- 95. earth 2011/12/05(月) 20:50:15
- >>76
お疲れ様です。
そして、ひゅうがさんの作品に刺激されて続編を投下。
時系列は勝手ながら
>>76
の後です。
西暦1943年8月15日。
運命の開戦から1年ほど経ったこの日、太平洋戦争は終幕を迎えた。アメリカ合衆国の敗北という結果で。
「馬鹿な、このようなことが……」
アトランタにある臨時ホワイトハウス。そこでロング『前』大統領は呆けた顔でそう呟くが結果は変わらない。
神に選ばれたはずのアメリカ敗北したのだ。それも完膚なきまでに、再建すらできるか判らないほどに。
そしてそんなロングを政治家達が睨みつける。
「全ては貴方の責任ですよ、前大統領。津波の時点で、いやハワイ沖の時点で終っておけばよかったものを」
津波によって東部沿岸都市は壊滅。数百万人が犠牲となり、経済はマヒ状態になった。
これだけでも国家として致命的だったがロング政権が実施した消毒作戦に対する日本帝国の全面報復がこの国にトドメを刺した。
東部にはアラスカから雨霰と発射される迎撃不可能な三式弾道弾、さらに遥かな高空を飛行する超空の要塞『富嶽』が神の火である
原子爆弾と忌み子であるダーティボムが降り注ぎ、西海岸には復讐に燃える連合艦隊が押し寄せ、主要都市を片っ端から攻撃した。
「あの鬼畜共に情けも容赦も不要だ!!」
これまで都市への攻撃は控えていた日本軍は、容赦は不要とばかりに無差別攻撃を開始。
都市部への攻撃を躊躇していた将兵達も、本土で米国の外道作戦による被害にあって苦しむ子供達の姿を繰り返し宣伝されて心を
鬼にした。
勿論、この日本の無差別攻撃を米政府は非難したが日本政府は聞く耳を持たない。むしろ欧州列強を自国に引き込んでいく。
「あのような歪な人造国家の存続を許してはならない!!」
この日本の主張に、日和見気味だったイギリスが真っ先に賛同。
原子爆弾製造に必要なウランの輸出で最大限の便宜を図ると同時に、対米参戦に同意する。
これにドイツ、イタリアなどの枢軸国が賛同。あのソ連さえ日本の主張に異論を唱えなかった。
かくしてアメリカは日本どころか世界全てを敵にした。それも『世界の敵』というレッテルを張られて。
「イギリス人共め!」
ロングは呪ったが、どうすることもできなかった。
無差別攻撃によってアメリカ経済は大打撃を受け崩壊。ダーティボムと核の乱舞で東部主要都市は軒並み不毛の大地と化した。
テキサスやカリフォルニアの油田も吹き飛び、西海岸は核攻撃と戦略艦砲射撃で灰燼と帰した。
日本軍を食い止めるべきアメリカ軍は壊滅。さらに海軍の壊滅で東部が無防備になったことから、欧州連合艦隊までが東部沿岸に
押し寄せることになった。ニューヨークなどの復興中の都市も次々に破壊された。
ここに至り、遂にロングは失脚した。
「私が、白人がイエローモンキーに負ける訳がない! これは夢、夢なんだ!! ふふふ……はっはっは!!」
狂気の笑いを浮かべるロング。
「前大統領をお連れしろ。くれぐれも丁重にな。彼にはまだ仕事があるのだから」
連れ去られる前大統領を見届けた政治家達は、オフィスに張られているアメリカ地図を見てため息を漏らした。
東西の主要都市は壊滅し経済は破綻。軍事力も壊滅し、対外的発言力はこれまでの所業から皆無。
日本や欧州はアメリカの軍事力と重工業を徹底的に解体するつもりであることは判っている。尤も彼らが解体するようなものは
もう残っていなかったが……。
「この国が再び強国と名乗れるのは何時の日になるやら……白人至上主義者に政権をとらせたツケは大きかったな」
「大統領。もうそろそろ」
「判っている」
廃墟となったサンフランシスコ。そこに停泊した戦艦長門でアメリカ合衆国の敗北を認める儀式が彼らを待っていた。
- 96. earth 2011/12/05(月) 20:55:41
- あとがき
というわけでアメリカ敗北エンドでした。
このアメリカ、下手したら戦後赤化するかも知れませんね(汗)。
それにしてもこれまでのIFはさらなるBADENDしかない。
アメリカ版紺碧世界くらいしか……救いがないな(苦笑)。
最終更新:2012年01月01日 19:43