442 :ナイ神父Mk-2:2014/07/06(日) 22:05:21
大陸世界のクトゥルフ神話事情

「どうしてこうも転生してくる奴らは頭の螺子をまとめてどこかに置いてきたような奴ばかりなんだ…」

「まあ、文字通り線で吹っ切れたって所ですかね」

そう辻に返されて嶋田は頭痛と胃痛を感じながらこう思った(だからってこれはないだろう…)と
そう思った原因は、他の転生者が見つけてきた怪奇現象や伝説を調べていく一つの番組だ、それだけ見ればなんでもないものだがそのタイトルが問題だった
「とある港町に残る九頭竜伝説を追う」それは、オドロオドロしいBGMやナレーションと共に四国亜大陸にある港町に伝わる九頭竜と呼ばれる土着の神とそれに伴う恐ろしい伝説を追うと言う内容だった。
その伝説として語られる神や逸話の内容は舞台や人種は違えど間違いなくアメリカで作られ後にシェアワールドとして世界に広まったクトゥルフ神話、その中の架空の神格であるクトゥルフにまつわる話であった。
当然、この神話の元となる話を作った小説家はまだ小説を書いておらず、件の港町の誰かが作ったにしては話が似すぎている、となると考えられる原因は転生者である。
実際弥生時代の遺跡などから明らかに現代の感覚で作られたと思われる土偶や中には大きめの石にシュメール語や象形文字、果てはラテン語やアニメに登場したデジ文字、リント文字で文章が書かれた石版が出土した例もあるためだ。
その為またなのかと思いながら夢幻会の考古学者メンバーが調べていくと、世界各地から漆黒に塗られた顔のない仏像やらアメリカのとある部族に人を空へ連れ去る風の精の話や、太平洋沖に巨大な石柱都市が沈んでいるなどに多様な話が
数多く出てきたのだ。
この報告を聞いた嶋田は胃薬を飲みながら辻と今後の対応をどうするのかを話していた。

「何とか隠蔽することは出来ないか?」

「不可能ですね。ここまで世界各地広まってしまうと下手に隠蔽しようとすれば世界各国にまた、日本が何か企んでると痛くない腹を探られますよ」

「そうなると放置しかないか…」

「そうなりますね」

「薬を飲んだばかりなのにまた胃が痛くなってきた」

「この忙しい中倒れるのはやめてくださいね」

「くそ、人事だと思って」

「しかしクトゥフ神話ですか…ますね」

「何かいったか?」

「いえ、何もでは、私はこれで」

「まったく」

嶋田は言ううだけ言って、さっさと出て行ってしまった辻にため息を吐きながら渡された資料を片つけようとしてとある考察に目が行った。
それは実際に現地に行った転生者の報告だったその転生者が言うには、伝承の伝わった時代がばらばらで、しかもものによっては数億年前の石を使用し作られた物もあったということだ。
また、話が伝わっている地域が広く海外にも一部広がっているため、通信手段のない時代にあのように広域に話を広めることは難しいのではないかというものだった。
これを聞いた嶋田は、背に薄ら寒いものを感じた。これではまるで各地に自然に伝承が生まれたようではないか、と。
そして嶋田は扉を閉める際にちらりと見えた辻の顔が不自然だったこと思い出した。

(あの時見えた辻の顔暗くて見えなかったが燃えるような目が額にも付いていたような、そして出る直前に言ったあの言葉、あれではまるで…)

ここまで考えて、嶋田は考えを消し山積み担った書類を片付けるために、仕事に没頭したまるで先ほどの考えを振り払うかのように。

その時嶋田の耳に狂ったフルートの音色が聞こえた気がした。
最終更新:2014年07月12日 01:40