢を乗り切る舵取りをする覚悟もある…だが…

『ああ、これでまたあれが重版となったり、ニュースで取り上げられたりあげく朗読会まで開かれたりするのだろうか、ああ修正したい、修正させてくれ! とくにあのシマズとの部分とかドイツ優良主義とか…あああああああ!』

アドルフ・ヒトラー。史実以上の激戦と、そのあとの真っ当な政治家としての激務を通して政治家として非常にまともな感性を身につけたが故に、史実の数分の一程度の若気の至りであっても毎夜頭を掻きむしりたくなる程度ダメージ受ける彼もまた、歴史の犠牲者といえるかもしれない。


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修正者:Call50
備考:誤字・空欄等を修正。

修正回:1
修正者:
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最終更新:2014年05月28日 21:34