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740. ひゅうが 2011/10/29(土) 22:50:02
>>737

これは支援せざるを得ない。


――某所  某基地  地下大金庫

斬鉄剣が切り裂いた、核の直撃に耐えるともいわれる過剰な壁――おそらくは戦艦の装甲技術も転用している――の先にあったのは、金の延べ棒でも、想像を絶する秘密兵器でもなかった。
そこにあったのは、うずたかく積まれた紙の山。
紙幣のような均一なものではなく、黄色く変色したものから、つい最近印刷されたとわかるような紙まで、大きさも数種類のものがあった。表紙は見えない。

「何だ?この紙の山は・・・」

「同人誌?だがこの紙質・・・10年やそこらの代物じゃねぇな。」

「うっひょおお!こいつはすげぇ!見ろよ次元。コノミンといやぁ、先代の近衛公爵だ。夢幻会の長にしてあの嶋田首相でさえ逆らえなかったってこの国のタブー中のタブーだぞ。」

「なに?本当か?」

「第1回陸海軍合同文化祭企画会議――議事録?」

「こっちは・・・撫子たん?び・・・びごおというサインも・・・」

「昭和○○年度靖国神社奉納?これも同人誌か!」

「なるほどなぁ。」

「何か、わかったのか?ルパン?」

「想像してみろよ次元。萌えといえばもはや世界語だ。そして、フシミン、コノミン、そのほかにも同人誌や萌え業界草創期のきら星のごとき作家たちが名を連ねている。
さすがは日本のあらゆる面を主導する人材が集まったとも、日米戦争を圧倒的勝利に導いたとも言われる連中だぁ。
連中は、少なくとも今世紀のはじめごろには今日の世界文化を見通していたってことだぜ?ここにある同人誌はどれも貴重な歴史的な・・・大作家の直筆原稿ばかりだ。中には運悪く戦火に倒れた作家もいるかもしれない。美術的価値は計り知れないぞ。
それらがほぼ全て網羅されているんだ。コレクターはもちろんソ連のエルミタージュ美術館東洋館はもとより、パリのルーブル、ベルリンのペルガモン極東館もいきら金を積んででも買うぞ。」

「確かにそうだが・・・これで世界が変わるのか?ルパン。」

「たかが美術って馬鹿にするのは早とちりだぜ五右衛門。連中は今世紀はじめに今の世界文化を予想していたんだ。裏を返せば、ここにあるのは20世紀の歴史すべての『あったかもしれない歴史』または『実はあった隠された歴史』の生き証人なんだ。
そして、この巨大な収蔵庫には、毎年新たな同人誌や文化関係の資料が蓄積され続けている。ってことは?」

「21世紀の歴史を記した予言書にも等しいってか・・・ファッションはもとより、文学、美術、そしてそれらの背景になる政治経済・・・こりゃあ胡散臭い予言書どころじゃあないな・・・」


――その後、ルパン一味と峰不二子、そして銭形頚部たちはこの巨大な倉庫を巡って様々な物語を紡ぎ出す。
そして、誰かにとっては幸いなことに、この膨大な資料の中に「彼ら」の名前を記した名簿があったことは、ついに歴史の闇から出ることはなかった。

彼らは知らない。この倉庫が、言うなれば「捨てるに捨てられなくなった抱き枕カバー」をしまっておく押し入れような感覚で使われていることを。
そして、「萌え」が美術や文化として正当に受け入れられていたからこそ、彼らは誤解したままであったことを。

〜終わり?〜
741. ひゅうが 2011/10/29(土) 23:03:08
あとがき

ルパンたちが20世紀はじめの同人誌に現代のそれとほとんど変わらないキャラクターやストーリーを見つけたら
こんな勘違いをするのかなと妄想をたくましくしました。
夢幻会だったらこれくらいやってそうかな・・・っていうのはどうでしょう?
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最終更新:2012年02月13日 21:01