憂鬱ギアス    銃後

さして深くもない眠りから意識が浮上してくる
                  • 妙だ
おれは学校の屋上で昼寝してたはずなのに、妙に後頭部が暖かくて柔らかい
目を開くと、とてもよく知ってる顔とたいへんよく知ってる胸が見えた

「やあキョン、目が覚めたかい?」
佐々木、なんでおれはお前に膝枕されてるんだ?
「昼休みになって急いできみの教室に来てみたら、四時間目は自習ってことできみが居なくなってたからね
 たぶんここだろうと思って」
そうか、それは困った
「なにがだい?」
この枕が気持ち良すぎて、起きる気になれん
「ふふ、枕はおろかその奥まできみはよく知ってるからね」
                            • まあな
「あの凄いプロポーションの先輩とかメガネかけた後輩君のこともよく知ってるのかい?」
ノーコメントだ

「ところで君は、戦争に行かないのかい?」
行ってほしいのか?
「それは違う!きみには絶対に行ってほしくない!お偉方も民間に残って
 国を保つのは戦場に出るより重要、とアピールしてる!
 ただ、高坂くんとかきみの友達も幾人か戦場に出てるから、もしかしてきみもいってしまうんじゃないかって」
おれは、嫌なことからはとことん逃げ出す主義なんだ
そして戦争に行くってのはその中でもトップクラスに嫌なことなんだよ
直接知ってる何人かを真剣に守らなきゃならない状況にならん限り人殺しなんぞゴメンだ
「・・・・・・・・・・・・安心したよ  そういえば思い出したけど涼宮さんって覚えてるかい?」
あのドカチャカ女がどうした?
「この間、古泉くんと正式に恋人になったそうだよ」
そうか、興味ないな
「僕はいつも不安だったんだ 何故かわからないけど、彼女がいつか僕の居場所を奪うんじゃないか、と
 あるいは僕が不当に彼女の居場所を奪っていて、彼女がそれを取り返しにくるようなそんな気分だったんだ」
おれはお前を、いつも不安にさせてたんだな
「だから、その不安を消してくれないか」
佐々木が膝枕をしたまま目をつぶり顔を近づけてくる
まあ階段から二種類の足音が聞こえてくるから、残念ながらギリギリで阻止されそうだ

「アンタらいいかげんにしなさいよ!」「ほへ?」「あら、なにをかしら?」
「黒猫!毎日毎日やってきてはアイツのベッドに横になるのやろっつってるの!
 もうアイツの匂いなんか消えてアンタの匂いしかしないわよ!」
「あら、あなたが何故それを知ってるのかしら? そういえばこの枕に残ってる、茶色に染めた髪の毛はいったい誰のかしらねぇ」
「うぐっ」
「それに匂い自体はどうでもいいのよ
 こうして儀式を行うことでわたしと先輩の絆の深さと強さを確かめることで先輩が現世への執着を失わないようにしているの」
「誰と誰の絆が深くて強いとかなに馬鹿ホザいてるのよ!あとそこの地味女!」
「な~に~」
「毎日毎日アイツの座ってた椅子に顔埋めるとかこっ恥ずかしいマネしてんじゃないわよ!」
「不足してるきょうちゃん粒子を補充してるんだよ~  いまうらやましいとか思った?」
「だ、だだだだddだれが!」
ピンポーン    ピキキッ!
「またアイツがきやがった!」

どだだだだ!バタン!
「こんにちわ 京介さんについてなにか連絡入りました?」
「なんも入ってないわよ!だから帰れ巴マミ!アンタはゲッタ-3に乗って大雪山おろしでもかけてりゃいいのよ!」
「そんなことを言われると心外です ただ私は生命の恩人に尽くしたいだけですのに」
「たまたま事故現場に居合わせて自分と両親救われた挙句『見過ごすのも気分が悪い』とリハビリに
 つきあってもらっただけでしょが!」
「恩と、そして愛を感じるには十分だとは思いませんか?」
「あ、ああああああいとかなにホザいてやがりますかアンタは!」
「まったく先輩は見境なく人助けとかするんで、それが欠点といえば欠点で良い所といえば良い所なんだけどね」
「せっかくそんなことにならないよういろいろ手を打っておいたのに、桐乃ちゃんが全部台無しにしちゃうから」
「あ、あたしはアニキなんだから、格好良くあってほしいなって   ゴニョゴニョ」
「他にも何人か、そんなのいるのかな~」
「まったく、帰ってきたら正式な契約相手が誰なのか、きっちり理解してもらう必要がありそうね」
「ふふっ みなさん、京介さんが無事帰ってくることを信じられてるんですね」
「うん、あたしたちにはそれしかできないからね」

TVが、「歌舞伎名家の御曹司、スーパーアイドル&新人歌手とダブル熱愛!」とかよくわからんニュースを流している平和で穏やかな昼下がり
「お前たちがおれの翼だ、とかこっ恥ずかしいこといってたんですよー」などとがなるTVのスイッチを切る
そんな時
「藤堂さん、遠征軍から連絡が入りましたよ」
「ほう、早いな」
「作戦はほぼ成功 目的の90%強を達成し予想以下の損害で離脱に成功したそうです」

拙作「壮烈」で展開中の作戦 もう一話か二話続きます

 「目的」も実はものごっそエゲツナイ目的があるのですがそれは今は内緒

「何故その情報が留守居である私のところに真っ先に入ってくるんだ?」
「あー、それは多分朝比奈が参加してるからでしょう」
「それも聞こうと思ってた 何故朝比奈がここにいない?何故勝手に作戦に参加している?」
「許してやってください」
卜部が苦笑とともにとりなす
「大神殿が有名になり、藤堂さんが格下呼ばわりされるようになって随分怒ってましたからな、あいつは」
「別に私が格下だろうがかまわないだろう 要は日本が守れれば」
「それでも藤堂さんが日本最強最高と称えられたい、あいつはそう感じたのですよ
 そこで自分が奮戦すれば藤堂さんの評価も上がる、と考えて偽名で参加したのです」
「脱走ととられても文句はいえんぞ、というか間違い無く脱走ではないか」

「で、その資料だが     『山田一郎は序盤、敵の防衛線を切り開くべく短期で突入 以後MIA』 この山田一郎というのは?」
「朝比奈の偽名です」
(あいつはドサクサに紛れての大神殿暗殺を狙っておったからのぉ)
(多分周囲に防がれて謀殺、戦死扱いは混乱を避けるのと藤堂さんへの気遣いでしょうね)

謀略の類に全く疎い藤堂もそこに何やら胡散臭いモノを感じ、それは永の部下の戦死を悲しむ心境すらぬりつぶしていくのでした




はいここまでです

我ながら無茶したな~と思う今日この頃
特に冒頭のキョンとか上手くいったかな~どうかな駄目かな~と不安になってしまう


涙が出ちゃう、だってオトコノコだもん

まあ阿呆は置いといて、藤堂は大神さんらより格下という世論、それに憤った朝比奈が
後先考えずゼロを謀殺・・・・じゃなくて大神&大河暗殺を試みて加山たち諜報部に阻止され
そのまま「処分」された、という展開

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年08月17日 18:52